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「大変だったかと聞かれたら大変だった。

でも、私には私の花火の音が鳴っているから。

どんなに大好きな家族であっても、私には家族とは違う花火の音が鳴っているから。」




そう言ってから、先生の心臓の上にも片手をのせる。

先生の心臓の上も花火の音で胸が震えている。




「“しっかりする。今は、しっかりする。”

“先生”がそう教えてくれたから。

だから、しっかりしなければいけない時だけは、私はしっかりしていられた。」




大好きな“先生”を見上げながら笑いかける。




「家族のことを事前に言わなくてごめんね。

こんなに大切なことを、最後のタイミングでやっと言ってごめんね。

私、やっぱり全然良い女じゃない。

先生のお母さんが言うとおり、私は“したたか”な女だね。」




自分で言って涙が流れてしまった。

先生の胸の上にのせた手は、先生の花火の音で震えている・・・。

それを感じながらゆっくりと手を離した・・・。




「抱いてくれてありがとう。

激しすぎて痛すぎたけど、幸せだったよ。

良い女じゃなくてよかった。

だから先生に・・・“凛さん”に抱いてもらえた。」




あれは“先生”ではなかったと思う。

だって全然違った。

彼女から聞いていた話と全然違った。

何も優しくなかったし、激しすぎたし・・・かなり自分本位だったと思う。




「あの・・・離してよ。」




私からの話は以上なのに、先生は私の背中や腰から両手を離さない。

それどころか・・・




「・・・っ痛いって!!!」




また痛いくらいに抱き締められる。





「次からは優しくするから。」




「次とかないから!!

早く私以外の良い女じゃない女に移ってよ!!

私だって連絡しなかったじゃん!!」




「“また今度”なんて、俺は送ったこともないよ。

それに悠ちゃんの“また今度”も残ってる。」




言い返そうと口を開けた時、その口を先生の口で優しく塞がれ・・・




「・・・ンーっっ!!」




抵抗しようとしても凄い力で・・・

でも、舌だけは優しくて・・・。




こんな感じのは初めてで力が抜けていく・・・。




「・・・こんな感じのでどう?」




「なにそれ・・・?」




「こういうのも出来るよ、俺。

この前ごめんね、なんだか酔ってたかも。」




「それは・・・そうかもしれないけど、次とかはない。」




「一先ず俺の部屋に行こうか。

ここだと他の人達にも聞こえるといけないからね。」





それを言われると・・・頷くしかない。

私は先生の前だと末っ子が出て来て叫んだりするから。

先生が去年の12月頃から頑張り始め、それから末っ子!!みたいな感じが事務所内でも出て来てしまった。





だって、爆弾を落としてきたから。

爆弾は“葛西”だから、“葛西”に負けないように話してしまう。

でも先生は優しいから・・・私があんな感じでも先生が私を嫌わないのも知っているから・・・。





いつものように優しく笑う先生に優しく手を引かれ、事務所を一緒に出た・・・。

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