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先生の彼女さんのことは考えないようにしてたのに・・・
「あの、先生は外出ですが・・・?」
数日後、突然事務所に彼女さんが来て先生の部屋に入ってきた。
先生からも聞いていないけど、勝手に追い出すことも出来ず・・・。
資料を見たりすることもなく椅子に座っているだけなので、やっぱり追い出すことも出来ず・・・。
先生にメッセージだけを送り、彼女さんにお茶とお茶菓子を出し私は仕事を続ける。
「凛太郎さんが塾でバイトしてた時の教え子なんだって?」
そんなことを聞かれ苦笑いで頷く。
彼女さんは私を睨み付けながら足を組みお茶菓子を食べ始めた。
「求人に載ってる写真探して聞いてみたら“この子”とか言って。
凛太郎さん目当てで秘書にまでなったんだ?」
「そんなことはありません。
元々別の法律事務所で秘書をしていましたので。」
「秘書とか、何までしてるの?
彼女は私だから勘違いしないでよ?」
「していませんので、ご安心ください。」
先生がこんな女の人と付き合っているのはショックだった。
なんだか、泣きそうになった。
泣きそうになりながらも仕事を続けていると・・・
私のデスクの近くに彼女さんが来た。
「凄い愛されてるんだよね、私。」
「それはよかったですね。」
「デートはいつも高級なお店だし、欲しい物は何でも買ってくれるし・・・」
彼女さんが言葉を切ったので、それは不思議に思い彼女さんを見た。
そしたら・・・
「ホテルはいつも高級ホテルのスイートルーム。」
そんなことを言われて・・・。
「顔赤いんだけど!!!」
自分でも顔が赤くなってしまったのが分かった。
多めに空気を吸い仕事を再開させる。
なのに、彼女さんはまだ続ける・・・
「大金持ちの息子で弁護士事務所の所長で、顔までよくて優しいし・・・夜もめちゃくちゃ気持ち良いんだよね。」
そんなことまで私に言う・・・
「凄い愛されてるのが分かる抱き方するんだよね、自分本位じゃないっていうか。
優しいけどめちゃくちゃ気持ち良いし、して欲しいことは何でもしてくれるし。」
そんなことまで私に言う・・・。
その後も、自分がいかに先生から愛されていて・・・お金を使ってもらっていて・・・夜はどんな風にされているのか・・・
そんなことを“永遠”と聞かされた・・・。
聞きたくもないのに、聞かされた・・・。
「悠ちゃん、ごめんね?」
彼女さんが帰ってからしばらくして先生が戻ってきて謝られた。
「いえ・・・。」
「飲み会や事務所にまで来る彼女は流石に初めてだよ。」
先生がそう言いながら笑っていて・・・
「秘書がいるって言ったら嫉妬させてしまったみたいで、色々と聞かれてね。
先に言っておけばよかった、ごめんね。」
「いえ・・・。」
「・・・顔赤いけど大丈夫かな?
具合悪かったら早退しなね?」
先生が心配そうな顔で私に言ってくる。
私は1度も先生に視線を合わせることなく首を横に振った。
見られなかった。
先生の顔なんて見られなかった。
当たり前だけど私は誰ともそういうことをしたことがなくて。
彼女さんから聞いた話はあまりにも生々しい話で。
先生がそんなことをしているのかと、想像してしまった。
そんな想像をしてしまった。
高級なお店やプレゼント、高級ホテルのスイートルームなんて別に興味はないけど。
先生に愛されて抱かれることは・・・羨ましいと思う。
だって、私は先生が好きだし。
頑張りたいと思っているし。
時間が許す限りは、頑張りたいと・・・。
これまで恋愛をしたことがないから、どうやって頑張ったらいいのかも分からないけど・・・
好きな男の人にどうやったら付き合ってもらえて、“カップル”になるのか私には分からないけど・・・
頑張りたいと思っていた・・・。
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