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それは・・・それは、私が大好きな言葉で。
花火大会の日から私をしっかりさせてきた言葉で・・・。
そんな言葉をまた“先生”から聞けて・・・。
「今は、しっかりしましょう。
僕がいるので大丈夫ですから。」
そう言って優しく笑う“先生”はあの時と変わらず、私の“先生”だった・・・。
私の“先生”だった・・・。
大人になってから再会して・・・
私の大好きな言葉をまた“先生”が言っていて・・・。
格好良かった・・・。
格好良かった・・・。
これは好きになってしまう。
こんなの好きになってしまう。
彼氏とか別にいらないと思っていたけど、“先生”のことが好きになってしまう・・・。
頑張りたいと思ってしまう・・・。
“カップル”になりたいと思ってしまう・・・。
オジサンだなんて昔は笑っていたけど、そんな“先生”と“カップル”になりたいと思ってしまった・・・。
「悠ちゃん、そろそろ行こうか?」
定時を少し過ぎてから先生が鞄を持って立ち上がった。
「あの・・・また後日でもいいですか?」
「いいけど、後日で大丈夫?」
「はい。また後日でお願いします。」
先生は不思議そうな顔をしながらも優しく頷いた。
まだ言えないと思った。
今言ってしまったらきっと思われてしまうから。
“重い女”だと思われてしまうから。
“良い子”だなとは思って貰えるかもしれないけど、付き合っては貰えないのは知っている。
だから、時間が掛かっても・・・
時間が許す限り頑張りたいと思った。
この時間はお金で買うことは出来ないけど、時間が許す限り頑張りたいと思った。
先生にちゃんと女として見てもらうために、頑張りたい・・・。
そう思っていた・・・。
そう思っていたのに・・・。
「あの人が先生の彼女・・・?」
数日後に先生を含め数人で飲みに来たら女の人が突然来て・・・
“凛太郎さんの彼女”と、そう言って・・・。
「飲み会に乱入したのは初めて!
先生の彼女の話は聞いたことがあるけど、いつも数日で別れるんだよね。」
隣に座っていた女の弁護士先生が小声でそう言ってきた。
それに頷きながら、何故か私を睨んでいる先生の彼女さんに苦笑いで会釈をする。
先生は変わらず優しい笑顔のまま、その彼女さんに笑い掛けていて・・・。
泣きそうになった。
彼氏からフラれた時も別に大丈夫だったのに、泣きそうになった。
それくらい、苦しくて悲しかった。
2人をなるべく見ないようにしてお酒を飲んだ。
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