第2話


・松山セーフティーエリア 松山航空基地


基地入口の門の前までいき、立っていた歩哨に事情を話すとすぐに奥から迎えのジープがきてそこに押し込まれ松戸大尉が同伴させた部下達とはお別れになった。

ジープに乗せられ中央の隊舎に連れていかれるとひとつの会議室に通された。

そこには基地司令と1人の黒い戦闘服を着た大男、現地の公安警察局員数名が待っていた。


「やっと来ましたね」


基地司令が開口一番に口を開いた。


「すみません、思った以上に時間がかかりまして…」


とりあえず言い訳をしとく。


「いえ、その事に関してはこちらも感謝していますから

大丈夫です。ではこちらの局員の方が事情を説明するので」


「基地司令に代わりまして私から説明させていただきます。まずはこれをご覧下さい」


会議室前のスクリーンに写真が映しだされ、

そこには数台の破壊された車両が映っている。


「この車両はすべて三豊セーフティーエリアに向かっているものです」


「この車両の所属組織は?」


「バラバラで防衛局のも公安警察のも襲撃を受けました。恐らくですが三豊セーフティーエリアに向かう車両全てに襲撃しているのではないかと思われます」


「それで、対策は?」


スライドに映されてる写真が変わる。

そこにはLAV2台と数量の乗用車の残骸が映っている。


「このように護衛を付けたのですが、無意味でした」


「敵の規模はわかっているのかしら?」


「敵の規模は不明ですが、使用している兵器はある程度判明しています」


またスライドが代わり重機関銃、AK、RPGが映る。


「車両に12.7ミリと5.45ミリ弾の弾痕が着いており、またLAVには対戦車ミサイルが使用された痕跡があったことから当局はこの3種類が使われているのではないかと」


「他の方法、例えばヘリとかでは行けないの?」


「それはもちろん考えましたが、三豊セーフティーエリアには小型のヘリポートしかなくまた偵察機が接近した際にレーダー照射を受けたため接近を断念しました」


「それで、私はそれの護衛をらすればいいわけ?」


「ええ、こちらの特殊部隊員と共に護衛をお願いします」


特殊部隊員とやらの男の方に目を向ける。

会議室に入ってからこの男は微動だにしていない。


「失礼だが、貴官の所属はどこだ…?」


「この方の所属は…」


「いい、自分で説明する」


現地の公安警察の局員の言葉に割って入り話を続ける。


「俺らは公安警察庁SFP特殊火器防護隊の者だ」


なるほど。SFPか。


「それで、どこのSFPだ?大阪か?この近くだと福岡か?それとも本庁のか?」


「第六隊だ。」


第六隊、立川に駐屯している部隊。対象地域は全国…。

同駐屯地に駐在している陸防の航空隊と共に機動展開をする精鋭中の精鋭…。どうやら公安警察の方も本気マジで動いているんだな…。


「これ以上なにか聞きたいことはあるか?」


「いや、何も無い。今日はよろしくお願いする」


右手を差し出す。


「ああ、こちらこそよろしく」


向こうも手を差し出し握手の体制となる。


「他になにか確認したいことはありますかな?」


「いえ、何も」


「こちらも何も無い」


「それでは、これで」


基地司令と現地の公安局員、次にSFPの隊長が出ていったのを確認した後に会議室から出ていく。

会議室から出たタイミングで局から支給された端末にメールが入った。


(このタイミング、恐らく今回の任務についてか…)


メールを開くと1つのPDFファイルが貼り付けられており、開くとそこには敵勢力についての簡単な情報が記載されていた。



指定コード:PG1097。構成員数約3800名。複数の国外勢力から支援を受けている。後の混乱期に自治を目的として構成されたが徐々に肥大化、暴力的となり⬛︎⬛︎⬛︎氏が反乱を起こし組織を乗っ取る。四国南部地域を支配下に置く。



こんなことはどうでもいい。重要なのはこの下だ。

一介の小規模な武装勢力が対空誘導弾はともかく、戦車しかもMBTを持っているのはおかしい。



最近の動向について:軍政パキスタンによる支援を確認。

支援内容は以下の通り。

・小火器・重機関銃・対戦車ミサイルの供与

・短SAMの供与

・装甲車両の多数供与

・野砲の供与

・民兵の訓練

・潜水艇の供与


数日前に T-80UG 3両の供与が確認されました。



車種である程度予想はついていたがやはり、か。

T-80UG…。軍政パキスタンと中華人民共和国が厄災前に共同で進めていた既存の戦車を無人戦車に改修する計画の副産物…。複数台の無人戦車をネット回線を使い遠方から指揮する予定だったがハッキングに対する脆弱性等々が判明し数台の試作車が造られた後倉庫の中で放置されていた、はずだったがどうやら引っ張りだされたらしい。一応有人でも使えるらしいが、この間確認した限りでは無人システムは外されてないようだから外部からの侵入で緊急時の自爆システムを使うことで破壊は可能だけども厄介だな…。

だが、残っているのはたった2両だけだ。

そう簡単に遭遇するもんではないだろう。杞憂なだけ、なはず。

そんな心配は1度置いておいて出撃の準備とする。

予定の時刻までは、あと1時間弱か。

弾薬のチェック、レーションの摂取。あとは仮眠をとっておくとするか…。

用意されていた部屋に向かう。

仮眠を取ろうと思った途端眠気に襲われた。

これは、とりあえず30分ぐらい仮眠をとるとするか…。あと起きたらマガジンを確認して、レーションは…車内で食べるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る