PSB 法務省公安局特務任務部隊
@kokenokokeshi
第1話
『こちら空中管制機ヤクルス、話は広島管制局より聞いてきます。この先の05空域内では当機の管制下に入ってください。』
『こちらガイリウス、了解しました。貴機の管制下に入ります。』
『ヤクルスからガイリウスへ、松山セーフティーエリアまでのルートを沿岸を飛行し海上から飛行場に侵入するよう変更することを要求します。』
『こちらガイリウス、理由をお願いします。』
『ヤクルスからガイリウス、現在セーフティーエリア・松山を囲む防壁付近で戦闘が発生しており流れ弾の危険がある為です。』
『ガイリウス、了解しました。ヤクルス、ルートを送ってください。』
『こちらヤクルス、新ルートを送りました。風速は時速3m、風向きは南南東方向。着陸は第3ヘリポートにしてください。』
『ガイリウス、了解。確認できました。ルートに沿っていきます。オーバー。』
『ヤクルス、オーバー。』
ディスプレイにヤクルスから送られてきたルートが映る。このルートなら…
後ろの乗客に松山飛行場までの残り時間を伝える。
左側の窓に複数の閃光が見える。
いよいよ、危険地帯に入った。
・松山セーフティーエリア 松山航空基地
「松戸大尉!出撃命令です!」
まだ若い平川伍長が叫びながらこちらに向かってくる。
「そんな命令を出したのはどこの誰だ!?」
「は!大井中佐殿からであります。これが命令書です。」
1枚の薄い紙を差し出してくる。
そこには大井中佐のサインとハンコ、そして簡単な命令内容が書いてあった。
「平川、今すぐにこれを先任に持っていけ。それと全員を市街地戦闘用の装備を装着しとくように言っておけ。あ、あと
「は、はい。分かりました!」
平川伍長が部屋から出ていき、先任の部屋に向かい走っていく。
それを見届け、すぐに保管庫に走り装備を付けLAVの方へ走る。
他の隊にもどうやら出撃命令が下ったらしい。
慌ただしく準備をしている。
「松戸大尉!全隊員準備完了しました!」
野太い野川先任の声が聞こえ、前方に注意を向ける。
まだまだ若い隊員が多いが、銃を打てるだけまだマシだ。
「全隊員、乗車!」
号令を発し、全員が車両に乗車する。
全員が乗車したのを確認し、先頭のLAVの助手席に乗る。
「大尉、行先はどちらで?」
1番若い運転手の上林一等兵が聞いてくる。
「松前ゲートに向かう。なるべく飛ばしてくれ。」
「は!了解です」
基地のゲートに向かい、車両が出発する。
その時、飛行場に向かう一機の黒いブラックホークが見える。
機体の腹には白い文字で法務省と書かれていた。
・ガイリウス機内
「もー、酷い揺れだったぁ。」
1人の少女の見た目をしているが、実年齢は少女とは言えないがそれを言うと殺意がこちらに向かってくるだろうから、ここからは少女と呼称する。
「でも、あの高速船よりかはましか…」
以前の派遣の際に乗った旧型のミサイル艇の事を思い出す。
『いまから着陸体制に入ります!』
コックピットから大きな声が聞こえてくる。
「あのさー、外でドンパチやってる見たいだけどそっちはなんか聞いてるー?」
先程から気になっていたことをパイロット達に聞く。
『セーフティーエリアの松前ゲートで襲撃があったらしいです!』
松前ゲートの位置を確認する。
「機長ー、ヘリをゲートの近くに持ってける?展開するー!」
少し間があったがすぐに答えが返ってきた。
『行けますが、空中管制機をどう黙らせますか?』
「緊急執行権を宣言する。それで黙らせといて」
『了解です!何かあった時の責任はそっちで撮ってくださいね!』
機長がそう言うとヘリの機首の方向が大きく変わり、高度が上がった。
・松前ゲート
不味い、戦線が崩壊しかけてる。
こっちは何人ダウンした?
見えてるだけでも5人か?いや、6人か。
「先任、応援はまだ来ないのか?」
「はい、他の3箇所の門も攻撃されてて応援をよこせないそうです!」
「わかった!」
クソ!現有勢力だけじゃ対応できない!
「RPG!!」
誰かがそう叫んだ時、こちらに向かってくる1発のミサイル弾が見えた。
そのミサイル弾は弧を描きながら1台のLAVに向かっていき、命中した。
LAVは燃え盛り、中にいた機銃手とLAVの後ろで応急処置をしていた隊員達を燃やしていた。
「いまので何人やられた!?」
「わかりせんが、中に2人と後ろに4人いたんで恐らく6人がやられました!」
こっちもやり返してるが、まったく数が減らない。
「隊長!本部からです!あと数分で歩兵戦闘車と1個分隊が応援に来るそうです!」
後ろから先任の声がする。
それが本当なら持ちこたえれるが…
後ろからキャタピラの音もきこえてきた。
どうやら旧式だがほんとうに送ってくれたらしい。
これなら持ちこたえれる!
歩兵戦闘車の影が見え、それを狙うRPGをもった1人の兵が見えた。
「援護射ー!!」
RPGを抱えた兵に対して弾幕の雨を浴びせる。
すぐに蜂の巣になって倒れ込んだ。
歩兵戦闘車の機関砲も敵のいる方向に銃口をむけ、射撃準備にはいる。
その時だった。
正面から重々しいキャタピラ音と共にとてつもなく大きい砲撃音が聞こえてた。
その音がした時、後ろの歩兵戦闘車の方からけたたましい音と共に爆風が向かってきた。そして、キャタピラ音がさらに近づいてきキャタピラ音の持ち主が姿を表した。
T-80。
それがこの音の持ち主だった。
・ガリウス機内
「あー、こっぴどくやられてるねー。しかも戦車もいるのか。まぁ、あのタイプなら対処可能か…。機長ー!あと何分?」
コックピットに向かって叫ぶ。
「あと2分!離陸後に対地支援はいりますか?」
この機についてる武装を確認する。
7.62mmのガトリングが2つの軽武装。
それに先程RPGの発射音が聞こえた。
もしもう1発あったら返り討ちにあう。
「いやいらない!それと流れ弾に当たりたくなかったら私を降ろしたあとすぐに飛行場へ向かって」
「了解です!」
コックピットから返事がすぐに返ってきた。
機は降下をはじめる。
「着陸30秒前!」
返事が聞こえたかと思うとその後すぐにコックピットから声がした。装備の最終確認をする。
「3、2、1、着地!」
機長のその声と共にガンナーが扉をあける。
すぐに機から降り、
さぁ、始めようか。
・松前ゲート
あの戦車のせいで膠着していた戦況がいっきにこちら側の不利に傾きやがった。
近くにあった車両はいとも容易く撃破されてしまい、もう小銃しかない。
撤退するか…?いや、本部が許可を出すはずがないしもう撤退するには状況が悪くなりすぎた。
後ろでは先程から先任が無線機に向かって怒号を浴びせているが意味がないだろう。
かくなる上は残りの部下たちを逃がす為に囮になるしかない。幸いまだスモークや手榴弾はいくつか残っているし弾薬もある。
覚悟を決め、先任に撤退の命令を出そうとした時突然T-80の足が止まり、止まったかと思うと中から乗員が大慌てで出てきた。
次の瞬間、けたたましい轟音と爆煙と共に砲塔が吹き飛び撃破されていた。それを呆気に取られて見ていると後ろから銃声がした。
その銃声は味方のでも敵でもない。慌てて後ろを見るとそこには迷彩服の上から
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヘッドセットから音声が聞こえる。
『T-80UGを撃破、熱源探知・衛星情報・空中管制機のレーダーのどれにも脅威が確認されず。また熱源探知により28名の敵対存在を認識。対処フローを選択』
ゴーグルに敵対存在の推定位置と対処フローの選択肢が出てくる。
「排除を選択」
『了解。公安局法第29条緊急執行権に乗っ取り対象を排除します。
照準を目標に合わせ、発砲してください』
ゴーグル内に表示された場所に向かい射撃する。
しばらく射撃を続けているとゴーグルの表示が全てきえたのと同時に音声が聞こえてきた。
『一部部熱源を除く全ての熱源消失。対処の無力化を確認。8名の生存者を確認。対処フローを選択』
またゴーグル内に選択肢が出てくる。
「確保を選択。それと搬送の為に広島局に連絡を入れて」
『了解です。広島局に連絡します』
拘束具を取りだし、生存者の両腕もしくは両足に付け
モルヒネと止血剤を注射する。
やっとひと段落し、小休止をしていると1人の基地警備隊員が話しかけてきた。
「助けてもらっておいて悪いが、オタクはどちらの部隊の人間だ…?救援が来るとは聞いていないが」
そう言って銃口をこちらに向ける。
ACCSがなにか言ってきているが無視する。
「そりゃ悪かったわね。なんせ緊急事態で事前通告なしだっから。それで申し遅れて悪かったわね。
私は法務省公安局第2特務任務部隊の赤井執行官よ」
そう言って証明書を見せる。
それを見た隊員はどこかに連絡をし、どうやら確認が取れたらしい。
「これは失礼した。自分は総務省防衛局松山基地第2警備隊第3小隊隊長松戸一誠だ。司令部より貴官を連れて帰るよう言われたんだが、見ての通り車両を全部撃破されてしまっていてな、それにここのあと片付けもしないといけないからここを離れられん。部下を数名つけるから徒歩で基地に向かってくれ」
言い終わると松戸大尉は後ろにいた部下2人を基地まで同伴するよう命令している。
1人でも行けるんだが、まぁいい。
ACCSを切ってゴーグルを外す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます