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それから二人は、道沿いのベンチに座って、行き交う人々を眺めた。

様々なケモノや人間が、二人の前を通り過ぎて消えていった。それらの人々は、自分たちにはない自由や未来を持っているように、二人には思えた。


「東京って、ほんとに人が多いんだね」

「うん」


やがて、雪が降り始めた。様々な形をした雪片が、アスファルトに吸い込まれて消えていった。それは、二人にとっては宿命的な雪だった。


「どこに行っても、雪って降るんだね」

「うん」


寒くなってきたので、二人はホテルに帰ることにした。


西川口駅に戻ったナギは、お金を数えていた。


「どう?あと何円ある?」

「だいたい2万7000円……」

「そっか」

「とりあえず、ホテルに戻ろ?」

ニノはナギの背中をさすりながら言った。


ホテルに戻ると、ナギは爪切りを持ってきて、ニノを座らせた。パチン、パチン、と爪を切る音だけが虚しく響いた。


爪を切り終えると、二人はベッドになだれ込んだ。そして、お互いを壊すような激しさで、長い時間交わった。現実なんて壊れてしまえばいいのに、と二人は思った。

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