13
それから二人は、道沿いのベンチに座って、行き交う人々を眺めた。
様々なケモノや人間が、二人の前を通り過ぎて消えていった。それらの人々は、自分たちにはない自由や未来を持っているように、二人には思えた。
「東京って、ほんとに人が多いんだね」
「うん」
やがて、雪が降り始めた。様々な形をした雪片が、アスファルトに吸い込まれて消えていった。それは、二人にとっては宿命的な雪だった。
「どこに行っても、雪って降るんだね」
「うん」
寒くなってきたので、二人はホテルに帰ることにした。
西川口駅に戻ったナギは、お金を数えていた。
「どう?あと何円ある?」
「だいたい2万7000円……」
「そっか」
「とりあえず、ホテルに戻ろ?」
ニノはナギの背中をさすりながら言った。
ホテルに戻ると、ナギは爪切りを持ってきて、ニノを座らせた。パチン、パチン、と爪を切る音だけが虚しく響いた。
爪を切り終えると、二人はベッドになだれ込んだ。そして、お互いを壊すような激しさで、長い時間交わった。現実なんて壊れてしまえばいいのに、と二人は思った。
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