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「おい人間、起きろ!」
二人はいつの間にかケモノのホームレスたちに囲まれていた。辺りは薄暗くなっていた。そのケモノたちは生まれたときからホームレスで、野良世代と呼ばれている連中だった。
「持ってるもん全部出せ」
ホームレスのリーダー格が、ナイフをちらつかせて凄んだ。ニノはホームレスを睨み返したが、多勢に無勢だった。
「これで全部だ」
ナギは冷静に財布から一万円札と小銭を出した。
「本当にこれで全部なんだろうな?人間にしてはずいぶん貧乏くさいな」
ニノとナギは全身のポケットと財布を調べられたが、彼らが持っているお金は本当にそれきりだった。
「チッ。しょっぱい連中だぜ」
「おい。行くぞ!」
ホームレスたちは去っていった。
「おい!ナギ!お金ぜんぶ取られちゃったぞ!」
「ってかなんで一万円しか持ってなかったんだ?」
ニノは尋ねた。
ナギは靴底から鍵を取り出して言った。
「あんな金額、ぜんぶ持ち歩くわけないだろ。お金は二日目から上野駅のロッカーに預けてある」
「お前、賢いな!」
ニノはナギを称賛した。
「でも、一万円なくなちゃったな」
「気にすんなって」
「これからずっと西川口のホテルに泊まるなら、お金は西川口駅のロッカーに移動させたほうがいいかもな」
二人は上野駅に移動すると、ロッカーからお金を取り出し、それをポケットや靴下や靴底に隠した。電車に乗ると、乗客全員がスリや泥棒に見えてきて、二人はどぎまぎした。西川口駅に戻ると、二人はお金を黒い袋に入れて、ロッカーに押し込んだ。それだけの仕事を済ませると、彼らはフーッとため息をついた。
ホテルに戻ると、ナギはニノに、一緒にお風呂に入らないかと提案した。ニノは毛づくろいをするから必要ないと言ったが、ナギに押されて、結局お風呂に入ることになった。
「シャンプーしてあげるから、そこに立って」
ナギはニノの全身を丁寧に洗ってあげた。ニノは少し恥ずかしそうにしていた。ナギがニノを洗い終わると、二人は湯船に浸かった。ニノの体毛がふわ~っと湯船に広がった。
「いままでお風呂って苦手だったけど、ナギと一緒だとなんか気持ちいい……」
「ほんと?それはよかった」
ナギはお風呂から出ると、ニノの全身をドライヤーで乾かして、くしでといてあげた。ニノはとても満たされた気持ちになった。ニノはこの時のことを一生忘れないだろうと思った。ニノの毛はさらさらになり、全身から花の香りが漂った。ナギは興奮した。
二人はそのまま服を着ずにベッドに飛び込んで、たくさんキスをして、交わって、そのまま眠った。
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