5
そして、決行の日はやってきた。
その日の朝は天気が悪く、地吹雪で10m先も見えなかった。それは二人の行く末を暗示しているみたいにニノには思えた。ニノはホテルの窓から外を眺めながら、心配そうに尋ねた。
「こんな天気で、飛行機って飛べるの?」
「大丈夫。雪はだんだん弱くなって、午後には収まるはずだ。時間の猶予はたっぷりある」
ナギの言った通り、午後になると雪はやんだ。しかし、空はどんよりと曇ったままだった。ニノは飛行機が雲にぶつかってしまわないかと一瞬不安になったが、雲は水滴だとナギに教わったことを思い出し、気を取り直した。二人は時間を潰していたカフェから出ると、空港へ急いだ。
「東京行きの航空機に空きはありますか?」
「キャンセルが五名ほど出ています」
「じゃあU25の学割でお願いします」
そうして二人は飛行機に乗った。二人はとても緊張していた。やがて、飛行機が離陸すると、窓の外には青空が広がり、二人を閉じ込めていた地上も雪雲も、はるか眼下に遠ざかった。それは、二人にとって初めての経験だった。
「すごい!あたしたち、雲の上にいるよ!」
「写真撮ろうよ、写真!」
「僕たちカメラ持ってないだろ」
「じゃあ買おう?東京でさ」
飛行機は二人の直感に反して、あっという間に東京に着いた。二人の計画はあっけなく成功した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます