洗脳

 2ヶ月後、一通りの訓練を終えた俺はある仕事を任された。

 食料の調達だ。

 「とあるルートから事前に取り寄せた食料を倉庫から運んでほしいの。もしかしたら道中で埋葬機関の奴らと戦闘になるかもしれないけど、決して民間人には被害を出さないこと。分かった?」

 出発前に耳がいたくなるほどそう言われた。

 奴らとは正直会いたくはないが、この2ヶ月修行したおかげかなんとなく自信はある。

 それに俺一人じゃない、先輩達も一緒だ。

 

         「作戦開始」


 先輩の声と同時に下水道から出ると専用のトラックがあるのでそれに乗って移動した。

 目的地の倉庫付近には20分足らずで着き、人に目撃されないように周囲を警戒して降りた。

 その後先輩達は中へと入っていき、俺はトラックの中で見張りをする。

 

 

 あれから20分たっただろうか。

 遅い、遅すぎる。

 事前の説明では食料を運ぶ時間はせいぜい5分、かかっても10分であったはずだ。

 それに経験豊富である先輩方がやっているんだ。もっと早くに終わってても良いはず……

 

 

 この違和感、この胸騒ぎ。

 嫌な予感がした。

 トラックから降りて、倉庫へと向かった。

 

 

「おっ、きたきた。君がかな?」

 女はこちらを向くと笑顔を浮かべた。

 その先ではなぜか先輩達がお互いに殴り合っている。

 「先輩、何してるんですか!やめてください!」

 「無駄だよ、私のガスで思考を狂わせてるから。君には効果が薄いみたいだけど」

 そう言うと、目の前の女は指で合図した。

 すると二人は俺の方を向いて襲ってきた。


 


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怪人化症候群 ポワワ @ka3327ufe56

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ