成すべきこと

 「やあ、私は杏奈。いきなりで悪いけどこれから君には2つのことをやってもらうよ」

 「2つですか、いったい何を?」

 杏奈さんはまず一つ目から話し始めた。

 「君にはこれから訓練をしてもらう。またに襲われたとしても自衛できるようにね」

 埋葬機関?ってことは、まさかさっき襲ってきた奴らのことだろうか。

 冗談じゃない!

 ほぼ怪人の俺を殺しかけた奴らだ。次会ったらそのときは死ぬ、そういった確信がある。

 「あー、大丈夫大丈夫。報告によれば君が戦ったのはおそらく隊長だ。あれほどの実力者はそうはいない」

 不安が顔に出ていたのか、杏奈さんはそう言うと2つ目を話し始めた。



 「これは1つ目より重要だ、良く聞いてほしい。悪いけど3日間、君はあの穴の中に居続けてほしいんだ。」

 指を指した先には確かに穴があった。しかも底が深い。

 「えっ…………。何でですか?」

 杏奈さんは一瞬驚いた顔で俺を見た後、話し始めた。

 「見たところ君、まだ完全な怪人じゃないだろう。言わば半怪人ってとこかな。私の見立てではあと3日はかかる。そして怪人になった直後の数時間は、意識を失い暴れてしまうんだ。それを防ぐためさ」

 確かにあのときの医者も怪人化すると自我を失うとか言ってたっけ。

 「…………了承してくれるかい?」

 杏奈さんは申し訳なさそうに聞いてきた。俺の答えはもう決まっていた。そう、ここに来たときにおれ自身が『生きるためなら何でもする』と決めたのだ。

      

      「はい、大丈夫です!!!」

 

 そうして俺は深い穴のそこへと落ちた。

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