第19.5話 人に流されるだけの自分を変えたい
「ちょ、ちょっと本気?」
「そりゃあな、教会の命令だ。それに仕留めれば生涯遊んで暮らせる金も手に入る。行くしかないだろ」
「そうなのです」
司祭にカイト討伐の命が出されてからすぐに準備に取り掛かる二人。司祭の命令は絶対だが、それでもあたしは一度でも、旅をした仲間を自分たちの手で殺しに行くのは躊躇いがある。
「早く準備しろ」
「うっ。分かった」
グオンの低い声と不機嫌な顔にあたしは怖くなって準備に取り掛かった。あれは滅多に見ないグオンが怒ったりイラついたりしている時の顔だった。
「早く行くぞ。獲物は夜に逃走した。少し遅れをとっている。すぐに行かなくてはいけない」
「はいなのです!」
「う、うん」
結局、あたしは二人を止めることは出来なかった。カイトを守りたいと思ってもあたしは二人の意見に流されてしまう。いっつもそうだ。他の人の意見を否定できない。止めなくてはいけないってことは分かっている。でも、今は嫌われたくない一心から二人に作った笑顔を貼り付けて隣を歩いた。
「準備できたか?」
「ごめん、ちょっと欲しいものがなくてさ。買ってくるから、二人は先に門の前に行ってて。
すぐ戻るから」
「早くしろよ」
「うん!」
でも、人に流されるだけじゃダメだ。自分が本当にしたいことを突き通す。それが善であれ悪であったとしても。
あたしは必要なものを買いに行ってから二人と合流した。
「じゃあ、行くぞ」
「はいなのです」
「うん」
カイト、待っててね。
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