トイレットペーパー
お昼にスマホを見ると奥さんからメッセージが来ていた。見てみると写真が2枚とメッセージが1件。写真には冷蔵庫に張り付けている買いたいものリストを書くためのホワイトボードとトイレの上の棚が映っていた。ホワイトボードにはシャンプーとボックスティッシュ、トイレットペーパー、高カカオチョコと書いてある。メッセージには、
『先週トイレットペーパー買ったけど、もう1個買っておいた方がいい?』
と書いてあった。僕は今朝、買いたいものリストにボックスティッシュを書くついでにトイレットペーパーを追加で書いていた。
……いや、違うんだ。上の棚にあった最後の1個のトイレットペーパーを昨日か一昨日くらいに替えたんだ。その時にストックが終わったと思い、隣にあった新しいストックが見えていなかった。そして今朝、気を利かせたつもりで書いておいたのだ。確かにこの前の休日に買い物した時、奥さんが買い物かごにトイレットペーパーを入れていたのを今になって思い出した。
『ごめん、気づいてなかった。買わなくて大丈夫だよ』
奥さんに返信し、仕事に戻った。
その日の帰宅後に、奥さんとお昼のメッセージの話になった。僕が弁明をするより前に奥さんは笑いながら僕にこう言った。
「昨日か一昨日くらいにトイレットペーパー替えてくれたよね。その時に上にあった最後の1個を取り出して、ビニールを捨てたからもうストックがないと思って書いてくれたんでしょ?そう思ったけど、一応確認しただけなの」
……僕の思考が完全に把握されている、寸分の狂いもなく。確かに奥さんと付き合ってから3年、結婚してから約1年、合計約4年が経っている。お互いに考えの違いや行動のパターンは分かってきてはいたが、まさかここまで完璧に当てられるとは思ってもいなかった。だから、つい口から出てしまった。
「怖……」
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