僕の奥さんは怖い

エナジードリンク

　僕はよくエナジードリンクを飲む。0カロリーのやつだ。平日はお昼ご飯を食べた後にコンビニで買っている。会社の後輩には清涼飲料水を買うと誤魔化してコンビニに行くこともある。そんな話をしたことがあるからか、僕が在宅勤務の日にお昼を一緒に食べた帰りは僕の腕時計を確認して、午後一に会議があるとかでなければ一緒にコンビニに寄ってくれる。清涼飲料水、買うでしょ？、と当たり前のように言ってくるのだから、敵わない。

　現在日曜の15時。奥さんはお昼から一人で買い物に出かけている。僕は勉強のお供にエナジードリンクをコンビニで買ってきたところだ。お昼にも飲んだので本日2本目だ。冷房の効いた涼しい部屋でエナジードリンクを飲みながら勉強を始めて、しばらくした頃、奥さんが帰ってきた。

「ただいま～」

「おかえり～」

　勉強しながら返事をすると、開けっ放しにしていた部屋の扉から奥さんがヒョコっと顔を出した。返事が聞こえなかったのかと思い、おかえり、ともう一度奥さんの方を見ながら言うと、

「やっぱりエナジードリンク飲んでた」

　そう言って、荷物を置きに自分の部屋へ戻っていく。

「え、なんでそう思ったの？」

　僕は驚いて、奥さんの後ろを追いかけながら聞くと、

「玄関まで匂いがしたよ」

　と言われた。もしかしたら奥さんの前世は犬なのかもしれない。それも優秀な警察犬のような気がする……。

　確かに部屋の扉は開けた状態ではあったし、冷房もつけていたから風向きによっては玄関まで匂いが行くかもしれない。ちなみにエアコンの位置は部屋の扉と対角線上に位置している。僕はただただ奥さんの嗅覚に驚いた。だから、つい口から出てしまった。

「怖……」