雨だけど

 シトシトと降り続ける雨。


 ジメジメと陰鬱な気分にさせる空気。


 傘を差して登下校する毎日。


 日を浴びる事無く過ぎていく一日。


 それでも、梅雨は嫌いじゃない。



 「また忘れた……」


 空を見上げ、昇降口で雨が止むのを待つ僕。


 後ろからパタパタと足音がする。


 振り返れば、あの子がいた。


 「あ、七翔ななとくん! 待ってたの?」


 「……いや、また傘忘れた…………」


 「また? いいよ、入ってく?」


  彼女は笑いながら傘を差し出してくる。


  僕は彼女から傘を受け取る。


  彼女の細い腕が僕の腕に絡んでくる。


 「ありがとう。時雨しぐれ


  駅までのいつもの七分間。


 僕らは同じ歩幅で歩いていく。


 この先も、ずっと。


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梅雨、梅雨、梅雨 甘木 @kiritania1003

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