梅雨、梅雨、梅雨

甘木

雨のち

 シトシトと降り続ける雨。


 ジメジメと陰鬱な気分にさせる空気。


 傘を差して登下校する毎日。


 日を浴びる事無く過ぎていく一日。


 傘に隠れてあの子の顔も見えない。


 やはり、梅雨は嫌いだ。



 そして、今日も降る雨。


 空を見上げ、昇降口で雨が止むのを待つ僕。


 後ろからパタパタと足音がする。


 振り返れば、あの子がいた。


 「あ、加峰かみねくん。久しぶり!」


 「……久しぶり」


 満足に言葉を交わすこともできない。


 「傘、無い? 入ってく?」


 「ありがとう……一ノ宮さん」


 同じ歩幅で歩いていく。


 駅のホームまでの七分間。


それは、二人の隙間を埋めるには少なく、想いを募らせるには十分な時間だった。



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