ちょっとおかしな結婚式

 敏子はカフェでコーヒーを飲んでいた。住宅街にできた隠れ家のようなカフェに入り、敏子はいいカフェを発見できたと喜んだ。

 ただし、そこにへんな注意書きがあった。「午後3時に催し物がありますので絶対その時間には店から出てください」と書かれていた。

 敏子が時計を見るとちょうど午後3時だった。敏子はいけない、と思い会計を済ませようとした。しかし、店主はどこにもいない。読んでも人っ気がなかった。

 仕方がないと思い、敏子はコーヒー代をすこし色をつけた金額をおいて帰ろうとした。

 外に出ようとすると一人の客が入ってきた。敏子は客を避けて外に出ようとした。客はいう。

「帰ってはいけない」

 敏子はその言葉に違和感があった。そこからぞろぞろと客が入ってきた。敏子は客の流れに押されてカフェに押し込められた。

 奥からカフェの店主が出てきた。店主はいう。

「皆様、お集まりいただきありがとうございます。それでは、これより離婚式を始めさせていただきたいと思います。」

 そう言うと、周りは右足で床を蹴り上げた。敏子も同じようにした。

 店主は言う。

「それでは古郎、古婦の退場です。」

 店の奥から男女が出てきた。普段着だった。その間床を蹴り上げる音がやまなかった。

 その後、男性は女性に対しての恨み言を綴った手紙をぞくぞくと書いた。そして、女性も男性に対しての不貞行為に対しての恨み妬みの手紙を読み上げた。

 敏子は気分が悪くなった。男性の恨みも、味噌汁味が濃い、味付けが変、浮気相手のほうがうまい料理を作ってくれた、という。そして、女性も不貞行為の告発、内容を赤裸々に話した。

 その間、皆が笑っていた。

 店主は言う。

「それでは、指輪の破壊の儀を執り行います。」

 男女ははめていた指輪を取りハンマーで叩き割った。

 店主は女性に花束を渡した。

 彼岸花だった。それを客にめがけて投げた。客はそれに群がった。

 終わり際、女性と男性の顔を見て、敏子は思い出した。

 

 二人はニュースで流れていた無理心中したカップルだった。

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