第15話 犯人不明の事件解決には人手が不可欠だ
目の前に居たのは――不良三人組だった。
先日、早見くんを痛めつけていた奴らだ。
つまり、俺を殴った男である。
「おい、お前ら。無事にここを通れると思ってんのか。ああ?」
それにしても、登場する場所が、早見くん同様に固定されている。
RPGのNPC並みに律義じゃないか。
根は良い奴らだったりして。いや、まあ、暴力ふるってる時点でお仕置きは必要だけどさ。
「ああ、どうも、後輩たち」
「ああ!? 殺すぞテメエッ!」
俺の軽口に、不良どもは敏感に反応した。
早見くんは「ひっ」と咄嗟に、俺の後ろに隠れた。
「早見くん。師匠の後ろに隠れるってのは、どうなの」
「ス、ストーカーの件は師匠ですけど、この件は、後輩と先輩ですよっ」
なるほど。そういう設定なのね。
不良どもは、道に唾を吐きだすと、どこに隠していたのか、警棒だの、スタンガンだの、ネットショッピングで簡単に手に入りそうな獲物を取り出した。
まだ値札がついていそうなほどにピッカピカだ。
「昨日はずいぶんと舐めた真似してくれたじゃねえか、先輩。今日も一緒に遊んでくれよ」
「そーそー、あそぼーぜ、先輩。俺たちと楽しくさぁ」
俺は念のため尋ねた。
「なあ、早見くん、一応聞くけど――こいつらがお姉さんの写真を撮ったとか、ある?」
「い、いえ、一年前から知り合いではないです……」
「だよな……よし、わかった、こいつらにも協力してもらおう。こういう捜査は昔から人海戦術のほうが早いんだよ」
「はぁ……?」
不良が金属バットまで取り出し、地面をたたいた。
ガンッと音がし、少なからず存在していた周囲の生徒はそそくさと消えた。
「ごちゃごちゃ話してんじゃねえよ……! てめえら、逃げずについてこいやっ!」
お、移動してくれるのか。
それはラッキーだ。
やっぱり人の目は避けたいしな。
「もちろん、ついてくよ。だから早く移動しようぜ」
俺たちは三人に囲まれて、高校とは逆の方向へと進むのだった――。
*
――で、連れてこられたのは、大きな橋の下。
刈り取られる前の草や茂った木々によって、視界は妨げられている。
ありきたりな場所。
ありきたりな展開。
ありきたり――ではない下剋上。
「うう……も、もう勘弁してくれ……」
地面に倒れるは三人の不良なり。
いや『元』不良とさせていただこう。
数分前、俺と早見くんは、丁重に橋の下へと連れてこられた。
武器を持った三人が俺を取り囲んだ。
次の瞬間――三人は地面に寝ていた。
なにが起きたかを理解できたものは一人もいなかっただろう。
傍で見ていた早見くんも「え? え?」と戸惑っていた。
だから不良をもう一度起こして、その後も地面へキスをさせた。
何度も何度も何度も――六度目に不良たちの気持ちは折れたというわけだ。
どうにせよ、早見くんへの仕返しを止めさせるためには、こういった展開にする必要があった。
暴力で解決することは許されないのだろうが、それでもより強い力で恐怖を与えなければ、こういうやつらは手を止めないからな。
俺が居ないところで早見くんに被害があっては、助けたことさえ逆効果になってしまう。
予定外だったことがあるとすれば、問題解決のための人手が必要になったということ。
俺は地面に倒れ込む三人の前にしゃがんだ。
「ひっ、も、もうしませんから……! あいつにも手を出しませんから……!」
「君たち、反省してるんだよな?」
不良1は震えながら肯定した。
「は、はい! しております! 二度と! 二度と暴力をふるいません!」
「反省にはボランティアが付き物だと思わないか?」
不良2は両手をあげた。
「思います! ゴミ拾いでも、なんでもいたします!」
「困っている人を助けるのも、ボランティアの一環だよな?」
不良3は首を縦にふりまくった。
「助けます……! 助けます……! だから、助けてください……!」
「よし、じゃあ、今日から俺は、お前たちの先輩だ。オーケイ? そして俺の後輩である早見くんとお前たちは、同列だ。これも、オーケイ?」
俺に何をさせられるのかを計りあぐねている3人は曖昧に頷いた。
よし。
お姉さんのために、少し動いてもらいますかね。
「じゃあ、ボランティアをしよう――俺と一緒にな」
不良たちは、ゆっくりと立ち上がって、俺を見ている。
どうやら――仲間になりたいようだ。
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現在、色々なジャンルで一章程度を書いて、
どんなお話が皆さんに受け入れられるのだろうか、と模索しております。
★の数や、
ブックマークの数が、
比較対象になるので、
よろしければ、★1でもいいので、評価していただけると助かります。
近況報告でも色々と現状を書いたりしておりますので
作者フォローもしておいていただけると、
説明しやすいかな?と思います
以上です。
最後に――いつも応援してくれているかた、本当にありがとうございます!
WEBは応援がダイレクトに届く醍醐味があるので、
毎日、嬉しく思っております。
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追記
深夜に更新したせいで、翌日を10日と考えてしまったようで、明日更新になってました……もし楽しみにされていたかたがおられましたらすみません。
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