第3話 中休み
「ねえ、私たちの仁輪加どうだった?」
『姉さんと練習したの。台本は私だよ』
舞台袖に戻った二人がキミの元に駆け寄り、姉妹で言い合いを始めた。
「ねえ、アレはさ、ちょ〜〜〜っとお姉ちゃんの扱いが雑じゃないかな?」
『姉さん、ソンケイしてる』
「うわー、カタコトで敬う気持ちゼロってのが伝わってきてお姉ちゃん悲しいよ」
『伝わったなら良かった。うん」
「それはどう言う意味かな〜? 全く、この本の虫の妹は口が減らないんだから」
『キミ、なら落ちは分かったよね。───良かった』
「あの有名なメーカーのハイカラな厚底の靴って性能が高くて世界新記録がバンバン出ちゃってね、マラソン選手の大会じゃなくて靴の性能を競う大会に今後はなるとマラソン大会の意義がわからなくなるってことで、大会での使用を禁止になったんだよね」
『明らかに靴に性能差があって、その靴を履ける選手と履けない選手がいたらフェアじゃないから』
「それにしても近視って昔からキミも本を読んでいたからなんだ。だから色々知っているんだね」
『知識の探究に終わりはないの。そうだよね、キミ』
「さ、次いくよー! 今度は私が台本を書いたんだー。キミ、楽しみにしていいよ」
『⋯⋯姉さんのその明るさが私には羨ましい。たぶん、キミも同じ気持ちだよね』
「妹ちゃん、はやく口上よろ。なんだよ〜」
『はいはい。⋯⋯それじゃ、続きやるから見ていってね』
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