第24話 あえかの秘密に迫る者たち

「なんかさぁ、あえかちゃんってなんかおかしいんだよね〜」

「そうなの?」

私こともーねは、あえかちゃんに違和感を覚えていた。

「いやさ?私が水族館の水槽に落ちたって話をしたじゃん?その時、あらかじめタオルを持っていたんだよね。他も諸々準備が良かったし。まるで、みたいだった」

「どういうこと?」

「そのままの意味だよ。もっというと、みたいな感じだった」

「そんなことあるの?」

「うん。この前私が攫われそうになった時もおかしかった。すぐに私のところに来てくれた」

「それのどこがおかしいの?」

そう。はたからみてば普通。だけど。

「駆けつけてくれるのが早かったの。私が誘拐されてから、10分ぐらいしか経ってないのに駆けつけてくれた。いくら私の散らかってるバッグがあっても、早すぎると思わない?だから思い切って、なんで誘拐だと思ったのか聞いてみたの。そしたら」


—「いや、もーねが狙われているってネット記事が頭をよぎってさ。デマだと思ったんだけど、嫌な予感がしてね」


「って、言ってたんだよあえかちゃん」

「ほんとにおかしいところある?」

胡桃ちゃんが疑いの目で見てくる。

「ここからがおかしいんだよ。......そんな記事、んだよ」

「「え?」」

2人が驚愕の顔をしている。

「そ、それってどういう?」

「調べたけれど、そんな記事なんて一個も見つからなかった」

「消されているとかじゃなくて?」

「私が誘拐されたのが公になったのが、私がその記事を探した後のことだったから、その記事が消されるわけがないんだよ。それに、消されてもアーカイブが残るサイトで探しても、なかった」

「.........」

「あえかちゃんは未来がわかっている。そんな疑念が拭えないんだ」

その時にガラガラと、扉が開く音が聞こえた。扉の方を見ると、私たちのお母さんたちだった。

『あっ!母さん』

『もーね!.....?あえかちゃんは?』

『早朝に入ったから、今はいいんだって』

『ふ〜ん』

「あ、もーねちゃん!」

「椛さん!」

あえかちゃんのお母さんだ。.....聞いてみようかな。

「聞きたいんですけど、些細なことでいいんですけど。あえかちゃんのことなんですけど...何か変わったことってありませんでした?」

「そうねぇ...あ!」

「何かありました⁉︎」

胡桃ちゃんもはなちゃんも真剣に耳を傾けている。

「小学校に転校してきた、あの日からあの子って変わったのよねぇ...」

「例えば?」

やっぱり何かあったんだ。

「なんだかみたいだったのよねぇ。ブラの場所だってわからなかったし、ブラの付け方だってたどたどしかったんだよねぇ...。いつも使っているはずなのに」

「そうなんですか?」

胡桃ちゃんが食い気味に聞いた。あえかちゃんのことが気になるのだろうか。

「そうなのよ。他にも、まるで、女の子なら普通にできる、することが、全くできなくなっていたのよ。今はそんなことないんだけどね」

.....女の子ならできることができなくなっていた....?まぁ確かに女以外はブラなんて使わないし....。...ってそんなわけないか。一緒にお風呂入っても、全然取り乱だしてなかったし...。

「「「むきゅぅ....」」」

私も2人ものぼせそうだし、一回上がってから考えよう。


「私さ。その違和感もそうなんだけどさ。さっき思い出したことがあるんだよ」

「ん?」

「私が梅雨の日に駄々をこねてカラオケに連れていってもらった日に、私とあえかちゃん、どっちとも寝ちゃって...」

「ええ...」

「それで私が起きたとき、なんだかあえかちゃんの様子がおかしかったんだ」

「どうおかしかったの?」

「まるで、フッといなくなってしまうような、そんな感じがした。いつもの元気なあのあえかちゃんとは違って、すごくんだ...」

「....確かに、私達のこと全く見たことないとか言っておきながら、私たちが仲悪いってことも知ってそうだったし。まるで、じゃなくてみたいな感じだった。」

そう、胡桃ちゃんが言った。

ほんとに、あえかちゃんって何者なんだろうなぁ。

私は彼女のことを知っているようで何も知らなかったみたい。

彼女からはすごく知られているのに....。

「そうだ!今からあえかちゃんのこと監視しない?」

「ふぇ?」


こうして、胡桃ちゃんの一言で、あえかちゃん監視計画を実行することになるのだった...。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る