第5話 初配信はコラボです
「どうしようか....」
俺は悩みに悩んでいた。昨日、無理をしたのはよかったと思っている。まぁ、ぶっ倒れて心配かけたし、なるべくもう無理はしないが。
『何悩んでるだ?』
もーねがひょこっと部屋に入ってきた。
『そりゃあ、イラストができたのはもういいんだけど、挨拶が思い浮かばないんだよおお‼︎』
Vtuberにとって挨拶はとてつもなく重要だ。自分のキャラを知ってもらう手段だから。だから挨拶が下手だと人気になりにくくなってしまう。どういうキャラ、つまり人柄がどんななのかがわからないからだ。
......しかし、俺の場合は例外だ。別にすぐに作らなくてもいい。それはすでに認知されているから。人気Vtuber《もーね》の配信で、ある程度のキャラがわかっているから、挨拶によってキャラを印象付ける必要がない。しかし、オタクとして推しのことに関しては、全力でしないと気が済まない。だから今、挨拶を作っているのだが.....思いつかない。
『無難に言いたいことを挨拶にすれば?』
言いたいことかぁ.....Vtuberがもっと人気になって欲しいというのが俺の願い......夢.....!
「Vtuber is dream block.....」
「エ?」
「Vtuberは夢のかたまりって意味。実際、Vtuberには夢がいっぱい詰まってるよね。」
「おオ〜ソれっぽい!」
ー二日後ー
『ABCDEFG!!アルファベットの妖精‼︎ホワイトモーネでーす!』
→White Hello‼︎
→White Hello‼︎
『ということで今日はコラボ配信ということでみんなが噂している例の幼女を呼んでるぞ!』
→『まさか例の子か⁉︎』
→オタク系幼女がついに....⁉︎
→ざわざわざわ ざわざわざわ
『それでは.....どうぞ!』
「Vtuberは夢のかたまり! オタクのアエカです!」
→うおおおおおおおおおおおおおお
→『可愛いいいいいいいいいいいい』
→し、しぬ......
→天使か彼女は?
→でも胸はな.......
「そのコメントのやつ。アイコンと名前覚えたからな!」
→あっ
→お疲れ
→開始早々草
その日の配信は前代未聞だった。すぐに新しいのが来て、すぐに消えるかのようにどんどんコメントされていき、
Vtuberは夢のかたまりというフレーズと、アエカという名前がツイッターでトレンド同率一位になる程だった。正直に言うと、こんなことになるなんて想定外だった。
「今日は、マシュマロで応募した質問も兼ねながら、私の自己紹介をしていくね!」
『それが終わった後には、2人で協力型のゲームをしていくぞー』
マシュ→英語ができるのはなんでですか?
「英語ができる理由は、もーねがきっかけだね。もーねの言ってることを理解しようとして、勉強して今に至るって感じかな。」
→愛が強い
→俺、もーねのガチ恋勢としてかなり上だと思ってたけど、勝てねぇわこの子には
マシュ→ほんとに小学生なんですか?
「うん。普通に小学六年生だよ。」
マシュ→なんで男前なんですか?
「なんでって言われても.....生まれつきかな?」
その後のクソマロの対処は大変だった。例えば、自分のカップ数とパンツの色だとか。悪ふざけがすぎる.....。
ーその後ー
『そっちだって!違う私に渡して!』
「いやだからこうだって!あっ...」
『やられちゃったじゃん!』
「いやいやいや、そっちが.....」
後日、痴話喧嘩というタイトルの切り抜きが大量に作られた。
『そういえば、アエカって中学校どうするんだ?』
「ワッツ?」
→露骨に英語力低下するのやめろwwww
→露骨すぎるwww
→動揺しすぎwww
「うーん。中学校か.....」
『アエカの英語力なら受験して名門中学校も普通にいけるだろ』
確かにそうなんだよなぁ。高校とか大学ならこの英語力は当たり前なんだけど、
今の俺は小学生なんだよな。だから中学校も受験してレベル高いところに行くのもいいんだけど.....
「推しの配信見る時間が減るから面倒くさいなぁ....」
→ちゃんとオタク思考してるw
→親御さん見てますかー?やらせた方がいいですよー
→絶対受験した方がいいよ!
「言っておくけど、受験したら私の配信も減るからね?」
→受験は食べたからたった今無くなったよ
→『受験はやらなくていいと思います』
→....おっと誰か来たようだ.....え?受験はやらなくてもいい?
→お前ら手のひらくるくるで草
500→てか海外留学もアリなのでは?
「500円スパチャありがとう〜。海外留学か...でもなぁ外国ってなんか怖いイメージあるんだよなぁ。言葉が伝わんなかったら怖いし」
『......』
「.....?もーねどうしたの?」
『...アエカ。海外留学しよう。そうしよう!!!』
「ちょ、急にどうしたの⁉︎」
その後、もーねが暴走して終了。そして母さんまで来る始末。どうやら配信を見ていたらしい。中学についての話だった。
「中学か.....」
まぁ。まだ一年あるし大丈夫か。
そんな中、人生でトップ10に入る問題が2つ、俺に迫っていた。
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