第4話 まがい者のイラスト
俺は思い悩んでいた。
「ぜんっぜん、自分のママになる人物が見つからねぇ!!」
要はイラストレーターさんが見つからないのである。
イラストがなきゃモデリングも頼めないし、そもそもVtuberと名乗ることもハリボテ配信もできない。
なんでこんなことになっているのかって?
ーそりゃもちろん、資金の問題だ。俺の予算は一応、5万ということになっている。今の俺の全財産だ。そもそも、俺のような小学生がイラストを頼めるほどお金を持っていないのが普通で、こういうときにあのボンボン....名前なんだっけ?まぁ、あいつが羨ましく思ってしまう。.....母さんに頼むか?いやいやいや、流石に俺の事情に巻き込むわけにはいかんしなぁ...。
その時、スマホが鳴った。
スマホを見ると、メールが一件来ていて、もーねからだった。メールの内容は、
『今、予想だけど、イラストの資金について悩んでいないか?もし悩んでいるんだったら私が力になれるぞ』
流石に推しにお金を借りるのは流石になぁ......
まぁしゃーない。俺が描くことにするか。推しのためだと思えばなんとかなるでしょ。
それから俺は学校生活に支障が出ないギリギリまでの時間の間、絵の練習をし始めた。当然のことだが、俺に絵の才能なんてものはない。だから俺ができるのは他の人の描き方を見よう見まねで真似するしかなかった。まぁそれもそれでハードルが高いけどな。
ー三日後ー
『おーい。あえか〜。』
『ってうわぁ⁉︎な、なんだこの紙の山は」
『あ、もーね来てたんだ....ちょっと、自分のイラストを描いてたらこんなことになっちゃってさ....ああ眠い....』
『え⁉︎自分で自分のイラスト描いたのか⁉︎』
『う、うん....ほらここに完成したやつが.....』
そうして俺は描いたイラストを見せる。
『可愛い...!」
我ながらうまく描けたと思う。赤のロングヘアーの女の子のイラストだった。
赤髪にしたのはわたしの名前、あえかからきている。
『でも描き始めたのっていつだ?』
『うーんと、三日前かな』
『え⁉︎三日でこの絵を描いたのか?一応聞くが絵の経験は?』
『当然ないよ』
『どうなってるんだまじで』
確かにそうだ。俺の体ってマジでどうなっているんだろうか。素人が三日でこのイラストを描くなんて人間離れすぎ....あれ?しかいがゆがむ....ドサ。
『え?っておいあえか⁉︎』
流石に無理をしすぎたらしい。そのまま意識は深い闇に落ちた。
「う、う〜ん....」
目を覚ますと俺はベットで寝ていた。
「そうか、私倒れて、それで....」
.......ちょ、ちょっと待て。俺なんていった?無意識で私っていったのか?この体も女の子になり始めてるのか......いや、多分慣れな気がする。ここ最近私ばっかいってたからな。習慣になってしまったのか。....ほっとした。このまま女の子の思考になるのはごめんだからな。まぁこれはこれでよかった。もーねが隣で寝てたし。
「つきっきりでみてくれてたのか」
「ありがとう。もーね」
そっと俺はお礼を言った。
「てか、今深夜か」
時計の針は一時を指している。月明かりがカーテンから差し込んできた。
「......知っている部屋のはずなのに、知らない部屋に来た感じがするな.....」
........俺は、おぼろげに光る月を静かに眺め、そっと問いかける。
「......お前はまがいものか?」
とある本には孤独についてこう書かれていた。
<<孤独とは2パターンある。一つは完全なるひとりぼっちだ。誰もいない、または誰とも喋らない状態を孤独という。もう一つは...
自分だけがまがいものだと感じている時だ。>> .....と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます