第2話 転校生の俺と推し

『......それで、日本語喋れるんですよね?』

『う、うん。一応ね。』

「じゃあ、ここからは日本語で話しますね。」

「う、ウん。」

交番に着いたため、日本語に切り替える。

「あのーすいませーん。」

交番に向かって声をかける。

「なんだいお嬢ちゃん?」

「あの、ここに困っている外国人の方がいて....」

ーそれからはとんとん拍子で話が進み、無事に友達と連絡が取れたらしい。よかったよかった。一件落着。.....ん?何か忘れているような....

「あああああ‼︎‼︎学校忘れてたぁぁぁぁ‼︎‼︎」

「そ、それじゃ、私は行きますんで!それじゃ!」

俺はそそくさと学校まで走って行った。


「間に合った.....」

「な訳ないだろ。バッチリ遅刻だこの馬鹿者!なーにが席に物があるから遅刻じゃないだ!チャイムがなる前に席にランドセルを投げよって!」

俺は教師に呼ばれて説教されていた。バ、バカな.....あの頃はOK貰えていたのに。時代は変わったということなのか....


「あ〜酷い目にあった。」

先生がたくさんいる職員室での説教は精神的に死ぬから勘弁してほしいもんだよ。

「転校初日からかますじゃん?転校生?」

と、いかにもうざいボンボン男子生徒が出てきた。

ちなみに、俺は転校生だ。この春、この地域に引っ越してきた。

「あっそ。でなんか用?ないならどっか行ってほしいんだが。」

そういって、俺はそっぽむく。色々と考えているんだ。こんな子供に付き合っている時間はない。てか俺男だし。すると男子生徒はキレ気味に話しかけて来た。

「僕にそんな態度を取るなんていい度胸してるね君。のかな?」

ちなみにこいつは本物のボンボンで日本で有名な会社の跡取り息子だ。だが、正直怖くない。だっていうの2回目だが、子供だし。もうめんどいからど直球に、

「もうどっかいってくれない?」

と言った。すると、こいつは嘲笑うように言ってきた。

「そうかい。貧乏な君じゃ僕の良さがわからないか。英語も当然やったことないんだろう?」

いややったことあります。てか、多分お前よりやってるぞ。

『おい。調子はどうだ?この貧乏女。』

貧乏女?ふざけんなよ。俺でも流石にキレたぞ。言ってやるか。

『調子?そりゃあ、あんたがいるせいで最悪だよ。あんたがいなくなりゃ、気分も良くなるんだけどね。それに親の権力を自分のものだと思ってるうちはまだまだガキだね。』

と、ありったけの罵詈雑言を言っておいた。

「そ、それは何語だい?適当をいうんじゃないよ」

『適当なわけあるか。わかる?これ英語。イ・ン・グ・リ・ッ・シュ。OK?』

そう言ってその場から俺は去る。その男子生徒と一緒に居たくなかったからだ。

それから、あの男子生徒は一日中話しかけて来なかった。

ー放課後ー

考えたけど、明らかにこれって俺が女の子として生まれてきた世界線に転生してるよなぁ。それ以外考えられないし。でもわからないことが多すぎる。とりあえず家に帰って、じっくり考えよう。

校門を出て、歩くスペースを早めた。早く今起きていることを考えたいからな。

家まであと半分といったところまで来た時、

「ア!あノ時の小学生!こンなトころで会ウなんテナ!」

声の方を見ると、そこには今朝助けた女性と、連れの女性がいた。

..........そして気がつくと車に乗せられていた.........俺ってちょろい?

そうして連れてこられたのは、彼女たちの家?だった。普通にお礼がしたいって言ってくれてたし大丈夫だと思うけど.....俺が最も気をつけなければいけないのは、彼女たちがかもしれないってことだ。

俺は百合好きたるもの俺は百合をしてはいけない。俺は見る側なのであって、する側ではないのだ。

だてに達を鎮めてきた訳じゃないんだ。

でも、心配する必要はなかった。普通にお礼をしてくれただけだった。お礼ってそういうお礼じゃないけどな。

「それより気になってたけど、もーねだよね?」

気になっていたんだ。俺が推しの声を聞き間違えるはずない。絶対にな。

『き、気づいてたんだ。』

『そりゃ、ファンだし。1番の推しの声を聞き間違えるなんて絶対ないよ。』

『わ、私のファンだったんだ......へぇ〜....じゃあ、私にしてほしいこととかある?』

『いやないっす。普通に助けただけで推しにお願いするとかファンとして恥ですから。』

そこら辺はファンとしてわきまえている。てか俺に構うなら他の女性VTuberとイチャイチャしてほしい。絶対萌える。間違いない。

「ちなみにあなたはかえちゃんだよね?」

「あ、やっぱり私のこともわかった?」

「そりゃ、私の推しですし。」

餅木楓。もーねと同じ事務所の日本勢タレントだ。自分の好きなVtuberトップ5に入る。

『ともかく、助けてくれたお礼がしたいんだ。何かないのか?』

と、もーねがグイグイ迫ってくる。

「そう言われても……あ!」

『何かあった?』


「家に、帰してほしいです。」


『「ええええええええええ!?!?!?!??!?」』

彼女たちが驚きの表情をしている。……なんか変なことを言っただろうか?

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