狡猾な一撃

今日も藤原邸にきた。

今日は藤原ペットの部屋ではなく、でっかい部屋だ。リビング?大広間?用途が不明なくらい広い。本当にこいつは何者なんだ。桁違いの金持ちであることしかわからん。


「飲みもの持ってくるわね。」

藤原はそう言って、どこかへ行った。

あまりにも広いので落ち着かず、借りてきた猫のように一点に固まる。端っこ行きたい…


「はい、お待たせ。」

ドンペリが出てくるかと思ったら、普通にコーラだった。

「ドンペリかと思ってた。」

「出してもいいけど、未成年飲酒は感心しないわね。」

いやあるんかい。


「普通にコーラね。あんたのことだからてっきり本当に酔わせて無理矢理襲ってくるかと思った。」

「私のことをなんだと思っているのよ、あなたを襲うなんてあり得ない。私がベロベロになってあなたに襲われるように仕向けるわ。」


そうだったわ。

いくら彼女がアグレッシブなマゾだと言っても、相手を動かすのには限度があるからな。私がその気にならない限りあいつが何をしようと思い通りにはならない。


「コーラ、嫌いじゃなかったかしら?」

「平気、ありがとね。」

「てかなんで今日はあんたの部屋じゃないの?」

「今日は…親がいないのよ。」

藤原は少し恥じらいを含ませてそう言った。


全然嬉しくない…

何も期待していない。むしろ何も起きるなという心配しかない。


「て、ことで。今日はいつもはできないこともできるわよ。ちなみに今は下着をつけていないわ。」

いや、誰得情報だよ。


藤原の程よく太い太ももを見る。

床に座っているので少しスカートが捲れている。

…この先、何も履いてないのか…


ごくり、と唾が喉を通る音がした。

いやいやいや、おかしいぞ私。


やけに藤原が…エロく見える。


「そんないやらしい目で私をみて、どうしたの?エッチしたいの?」


女の子がそんなことを食い気味で言うな。

藤原はぐいっと近付いてきて、身を逸らしたけど、顔が近い。


…めっちゃ綺麗な顔。

やばい、絶対何かがおかしい。

私はイケメン好きの普通の女の子。

なのになんで、藤原相手にちょっと…ムラムラするんだ。




「ん、っ…ちょっと!」

藤原が私の脚を撫でてくる。

「辛いんじゃない?なんでもしてあげるわ。あなたの望むこと全部。私はあなたのもの。」


熱くなった体がびくんと跳ねて、息が浅くなる。


彼女はグイグイ距離を詰めてくる。

私の心臓がうるさくなってくる。


目の前に彼女の顔がある。


肌はきめ細かで白く美しい。


目を見る。

まつ毛が長い。切れ長で、目尻が垂れ下がって、かわいいと言うより美人だ。


鼻は高くてスッとしている。


こんなに美人だったっけ。こんな美人を私は…好きにできる…




「…キス。」

「ん?」

「キスして!」

「ふふ、わかりました。」


藤原の唇の感触が伝わってくる。


柔らかい。


触れ合った唇は熱い。熱すぎて爛れそうなほどだ。


彼女に手を握られる。包み込まれるように優しく。


彼女の舌が私の唇をこじ開けて忍び込んでくる。

体が熱くて、抵抗できない。


そのまま押し倒される。


舌は唇よりも熱く、口内をやけどさせる。

頭が真っ白で何も考えられない。


彼女の手が、私のスカートの中に忍び込んできた。触れられた部分が反応して、体が跳ねる。


これはまずい。

彼女を押して口を離す。

「やばいって!」


「なにが…?」


「その、これ以上は…」


「私はいいのよ?」


「こんな軽く…やっちゃダメでしょ。あんた、おふざけがすぎるよ。ちゃんと好きな人とした方がいいよ。」


「…ふざけてないわよ。」


「え?」


「あなたが好きだったの。ずっと。」


それはズルいって。そんなこと言われたら、意識しちゃうじゃん。


「でもごめんなさい。ちょっと細工しちゃったわ。」


「なにが?」


「その、コーラに…ちょっと、ね?」

あ、こいつ。

どうりでおかしいと思った。

コーラに媚薬でも入れてたんだな。

でもちょうどよかった。このままだとマジでどうにかなってしまう展開だった。



素直に悪事を認めるところは評価しよう。



「…まあ、許す。キスさせたのは私だし。あんな流れになっても文句は言えないよ。でもこれからは薬はダメ。」


「ごめんなさい…」


結局すぐに薬は切れたと思うけど、藤原は相変わらずエロ可愛い。

…私自体がおかしくなってしまったようだ。

キスなんてしたから…

今後悔しても遅いけど。

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