第4話
「灯〜!ただいま〜!」
「お父さんおかえり〜!」
「あ、お邪魔してます」
「お?この人が友達か?暫く友達を作ってなかったから心配してたが……良い人そうじゃないか」
「あ、ありがとうございます」
「……あの、ところでお仕事は退魔師って聞いたんですけど、何処かに所属したりしてます?」
「え?いや、してないけど……退魔師の所属とかよく知ってるね」
「あ、お父さん、この人一条家の次期当主だから」
「えっ」
「あ、申し遅れました、一条壮馬と申します」
「何処かで見たことあると思ったけどマジで一条家の方じゃない?どう知り合ったの……?」
「え?いや……偶然?」
いやまぁ俺が自ら彼の修行場所に行ったから必然と言えなくもないのか……?
「あ!そうだお父さん!」
「え、何?」
私はこれを言う為に
「私ね!一条さんと結婚したいの!だから中学校は大和霊術中学校に進学する!」
「……かなり気が早くないか?お前はまだ小学2年生だぞ?」
「勘違いしないでねお父さん」
「勘違い?」
「私、あと2年で飛び級して中学生になるから」
「無理では?」
分かる、分かるよ父さん
でもね……
「一条さん、私合格できますよね?」
「え?う〜ん、2年もあれば十二分……というか既に合格に十分な能力を持ってるから別に大丈夫だと思うけど」
「……えっ本当に?ちょっと待って、本当にそんなに出来るの?」
「うん、お父さんには見せてないけど異能も使えるんだよ」
正直これが全てだと思う、異能を使える時点でこの年齢の退魔師では上澄みの上澄みなのだ
「……そうか、まぁ、なら良いと思うぞ?」
「えっ、いいの?本当に?」
「あぁ、俺はお前のやる事を応援したい」
「…あ、ありがとうお父さん!」
「というかそれより私としては一条家と結婚の方が心配なんだが……」
「え?それについては心配いらないよ?普通に側室になれば良いだけの話だし」
本妻はやっぱり御家事情的に難しそうだけどね
「……ふむ、本当にお前は灯を愛しているか?」
「はい、私は灯さんを心から愛しています」
「なら、誓え神でも俺にでもない、俺の異能に誓え勿論罰則は死だ」
「誓います、どうすれば良いですか?」
「この誓約書に名前を書け」
スラスラと名前を書く一条くん、不安になる
やっぱり一条くんが私と一緒に居るって言ってくれたのは優しさが大きいだろうし……
う〜ん、怖い
怖いけど、一条くんが言ってるんだし問題ないと思いたいな……
「よし、灯を裏切ったら死、愛してなくても死
その両方受け入れたお前を灯に相応しいと認めよう
お前が誓約で死なない限りはな」
「……ありがとうございます」
……なんやかんや最愛の人に騙されたお父さんの傷は大きい筈だ
いくら私にそういう姿を見せてこなかったとはいえこんな約束をさせられるとは……私のミスだ
裏切るとしたら私からだから、この誓約が面倒な事を呼び寄せる事の方が多そうだ
「……ありがとうございます、お父さんの我儘を聞き入れてくれて」
「いや、いいよ、君を裏切らないなんて当たり前の事をするだけでいいんだから」
「……そうですか、でも私が操られたりしたら」
「だから大丈夫だって、だって君が操られない様に守るのが俺の役目だろ?」
「……」
「……ありがとうございます、」
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