第3話

「あ!一条さーん!」

「あ、灯!待っててくれたのか?」


「はい!今日は待ちに待ったデー…じゃなくてお出かけの日ですから!」


あれから2年の時間が経ち、私が小学生になり

遂に一条さんと学校で合法的に会えるようになりました


「どこに行く?」

「う〜ん、どこに行きましょうか、あ!私のお家とかどうですか?お父さんにも紹介したいんですよ」


それに一緒に歩いてても友達って言い訳ができるので、ようやく異界の外で会えるようになりました


「え、それは……いや、いいか!うん!偶には家で遊ぼうか!」


あら、優しい

それとも本気で私に対して責任を取ろうとしているのでしょうか……


「はい!一条さん一緒に遊びましょう!……で、そこの女の方、出てきて下さる?」


ヘッタクソな隠形をしてる女を呼び出す

霊術の基礎なのに下手すぎるなこいつ


「えっ……呼ぶの?」

「はい、このまま付けられても面倒ですので」


小声で一条さんと相談していると、私が呼び出した尻軽クソ女が出てくる


「……ふぅ、私の隠形を見破るとは、中々やるじゃない」

「あら、西園寺優華尻軽クソ女さんじゃないですか?どうかしましたか?」


西園寺優華、原作ヒロインの一人、幼馴染で許婚で性格が良くて顔が良いパーフェクトな一条さんを捨ててそこら辺の男に靡いたカス女


しかも自己正当化して一条さんを罵倒するし、本当に頭の弱い尻軽女って感じです


「どうもこうも無いわよ!私の許婚なのにそんな女にデレデレするなんて!私への裏切りよ!」

そんな事ありません裏切り者はお前じゃカス彼は別け隔てなく優しいだけです俺じゃなくて一条くんを罵倒すんな尻軽ですから一条さんの悪口は辞めて下さい他人に股開いた挙句一条くん罵倒するゴミが許婚名乗んな


キレそう、お前が裏切り語るなゴミ


「あー、ごめんね優華、でも先に約束しちゃってるから、許して欲しいな」

「はぁ!?もう!私の将来の夫としての自覚が足りてないんじゃないの!?貴方も、結婚はできないんだから諦めなさいよ」


は?一条さんが優しいからって浅ましくも罵倒で愛を確認するなんて、お前の方が一条の許婚としての自覚が足りてないわ!


いえ、私も退魔師の素質はありますしは?お前に一条くんを渡す位なら側室位にはなれますよ一条くんに嫌われてもお前殺すわ


一条家は能力主義、俺ほどの霊術があれば側室位には簡単になれるからな?


「ふふ、ならそう思ってたら良いんじゃない?」


ハッ!この世界の退魔師なんて一条くん以外は居ても居なくても一緒な程度の霊術しか持ってないのに

無知ってのは本当に惨めだねぇ……


「……まぁ良いですよ?それで、じゃあ私達に付いて来ないで下さいね〜、さ!一条さん!私の家に行きましょう!」

「……いいの?多分優華付いてくると思うけど」


「いいんですよ、チンピラのフリさせた影衆に撃退させますから」

「影衆に?……危なくない?」


「……まぁ殺さないように言ってありますから大丈夫でしょう」


ーーー


「さ!ここが私の家です!入って入って!」

「お邪魔しま〜す……」


「……では!お父さんが家に帰って来るまでゲームをしましょう!」

「え、お父さんまだ帰って来てないの?」


「はい、ですけどすぐに帰って来る筈です」

「へーそうなんだ、そういえばお父さんってどんな仕事してるの?」


「はい!お父さんは退魔師です!」

「え!?退魔師!?そうなんだ……じゃあそれこそ俺と会ったりもした事あるかな?」


「いや、それはないと思います、お父さんは私が産まれてからは私に気を使って大規模な作戦に参加してないので……」

「……そっか、いいお父さんなんだね」


「はい!私の自慢のお父さんです!」

「ふふっ、なんか灯が人の話で盛り上がるのって中々ないから面白いな」


「えへへ、まぁそれだけ私の理想の父ですから」


ピンポーン


「あ!帰ってきたみたいです!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る