第2話
あれから、一ヶ月が経ち、彼は無事に霊術を覚えてしまった
友人の居ない私にとって一条くんに霊術を教える時間は孤独を癒やしてくれたが……
約束はもう終わりだ
「……そろそろ霊術も使い熟したみたいだし、この関係も終わりだね」
「……そうだけどさ、もう少しだけ、ここで一緒に会わないか?」
「一条家に突き出すつもり?」
「いや、そういう訳じゃなくてさ、単純に君の事は友人だと思ってるから、友人ともっと一緒に居たいってそれだけ」
「ふーん、そう、ありがとうね」
「えっ?あぁ……どういたしまして?」
「……でもね、やっぱりここでこの関係は終わりにしよう、一条」
「えっ……いや、なんで!?ありがとうって言ったじゃんかよ!」
「う〜ん、だってさ、私は
「えっ……」
「私の母親はね、少し面の良いだけの妖魔の男に靡いて夫を捨てて、挙句の果てに
「でも!君は母親とは違うだろ!?」
「分かってる、
「いや、分かってない、母親と違うってのは理由なく言ってる訳じゃない、大いに理由があって言ってるんだ」
「まず!君は母親なんかより賢い!それに冷静!だから靡いちゃいけないって分かる!」
「でも!」
「それに!君は理性が強いから我慢できる!駄目な理由が分かる!魔が差しても耐えられる!」
「違う!私はそんなに……」
「更に言うなら君は気が多くなくて身持ちが堅い!君は出会ったばかりの男に簡単に惚れたりしない!というか貞操観念が高いから母親みたいな事にはならない!」
「そうかもしれないけど……」
「最後に!そもそも君はプライドが高い!君は自分本位で裏切りをする位なら自殺するね!」
「そ、そんな事ないし……」
「いや、絶対する、君、命よりプライドが大事なタイプだもん、仕方ない理由で約束破っただけなのに命令してくれって言ったり、その一例で切腹挙げたの忘れてないからな」
「ぐぅ……」
「よって!これらを総合すると!裏切りができなくて、身持ちが堅くて、賢くて冷静で理性が強い!母親とは似ても似つかない!だから大丈夫!」
……そう言われるとなんだか不安が吹っ飛ぶなぁ
なんでだろう、君が言ったからかなぁ
あー、でもなんだろう、立ち直ったら立ち直ったでこう……ムカついてきたな、
よし、それなら私がヒロインになろう
絶対に裏切らない最高のヒロイン、その為にも先ずは言質取らないとね
「いや、私妖魔とのハーフだし!半分人類の裏切り者だし!」
これは嘘、流石に前世から筋金入りの人間だったからそんな事思ってなかった……いや、ちょっとは思ってたか
「違う、君は裏切り者じゃない、君が本当に人類の裏切り者ならこんなに優しく人に物を教えたりしない」
「違う、一条くんは優しすぎる……私は、
本当に優しすぎるよね、今の私の演技も見破れないなんて、もう君の言葉で立ち直ってるのに
こんなにうだうだ言って、ごめんね?
「頑固!自分は冷静に見れない!自己嫌悪し過ぎ!女性を嫌い過ぎ!」
「だけど、ちゃんと理由があるんだよ!ただ自己嫌悪してるんじゃない!私は理由があって……」
元男がこんな風に悲劇のヒロインぶるなんて、人生何があるか分かんないもんだなぁ
「それなら俺だって理由はあっただろ!」
「そうだけど……私は君が不幸になった時責任をとれない!」
……ふふ、責任だってさ、前までの私だったら裏切った後とか考えられなかったよねぇ
「うるさい!責任なら俺が取る!だから一生俺と関われ!いいか!何があっても俺と離れるな!」
……ふふ、本当に優しいね、励ます為にここまで言ってくれるなんて
暫く関わるって言ってくれるだけで良かったのに
一生だなんて、でも…浅ましく縋り付くよ?私
だって好きになっちゃったからね
「……分かった、なら約束して?私と一生一緒に居る事、ハイ指出して」
「ああ」
ごめんね、騙しちゃって、でも……絶対に君の事
不幸にしないから
あの
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