第6話 偵察
二日後、朝日が昇る頃には、すでに任務のために動き出していた。
北上たち一行は、スイフの南東方向、海岸線に沿って移動している。
同行する団員の方はコバというらしい。
まず一行は海岸線方面に出て、そのまま南下する形で海岸線の近くを進む。
「スイフ南東側ば比較的平坦な土地になっとって、大規模な軍を進めるには問題なか場所たい。ただ、海岸線が複雑に入り組んでどるから、正直進軍すんには難のある場所かん」
コバが歩きながら話す。
「歩きながらの偵察んなるけ、時間さかかる上に、会敵したん時ばこっちさ不利になる。しかし人数もこっちのほうば少なか。静かに偵察できるんね」
そんなことを話ながらも、一行は海岸線を南下する。
「コバさんの話ば通り、こげな何もなか場所で敵さ遭遇したら大変だべな」
「せな。んだけど近くんば森もあるけ、そこさ逃げ込めば問題なかと」
エリとリュウが話す。実際西のほうには大規模な森林があり、そこでゲリラ戦を行う事も可能だろう。
そうしていると、コバが急に歩みを止める。
「コバはん? どうかせんした?」
「前さ見」
三人が前方を注意深く見ると、何か動いているものを見ることができるだろう。
「あれがバベル軍じゃ。あの様子から察するんに、一万はいるじゃろう」
「一万も……!」
北上は驚く。普通の軍隊で一万人もいたら、それは一個師団に相当するからだ。
コバが単眼鏡を取り出して、様子を観察する。すると、コバがあるものを発見した。
「あん旗……!」
「何か見つけはったんすか?」
リュウが聞く。
「あんマーク……、間違いなか! あればバベル軍でも最大勢力のアダ=チク師団じゃ!」
「アダ=チク師団……?」
「聞いたことあるばい! 確か南の戦場で数倍の勢力ば相手に優勢で勝ち切った、伝説級の軍隊やか!」
「そげな勢力相手に、どう戦うんばいか?」
「いや、戦うんば出来ん。防戦一方じゃ」
「そんなら、すぐさ知らせんと大変なことになるんば!?」
「んじゃ。特に、海岸線沿いば警備が薄くなっちょる。ここをアダ=チク師団ば通ったら、スイフん前線ば突破されてえらいことちゃなる」
「なら、急いで戻らないと!」
「んだ」
そういってコバが踵を返そうとした瞬間であった。
一行の前に、何かが現れる。瞬間的に現れたものだから、全員が一瞬固まってしまった。
その隙に、何かは団員に棒状の物を突きつける。直後に発砲音。
「ぎゃっ!」
しかし、コバは直前に身をよじっていたため、致命傷は免れた。
コバは素早く状況を把握し、三人に指示を出す。
「敵の斥候じゃ! 逃げぇ!」
北上は考えるよりも先に体が動いた。体が先に動いていたことに、北上自身が一番驚く。
一行は敵の斥候から逃げるために、コバが先頭になって森へ逃げる。
その間も、斥候は静かに追跡し続けていた。
「こんまま森ん中ば入るぞ!」
「森の中入ってどうにかなるんですか!?」
「んなもん知らん!」
北上は体力に自信がない。しかし今は生きるか死ぬかの瀬戸際である。それが北上の体を無理やり動かしていた。
森の中は鬱蒼としており、正直視界が悪い。
しかしこれはチャンスでもある。この森の中で敵の斥候を撒ける可能性があるのだ。
「とにかく走り続けん!」
コバが発破をかける。
しばらく走ったものの、後ろからは相変わらず敵の斥候が迫ってきている。
「どうすんばあいつさ撒けるんば!?」
「うちに聞かんといて!」
その間も、何度か発砲音がする。そのたびに、周辺の木々がはじけ飛ぶ。
次第にコバの走る力が衰えていく。
「コバさん!」
「構うな! 走れ!」
コバの様子を見ると、腕から大量の血が流れていた。まともな治療を受けられない上に、全力疾走していれば大量出血もするだろう。
コバは情報を持ち帰るために、必死になって走っていたのだ。
そのうち、コバは近くの茂みに倒れこむ。三人はコバの容体を確認するため、近くへと駆け寄る。
「おまんら、ワシに構うなっ。情報ば持って逃げぇ」
「でんも、コバさん置いて逃げられんです」
そういってエリは傷口を塞ぐ魔法を使う。
その間も、敵の斥候は周辺を捜索している。治療を受けている間にも、コバは情報を三人に託す。
「敵ばおそらく古代兵器ば使てる可能性さ高い。どんな物でも見通せる兵器じゃ。どこさ隠れていてんも、敵ば必ず見つけ出す」
傷口が完全に塞がる。血液が足りてないのに、コバは立ち上がった。
「ワシが囮になるけぇ、おまんらは逃げや」
「でんも……!」
「こんば自衛団の役目じゃ」
そういって、再び走り出した。
リュウは数秒ほど悩んだが、コバとは別の方向に走り出す。エリと北上も、リュウの後ろを追いかける。
しかし、コバとは完全には離れない。ある程度の距離を保ったまま、敵の斥候の様子をうかがう。
敵の斥候は、三人のほうを追いかけていた。コバのほうは手負いだから追いかける必要ないと思っているのだろう。
北上は、敵の斥候が出す音を頼りに位置を割り出そうと聞き耳を立てるものの、上手く行かない。
聞き耳に集中していたせいなのか、北上はエリとリュウから少し離れてしまった。
その時だった。北上の体は浮遊感に襲われる。状況を把握する前に、大きな水音を立てて、北上は冷たい何かに包まれる。
「うわっ」
それは沼だった。こんな森の中で冷たい水と泥が混じった溜まり場があるとは想定外である。
水深は膝くらいだろうか。走っていたこともあって、そのまま前に倒れこんでしまった。
「ぶわっ」
全身泥だらけになった北上は、すぐに敵の斥候のほうを向く。
そこには、何かゴーグルのような物を装着した軽装備の人の姿があった。
まるで歩いてきたかのように、呼吸は整っている。そして北上の周辺を見渡す。北上は反射的に息を殺していた。
北上は敵の斥候のゴーグルを見て、ある物を連想する。それは軍隊で使われているような、ナイトビジョンなどを搭載したヘルメットとゴーグルである。
敵の斥候はひとしきり周囲を見渡したあと、そのまま別の方向へと歩いて行った。
「なんで……?」
一瞬疑問に思った北上だが、ある一つの考えに至った。
「もしかして、赤外線カメラ?」
北上はとある映画を思い出していた。それは、狩りをすることが全ての異星人と戦うSFアクション映画である。その異星人は、赤外線を使って人間を識別していた。最終的に、泥だらけで体温を見えないようにした主人公が、異星人を倒すというストーリーである。
今まさに、それと同じことが起きているのではないだろうか。
そう考えた北上は、思考を張り巡らせる。そして数秒後、一つの作戦に出た。
「うぉぉぉ! 僕はここだぁ!」
その声に反応したのは、敵の斥候だけではない。
エリとリュウ、そしてコバもだ。
「ユウ! 何しとるんじゃ!」
「はよ逃げんや!」
そんな声もむなしく、敵の斥候は全速力で北上の元に向かう。
沼地に近づいてきた敵の斥候が、沼の淵に来た時だった。
北上は魔法を発動する。
『天にまします我らの神よ、我に力を授けよ』
『空気圧縮』
それは空気を集めて、ひも状のひっかけ罠を作るためだ。この罠に引っかかれば敵の斥候は沼に落ちる。仮に引っかからなかったとしても、足元を掬われるので次の攻撃に活かせるだろう。
そう思って発動した魔法だが、思わぬ副作用が発生した。それは周辺の空気をごく狭い範囲に圧縮したことで、周辺空間の気圧が急激に下がり真空に近い状態になったのだ。逆に空気を集めたところで空気が圧縮されて温度が急上昇、付近に存在した草木が発火したのである。
これによって、一瞬気圧の変化による酸欠と意識障害が北上を襲う。それに伴い、魔法が解除されると、圧縮された空気が拡散。まさに爆発のような現象が発生する。
これによって、最も近くにいた敵の斥候が吹き飛ばされた。
北上はほんの一瞬意識を失うものの、なんとかこらえる。しかし、さすがにダメージが大きかったのか、その場に跪いてしまった。
「ユウ!」
「大丈夫か?」
エリとリュウが北上に近寄る。
そんな二人の心配をよそに、北上は敵の斥候に近づく。
敵の斥候はほぼ真上に吹き飛んだようで、その場で気絶していた。北上はそのまま、敵の斥候のゴーグルを奪い取り、それを観察してみる。
ゴーグルを覗き込んでみると、特徴的な緑色の色合いの画面が見えることだろう。
「やっぱり赤外線カメラか……」
試しにエリとリュウの方を見てみると、そこには人の姿がはっきりと見えるだろう。
「一体何ばしやんと?」
エリが先ほどの空気圧縮について聞く。
「空気を集めただけです。それよりもコバさんは?」
「ワシばここじゃ」
いつの間にかコバが合流していた。
「良かった。この人どうしましょう?」
そういって北上は、敵の斥候を指さす。
「せやな……。今ば捕虜として連れていくかなかと。そんに、ワシらの情報ば渡されたら面倒なことになるん」
「分かりました」
「しかしば、誰が運んでいくん?」
「なら俺が運んでいくぎゃ」
リュウが前に出る。
そのまま敵の斥候を担ぎ上げた。いわゆるファイヤーマンズキャリーと呼ばれるものだ。
「んじゃば、早くスイフば戻るべ」
そういって一行は数時間かけてスイフへと戻る。その間、敵の斥候には眠り続けてもらうように、睡魔の魔法をかけ続けたのだった。
スイフに到着すると、作戦本部のある自衛団駐屯地へと向かう。
そこで負傷した団員と敵の斥候は回収され、北上たちはそのまま待機という形になった。
「待機とば言われてんも、することなんぞなかとよ」
「そいつもそうじゃ」
「一応偵察の報告もしましたし……」
「ま、次のうちらの出番ば、バベル軍が接近してきた時じゃろ」
「次の出番……か」
北上は、手に持っている水袋を揉む。行き場のない不安感が彼のことを襲っていたのだ。
†
前線の状態は膠着していた。
バラキを防衛していた自警団の残党が最後の抵抗を続けているため、スイフにバベル軍が侵攻してきてないのだ。
この周辺の町同士は「むやみに干渉してはならない」という暗黙の了解が存在する。それによって、スイフ自衛団はバラキの町に突入できない。それに、仮に今からバラキの町長が支援を要請した所で、バラキの土地はほとんどがバベル軍の勢力下にあるため、どうにもならないだろう。
そんな中スイフの町長は、スイフにいる全ての人に対して緊急退避勧告を発令する。この勧告は、スイフに何らかの緊急事態が発生した時に発せられる、人命を守るための警報の一種だ。
つまり、町長はここでバベル軍と交戦することを容認したということでもある。
そしてこの勧告は、最初は民間の人間に適用される。半分、ある意味非正規の公務員である組合員は、この時点で退避することは出来ない。
「ま、うちらはやれるだけん事をやるだけたい」
「それもそうじゃな」
自衛団駐屯地の野営所で一夜を明かした北上たち。この日も自衛団からの命令はなく、待機命令が出されるだけだった。
前線の戦況は、人づてに聞いている。それがどこまで信憑性のあるものなのかは定かではないが、何も聞かないよりかはマシだろう。
そんな中、北上たちのもとにコバがやってきた。
「コバはん、ケガば大丈夫なんですか?」
「傷はおまんらが治してくれたんし、血の不足ば何とかなった。あとば敵の様子じゃが、アダ=チク師団ば進軍さ止まったそうじゃ」
「自衛団がそちら方面に人を送ったからですか?」
「いんや、そうとば限らん。今ば南ん前線が主要戦場となっとる。アダ=チク師団ばそちらと歩調さ合わせる形にすんため、進軍ば止めたと思われんぞ」
「いくら歴戦の師団と言えんども、単独行動をすんには厳しいもんがあったか」
そうリュウが分析する。
しかし北上の考えは違っていた。一個師団は、一正面に対して作戦を遂行するのに必要最低限の数を揃えた最小の独立部隊と定義されている。
しかし、それでもなお進軍を止めたということは、圧倒的な火力をもってスイフを攻め落としたいと考えているからではないだろうか。
そんな考えが北上の脳裏をよぎった。
「しかし、一万もの人間がおるんや。圧倒的に不利なスイフに勝ち目なんぞあるんやろうか……?」
エリがそんなことを呟く。
それもそうだ。いくら経済的に発展しているからといって、普通の町程度の人口では捻出できる兵士の数は限られてくる。ましてや、相手は歴戦の猛者たちだ。
「勝てるわけがない……」
北上は思わず口に出してしまった。
「んや、その通りばい。あんな連中に勝てるとは思わん。とにかく今んば、バベル軍の進軍を食い止めんのが先じゃ」
コバは言う。
しかし、ここで議論した所で無駄である。
まずは行動しなければならないだろう。
「うちらだけでもええんです、アダ=チク師団の監視に行かせてくだせぇ!」
「しかし、そげばことはワシには決められん。せめて少尉殿ん命令さあれば……」
その時だった。とある兵士がコバに話しかける。
「コバ、中尉から命令じゃ。組合員を複数人、すぐにアダ=チク師団の監視さ当たらせろとんことじゃ。適当に見繕って東側さ行かせてくれと」
「ほんまか?」
願ってもないチャンスである。エリがすぐさま手を上げた。
「うちらが行きます!」
「そげばええんだが、君ら実力ばあるんか?」
「それなりにば経験積んどるつもりどす!」
エリは北上とリュウの方を向いて、問題ないだろう? というアイコンタクトを送った。
北上は大丈夫という頷きを返し、リュウは肩をすくめる。二人とも問題ないようだ。
「んだらば、まずは君たちさ先に行ってもらうべ。場所さ分かるか?」
「東側んの見張り台さ出来とる崖だべ?」
「んだ」
「そんなら分かる」
そうリュウが答える。
「んだらば、自分らで行けんべ。これさ持ってけば、見張り台ん中さすぐに入れてくれるどう。コバはあと何組かん組合員に声さかけてぐで」
「おう」
こうして、北上たちは一足先に見張り台の方へと足を運ぶことになった。
東側の見張り台は、文字通り崖っぷちに建造されている。本来なら危険地帯につき立入禁止。さらには、この崖際の地面を掘り返して、常設のトーチカのようなものまで建造している。見張り台としては、かなり優遇されている場所だ。
北上たちはその見張り台まで歩いていった。当然のごとく、入口には兵士が立っており、簡単には入れてくれそうにはない。
「おまんら、何用じゃ」
「駐屯地から監視ん任務で来た組合員です。こん紙さあれば入れると聞いたんどす」
「どれ……」
兵士は紙を受け取ると、しっかり確認する。
「これば本物や。中に入ってもよか」
そういって中に通される。中には、この見張り台の長のような人がいた
「君んらが組合員か。早速じゃが、監視の任務さ就いてもらいたい」
そういって崖の中にあるトーチカに移動する。
「こんから見えるアダ=チク師団の動向ば監視するだけじゃ。何か動きさあれば連絡しちょってくれ。あとはたまにでよかと、上の崖に生えちょる木から堂々と監視してほしか」
「上に出るんです?」
「んあ。ま、人がおるという認識さ敵に与えるつう目的じゃ」
「はぁ、そんなものですか……」
その他見張り台の部屋などを軽く案内されて、あとは自由にしてくれ、という感じであった。
「そんだば、早速監視さするべ」
「そうですね」
こうして、北上たちは監視任務を開始した。
とは言っても、本当にアダ=チク師団の様子を監視しているだけで、何か起こるような場所ではない。
一日、二日とただ無常に時間が経過するだけである。
「んなぁー……。もう数日くらい監視しとるよなぁ……」
「まだ二日じゃ。監視ば忍耐の仕事じゃけぇ。辛抱せぇ」
確かに、監視任務はとにかく敵の一挙手一投足を見なければならない。仮にアダ=チク師団が前進すれば兵士たちに緊急招集をかける必要があるし、西に動けば西の見張り台に連絡を取りにいかないといけない。
そうでなくても、遠距離からの攻撃をしてくる兆候が見られるなら、真っ先にしがらみのない組合員が対処に向かわないといけないのだ。
そういった意味では、負担は組合員にかかっていると言えるだろう。
「もぅ、面倒になってきよったわ。望遠鏡で見るん疲れたわ」
「音ば上げんな。忍耐じゃ」
「リュウば昔から、そういう地道な作業さ得意やったな」
「毎日ん積み重ねば、未来に繋がるんちゃ」
エリとリュウがそんな話をしている横で、北上は黙々と目視で状況を確認する。
今の所、アダ=チク師団に動きはない。森の近くで休憩しているのか、それとも戦況を見極めているのか、ずっと動かないままである。
「どうじゃ? 敵の様子ば」
「コバはん」
コバが様子を見に来てくれたようだ。
「そんが、アダ=チク師団さまったく動かないんどす。もうこっちから攻撃しかけません?」
「そげなことば無理じゃ。大体、向こうば戦力さ大きいつうのに、なしてこっちから攻勢かけんといけんね」
北上は昔聞いたことのある、ある法則を思い出していた。
一般的には攻撃三倍の法則とも呼ばれ、攻撃する側は防御する側の三倍の戦力が必要になるというものだ。
しかし過去の例では、少数でも多数に勝利したことのある事例が見られるため、全てがこの法則に準ずるというわけではない。
だが、歴戦の猛者と噂されている兵士一万に対して、そこまで強力な軍隊ではない兵士五千程度が戦って、勝てる保障はどこにもない。この戦いは防戦一方、負けが確定している戦いでもある。
そんな時だった。
「伝令ー! 北西方向より敵襲来! 繰り返す! 北西方向より敵襲来!」
その伝令に一同が驚いた。北西方向と言えば、まだバベル軍すらいないはずの、いわゆる空白地帯であったからだ。
それと同時に、リュウが声を上げる。
「アダ=チク師団さ動き出したばい!」
北上もトーチカの中から、外の様子を確認する。
そこには、旗を掲げて接近しつつあるアダ=チク師団の姿があった。
「こげん不味い状況になってもうたー!」
エリが混乱する。正直、北上も混乱したい所だが、残念ながら現状を理解してしまっていた。
「組合員! おるか!?」
東側見張り台の長が組合員を集める。
「今ば苦しい状況かもしらんが、とにかく敵の足を止める必要ばある。組合員は直ちにアダ=チク師団の所さ行き、全力で妨害せぇ。こればスイフの命運ばかかった戦争じゃ」
今ここで、この地域最大の戦力であるスイフ自衛団が倒れてしまったら、周辺の町も巻き添えを食らうことになる。何としてもここで食い止めなければ、明日はないだろう。
「準備さ出来た組合員から防衛戦ば回れ!」
北上たちは専用の武器などは持っていないため、すぐに前線へと駆り出される。
他の組合員も、自分の武器を持って、見張り台から東側の平地へと駆けていく。
その間にも、アダ=チク師団は戦列歩兵のように一歩一歩を踏みしめて接近してくる。
北上たちが賢明に前線へ駆けている所に、後ろから誰かが接近してきた。
「おまんら!」
「コバさん!」
「ワシも出るよう、命令ばされた。直接の指揮は取らんが、援護くらいばするつもりじゃ」
「ありがたいっず!」
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