第36話 冬
ダンジョン四十階層、地龍が横たわっている。もう少しでドロップ品に変わるだろう。
「危なかったなぁ」
「この階層で地龍ですか」
「我のブラッドが効いたのじゃ!」
「そうですね」
ミルスのブラッドで目隠し出来たから討伐に時間はかからなかった。しかしここで地龍は他の冒険者には辛いかもしれないな。
とりあえずドロップ品を回収して、宝箱を開ける。
宝箱には剣が入っていた。地龍剣というらしいが誰も使わないのでアイテムボックス行きだ。
「今日はここまでにしよう」
「ラジャ」
「「はい」」
「のじゃ」
外に出た俺たちはようやく一息つく。
「あぁ、さむ!」
「冬らしくなってきましたね」
たしかに吐く息は白くなって寒さを物語っている。
「寒いから早く転移してください」
「分かったよ、転移」
門の前に転移して中に入ると直ぐに家に転移する。
「ぬはぁー、温いのぉ」
やっぱりエアコンつけて良かったな。こたつに潜ったミルスは亀になっている。
「寒いのは苦手じゃ!」
「だな。とりあえず四十階層まで突破したから春まではその下には行かないで上の階層でレベル上げだな」
「「「えぇー」」」
「寒いのは嫌じゃ」
「ダンジョンの中は寒くないだろ?」
「そこまでが寒いのじゃ」
「だーめ!」
「むぅ」
亀は頭を引っ込める。
まぁ、休みを多くしてやるか。
ポイントを使ったから俺もレベル上げを、頑張らないといけないんだが中々上がらないんだよな。
まぁ、頭打ち的な感じだろうけど。
「それよりチフユはどうなんじゃ?」
「なにがだ?」
「我の感では惚れているだろ?」
「それはチフユと俺の問題だ」
「そっか」
チフユは顔を真っ赤にしている。
「わ、わたしは部屋に行きますね」
「ミルスが余計なこと言うから」
「悪かったのじゃ」
とまたこたつに潜る。
「まぁ、時間の問題でしょ」
アイスを食べながらくるアカネ。
「よくこの寒い中アイスを食べれるな」
「部屋があったかいからね」
こたつに足を入れてミルスを足で追い出しているみたいでコタツがガタガタと震えている。
シータが着替えてやってくるとアカネの向かい側に座り一緒になってミルスを足蹴にしている様だ。
「ぷはぁ!なんじゃお主らは!」
「さっさと着替えてきなさいよ」
「そうですよ。部屋が汚れます」
「ほんとに……」
ブツブツ言いながらも着替えに行くミルス。
さて、俺も着替えてくるか。
冬も本番になってきたな。
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