第32話 日本(一人)
レベルを上げていけば自ずと楽に感じて来る。
「だいぶ楽じゃのぉ」
「本当に!なんであんなにきつかったのでしょうか?」
「いや、だからレベルが低いからだって」
「レベルが低くても倒せてたじゃないかのぉ」
「それは俺らが高かったから」
「なぬ!では我らが足手纏いじゃったというのか」
「そういうこと、でもいまはだいぶレベルが上がってきてるからね」
「ぬー。納得いかんのじゃ」
本当にもう。
「だからレベルが同じくらいになるように今頑張ってるんでしょ?」
「まぁそういう事じゃのぉ」
「ならいいじゃない、いまからうんと強くなれるんだから」
「じゃの!」
アカネがフォローしてくれて助かったよ。
それにしてもようやく十階層のボスも楽に倒せるようになったけど、これからが大変だ。これでもレベルを上げて来たのにもっと上げないと通用しないだろう。
ゆっくりでもしょうがないか。
チフユやアカネもレベルが上がって来て楽そうだし、このままここでレベル上げだな。
「どけ。邪魔なんだよ」
男が割り込んできた。
「お。悪りぃな」
「チッ、こんなとこで溜まってんじゃねぇよ。さっさと下に行きてえのによ」
「あぁ、悪いな」
「おい、さっさと行くぞ!」
男達は去るとミリスが憤る。
「なんじゃあの男達は!」
「しょうがない。あんな奴らもいるんだ」
「わざと我らの間を通って行きおった」
「そう言う輩がいるのよ」
「くぅ、なんだか悔しいぞ」
「あぁ、あいつらも下の階層で洗礼を受けるんだろうな」
「洗礼?」
「あぁ、レベル差を痛感するって事さ」
「あーね。そんなレベル高そうに見えなかったしね」
十一階層からのレベルの上がり方はえげつないからな。初見殺しもいいとこだよ!
だから楽できててもこの場所にとどまっているだけだ。
今の奴らも逃げ帰って来るだろうな。
「さぁ、俺らは俺らだ。やる事やろう」
「そうね、構ってる暇なんかないし」
「そうですね」
まだぶつぶつ言ってるミレスはほっといてここら辺を徘徊するモンスターを倒して行く。
「クソッタレ!なんであんな化け物がいんだよ」
「あれくらいで何言ってんだ」
「お前の剣もボロボロじゃねぇかよ!」
「ウルセェ!あんなの大した事ないだろ!」
「ついてけねーよ」
さっきの奴らだ、だいぶやられたみたいだな。
「何見てんだコラァ!」
「うっせー、見てねぇよ」
「あんだと!」
「やめとけよ!」
「そうだよ、こいつらの方がまともだぞ」
「んだよ!はなせって!」
仲間に連れられて行ってしまった。
「我のブラッドが火を吹いたのに!」
「こら、やめときなさい!」
「アカネも煽るなよ」
「だって、ムカついたんだもん」
その後もレベル上げは夕方まで続行して家に帰る。
「あー疲れたー」
「疲れましたね」
「これで、五日間ぶっ通しじゃのー」
「そろそろ休みにするか」
「そうじゃそうじゃ!」
「んじゃ日本に一旦帰って来るかな」
「あ、私も行きたい」
「いや、一人で行って来る」
「えー。まぁいいけど」
たまには一人で行動したいからな。
「じゃーお土産買って来てね」
「おぅ、何がいいんだ?」
「アイスクリーム」
「オッケー」
「私達のもお願いしますね」
「わかってるよ」
久しぶりに日本に一人で帰る。
日本に夜のうちからきたのでビールを飲んでパソコンをつけておく。
色々とみながら呑んでいるとおかしなものが欲しくなる時があるもんだ。
これがいるとこらもいるよな、でもこれでもいい、と自転車を買おうとしている自分に気付きやめておく。
いや、日本の技術をあっちの世界に持って行くのもいいかな?
ママチャリで十分だとは思うがやはりマウンテンバイクだろ?
あしたはマウンテンバイクを見に行こうと決めた。
朝起きてみるとちょっとだけ二日酔いだな。シャワーを浴びて眠気を飛ばすと、車に乗って自転車屋へ行き、マウンテンバイクを購入する。収納して、次に向かうのは酒屋だ。酒をしこたま補充しておく。乾物も忘れずに。
つぎはスーパーに行ってお菓子をこれまた沢山買う。あいつらが食べて直ぐになくなってしまうからな。
途中でATMで振り込まれているのを確認して少し降ろしておく。
あとはケーキにアイスクリーム、ドーナツにハンバーガー。五人分ともなるとそれなりの量だ。
こんなのアカネとか連れて来たらあれもこれもで収集が付かなくなってしまう。
一人で来たのはこのためだ。
あとはテイクアウト出来るものを片っ端からしていく。あちらのものも美味いがやはり日本食が恋しくなる時があるしな。
さてと、あちらに帰るか。
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