第31話 レベル上げ
ダンジョン十一層、
「ねぇ、やる気あんの?」
「ふあぁ、あるある、ただ寝不足なだけだから」
「やり過ぎなのよ」
「なんか言った?」
「ナーンにも」
十一層、ここはテンタクル。
「きゃーいかよ!」
「イカ焼き!ファイヤーボール」
「ファイヤーボール」
「イカ焼きってこっちにもあるのか?」
テンタクルはチューと音を出しながら丸くなって行く!効いている証拠だな。
「ファイヤーボール」
「フレイムウォール」
テンタクルのドロップはクリスタルと魔石だった。
「チッ!イカ焼きないのかよ」
「あんなデカいイカ焼きはいらないな」
「えー、イカ焼きうまいのに」
「今度日本に行った時にでも買えばいいだろ」
「うん、そーする」
テンタクルを撃破しながらも十二階層、バイコーンだ。二角獣とも呼ばれるそいつは雷撃を放って来る。剣術でなんとか倒して行くが被弾が増えている。
「ヒール」
「ありがとうミルス」
「なんのこれしきじゃ」
なかなか厳しいと思っていると、チフユやミルスが反撃し出した。弓と銃のようなブラッドと呼ばれるスキルでバイコーンを射抜いている。
「ここは私達が!」
「イチヤは休んでおれ」
「ハハッサンキューな!」
頼もしい仲間だ。
バイコーンはドロップに角と皮、魔石を落として行く。それを集めると次の層へ、
十三階層はヘルハウンド、速さにはついていけるため簡単な部類だな。
集団で襲ってくるが、チフユやミルスが牽制してアカネも魔法を使う。シータと俺で肉弾戦をしたら問題ない。
ドロップは牙、皮、魔石だった。
十四階層はスケルトンシャーマン、スケルトンを生み出し続けるので厄介だ。三人に後方攻撃をお願いして俺とシータで突っ込む。
なんとか倒せて残りのスケルトンをやっつけるとドロップが落ちた。杖とローブだった。
流石にちょっときつかったのでここで帰る。十階層まで戻り転移陣で一層に戻り家に帰るとみんな疲れてグッタリとしている。
「何よあれ。十階層からガラッと強くなっちゃって」
「な、ビックリしたよ、さすがAなだけあるな」
「私途中で負けるかと思いましたよ」
「やはりレベルを上げていかないといけないな」
「そうじゃな。多分このままじゃと確実にやられるからのぉ」
んじゃ十階層まででレベルを上げて行くか。
このまま放置でもいいが、せっかく見つけたダンジョンだし攻略したいよな。
次の日は朝から晩までダンジョンの低階層でレベル上げを行なっていた。俺とアカネ、チフユは経験値アップがあるが、シータとミルスはないので、その辺りも調整しながらレベルアップしていく。
「だいぶレベル上がって来たのじゃ」
「ミルスは、最初からレベル低かったしな」
「それはしょうがないのじゃ」
「まぁ箱入り娘だからね」
「そうなのじゃ」
えっへんと胸を突き出す。
皆が自分を守れるくらいはレベルを上げなければな。
俺一人だと厳しい戦いになるだろうし。
パーティーだしな。
「明日くらいはやすみにしようか」
「やった!」
「凄い久しぶりのやすみですね」
「ゆっくり寝るのじゃ」
「読まなきゃいけない本もありましたし」
「それじゃあ今日は帰るか」
「「「「はい」なのじゃ」」」
「休みを取るのは久し振りだな」
さて何をしようか。
タクヤにでも会いに行くか。
王城に行くとバイクの試運転中のタクヤに出会った。
「おお、できたのか?すげえバイクだな」
まずデカい、タイヤなんて人一人以上で、持ち上げないといけないんじゃないか?
「あはは、試作段階ですよ」
あと音がうるさいな。
タクヤはエンジンを止めると、いろいろ調べ始める。
「でもここまで出来たんだな」
「はい。あとは軽量化と静音化、あと動力の単純化ができればいいんですが。
「それは結構難しいだろ。これでも十分走れるんだろ?」
「時速60キロくらいですね。しかも重いから道を削りながら」
「あははは、そりゃまずいな」
「でしょ?」
「鍛冶屋のおじさんに頼んでる部品が届けば組み立てるんですが」
「あー、難航してるのか」
「そうみたいですね」
鍛冶屋で部品を一度につくるのは無理かな。
「鍛冶屋にも顔を出しているんですよ」
「へぇ、タクヤにしては珍しいな」
「さすがに煮詰まって気晴らしです」
「そうか、ならこれも気晴らしにどうだ?」
ビールを取り出すと一つ渡す」
「あ、いいですね」
「やっぱりキンキンに冷えたビールはうまいぞ?」
「あはは、ですよね」
二人で乾杯してあーだこーだ愚痴を話す。
こんな休みも悪くないな。
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