第29話 日本(アカネ)


 オークションで四億も稼いでしまった。

 欲しいものは別にないが、何かの時に貯めとくのもいいかもな。

「日本に行った時に換金できるもの買っとこうよ」

 べつにいいけど、そんなにお金はいらない気がするが。

「んじゃ金製品かな?なんかある?」

「探しに行こうか?」

「んじゃ街ブラだね」

 街をぶらついて色々と別のものを買っていく。

「ただの買い物じゃね?」

「それはそうだけどちゃんと探してるよ!ほら、貴金属店!」

「本当だ」

 中に入って金のネックレスやブレスレットを買う。

 流石にインゴットはやめといた。


「あー買い物楽しかった」

「ですね、色々買えましたし」

「我も満足なのじゃ」

「私も欲しいのが見つかりましたし」

「んじゃ、良かったな」

 最近物欲がなくなってきているな。

「えっちな下着も買いましたよ」

 小声で話すシータがむず痒い。

 性欲はあるんだよ。人並みに。


 晩飯を食って風呂に入るとシータが入って来る。

「なんではいってくるんだよ」

「え?お背中を流しに?」

「それ以外もだろ?」

「もー、えっちぃですね」

 そりゃ裸の女が目の前にいたらね。

「あん、優しく洗って下さい」

 風呂場でやっていいんかい!


 風呂から出ると顔が赤いのが二人、一人は怒っている。

「わ。私たちも、入るんだからね!」

「だから風呂は入れ替えて来たよ」

「我はどうなるのじゃ?一人で入るのか?」

「そこ大事?んじゃまた入るか?」

「はいなのじゃ!」

「最後にしてよね」

「はいはい」


「あれかな?チフユとアカネの家を建てるのもいいんじゃないかな?」

「いや!ここがいいの!」

「そうですよ!追い出そうとしないでください!」

「おおう、わかった」

「アカネもチフユも素直になればいいのに」

「ん?なんか言ったか?」

「いいえ、それよりも晩酌はいかがですか?」

「おっいいねぇー」

 冷たいエールを飲み干して日本産のツマミを出して食べる。

「くぅー!美味い」

「そろそろ日本に連れてってよ」

 んー、四人いっぺんは無理かな。

「一人づつならいけるかもね」

「ならじゃんけんだな」


 勝ったのはアカネだった。

「むー。ずるいのじゃ!アカネは行ったことあるのじゃ」

「そうよ!私達が先に行くべきだと思うわ」

「じゃんけんで決まったんだから文句言うなって」

「んじゃアカネ。行くぞ!」

「ラジャ!」

『転移』


 日本にやって来れたようだ。だが頭が割れそうに痛い!

「大丈夫?寝てなさいよ」

「わ。悪いな」

「スマホ借りるわよ」

「あぁ。なんでも使ってくれ」


「ほんとだ、二ヶ月前に行方不明になってる。でも、ほとんど亡くなったのね」

「そうだな。家に帰るか?」

「いまさらよ、帰っても私は死んだ事になってるわ」

「そうか?いまならまだ帰れるんじゃないか?」

「そんなに帰らせたいの?」

「いや、俺はもう親がいないからな。親がいるならいたほうがいいと思っただけだよ」

「なら大丈夫。わたしの親も保険金がおりてウハウハなんじゃないかな?」

「そんな」

「そんなもんよ。私の髪は赤いでしょ?どっちにも似てないのよ」

「そうなのか」

「最初は知らないけど、親が喧嘩ばっかりしだしてからは、私の髪のことをよく揉めてたわね」

「そんなの気にする事ないのにな」

「そうなのよね。てことで、私は帰る気ないからさ」

「んじゃ買い物でも行くか。だいぶ楽になったしな」

 本当はまだ痛いけど。

「ラジャ!」

 車で行きたいところへ連れていく。金は換金したらかなりの額になって、カードに振り込んでもらう事になった。

「わたし寿司食べたい!」

「回ってるとこな!」

「ラジャー!」


「サーモンばっかり食べるなよ!他のも食え!」

「いいの!サーモンが好きなの!」

「んとに」

 まぁ楽しんでくれてるみたいだしいいかな?

「よし。つぎはお土産だぁー」

「まだ買うのかよ」

「お土産買ってかなかったらどうなってもしらないからね」

「怖いこと言うなよ」


 大量の荷物をアイテムボックスに入れて帰還する。


「おかえりなのじゃ!」

「お帰りなさい」

「お帰りなさい」

「ほらね!」

 みんな手を出している。良かったよ、買っといて。

 っていっても化粧品やポーチなんだけどな。

 好きに使ってくれ。

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