第28話 オークション


 流石に次の日には普通になっていた二人だった。アカネとチフユは我慢してもらうしかない。

「アカネ?」

「はいぃ!」

「手をだせよ、転移できないだろ?」

「うん」

 「転移」

 ダンジョン前に着くと冒険者が多い。

 こりゃ凄い人だな。

 外にあるクリスタルに手を合わせて五階層まで飛ぶ。

 人が少なくなったが、もうここまで来ているのか。

「さっさと下に降りよう」

「だね」

 下に降りる階段はわかっているのですぐに動くが、

「カエルイヤー」

「ミルスは大丈夫なのか?こんなに魔法連発して?」

「カエルよりマシなのじゃ!」

「そうか。あんまり無理するなよ?」

「わかっておるのじゃ旦那様」

「……はい」

 七階層に降り、スケルトン、それは気にしないで俺が粉々にしていく。

 八階層に降りて、そこからは探索だ。

 流石にここまで来ている冒険者はいない様だ。


 八階層までくるとガーゴイルが出て来た。

「おい!俺が行く!」

 魔剣をつかうが、なかなかガードが硬い、

「アイスランス」

 ガーゴイルの足を貫き体勢を崩したところで斬り倒す。

「結構強いぞ!無理はしない様に」

「はい」

 倒しながら進んでいるとようやく九階層への階段を見つけた。


 九階層、サーベルタイガーかよ。

 こいつもすばしっこくなかなかだが、転移&斬り倒しには勝てない様だ。

「我らも戦うのじゃ!」

 まかせるとチフユの弓が眉間に刺さり倒れる、ドロップ品が毛皮、キバ、魔石と今回もいい金になりそうだ。

 そこからはミルスがブラッドで倒したり、アカネが魔法で、シータが短剣で難なく倒していく。

 十階層につくと門があり、ボスだとわかる。

「開けるか」

「はい!」

 静かに開いていくドアにビックリしながら、目の前の敵を見るとゴーレムだ。

 一斉に攻撃をするとゴーレムは崩れて、また蘇る。どこかに核があるのか?

 もう一度一斉に攻撃を仕掛ける。

「あった!あの赤い塊だ!」

「はい!」

 チフユが赤い塊を射抜くとゴーレムは砂になって消えた。

 ドロップ品はミスリルの塊と魔石、宝物は指輪タイプのマジックバックだった。これは欲しい奴は欲しいだろ。

 クリスタルが出てきて、これで外にもどる。


 ギルドに行きドロップ品はおろして、金をもらう。

「オークションはやってないのか?」

「やっておりますよ。なにか出品したいのですか?」

「この指輪型のマジックバックをね」

「わ、分かりました!ここでお待ちください」

「ギルマスが登場か?」

「やぁ、マジックバックだって?ギルドに下ろしてくれたらよかったのに」

「やだね、それよりオークションに出すほうがいいだろ?」

「そうだね、高くつくからね」

「で?いつ開催だ?」

「一週間後だよ。それまでは預かっておくよ」

「わかった、盗られるなよ?」

「分かってるって」


 初オークションだ、どれくらいの値段がつくか楽しみだな。


 それから一週間、十五階層まで降りた俺たちはまだ始まっていないオークション会場にいた。

「いや、今回の大目玉!マジックバックが出品なされるとは私達も気が引き締まります」

 オーナーと直接話をして中に入った。


 富裕層が多いこの会場でも冒険者がちらほらと見える。目当ての品があるのか?


 結局最後まで接戦は、見れなかったがこれからだ。

「さぁ、最後は指輪型のマジックバックだぁー」

『うおぉぉぉおぉぉぉ!』

「一千万ゼルから」

「一億」

「最初からとばしますねー、一億出ました!」

「二億」

 金持ってる奴は違うね。

「三億」

「三億一千万」

 おっここから刻んでいくか。

「四億」

「四億出ました!他には?いない様なので四億で落札」

 すげぇなあんなのに四億も、どんだけ金持ちだよ。


「あれは王家が落札したらしいです」

「なーんだ。すげー金持ちかと思った」

「それでも手数料引いて三億九千万以上ですよ」

「な!ボロ儲けだ」

「新しく家でも買う?」

「いや、いいだろ?」

「なんに使うの?」

「迷うねー、って何も考えてないだけだけど」

「えー!」

「いや、オークションって一度は見たかったからさ」

「もう!なら他のやつでもよかったでしょ?」

「あれ?欲しかった?」

「別に欲しくはないけど」

「ならいいじゃん、いいオークションだったな」

 

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