第26話 トロール

「でもダンジョン楽しいじゃん」

「危険ではありますがまだ二層ですし」

「そうなのじゃ!我よ強くなったのじゃ」

「じゃあ危険と判断したら止めるぞ?」

「「「「はい」なのじゃ」」」


 ダンジョン三階層、

 これまでとは違う雰囲気だ。

「何か来ます!」

「ウゴオオオォォ」

「チッ!オーガかよ!」

「そのまま!アイスランス」

 アカネのアイスランスがオーガの腹に突き刺さる。

「オラッ!」

 胸を斬り裂き後退すると前のめりで倒れ、灰になっていく。

「ナイスアカネ!」

「でしょ!」

 オーガのドロップはツノと皮と魔石だった。

「オーガもなんとかなるわね」

「だな、ダンジョンの探索を再開しよう」

「なんか下の階層に行くごとに強くなってるな」

「うん、罠もでてくるんじゃない?」

 それは流石にキツイなぁ。

「罠探知全開?」

「当たり前」

 そうだよな。アカネ頼りだ。

「またオーガなのじゃ!最新式を喰らうがいい」

“チュドーン”

「やり過ぎたのじゃ」

 まあ、ミルスもチフユも強くなって来てるし大丈夫かな。

「よし、ガンガンいこうか」

「ラジャ!」

 三階層には宝箱が一個しかなかったがチフユの弓が手に入ったのでよしとしよう。

 四階層が武装オーガ、武装しててもオーガはオーガなので変わりはない。ドロップ品が少し変わって武器や防具が落ちる様になった。

「これ売れば良い値がつくだろうな」

 アイテムボックスに入れて行く。

 みんなのレベルも上がって来たが五階層の トロールはちょっときつい。

 回復でちょっとくらいの傷ならすぐに回復してしまう。どうしても過剰に攻撃するしなければならない。

「なかなかしんどいのじゃ」

「ここら辺で一階層帰ろうか」

「ラジャ」

「はーい」


 ギルドに持って行くとトロールの皮で一悶着あった。

「どこでトロールを見たんじゃ?」

「近くだけど」

「こりゃやばいかもしれんな」

「なんで?」

「トロールはここら辺じゃ見ないモンスターじゃ!生態系が変わって来とるかもしれん」

 まぁ、ここら辺でダンジョンのことを話すか。


「ダンジョンを見つけたのは本当なのか?」

「はい、東の森の中腹に洞穴があってその中がダンジョンになっています」

「了解!すぐに職員を派遣しろ!冒険者もな!悪いが道案内を頼む」

 ギルマスは焦っている様だ。

「分かりました」


 職員と共にダンジョンへ向かうとほら穴に着く。職員と冒険者は中へ入っていったが、一向に帰って来ない。

 迎えに行くとゴブリンに苦戦していた。

「なにやってんすか!」

「いや、このゴブリンは異常に強いぞ?」

「そんなことないですよ」

 斬り倒し外に出る。

「ここはA級ダンジョンに指定する」

「は?ゴブリンでですか?」

「何か?」

「別にいいですけど」

 俺らがダンジョンのあれこれを言うのは違う気がしたのでそこは譲る。


「A級ダンジョンだと!なぜ今まで誰も見つけなかったんだ!すぐに監視して、Aクラス以下は侵入禁止だ」

 五階層までのマッピングをし、渡しておく。

「助かる!君達はAランクにあげるからこれからも期待している」

「はーい」


「ダンジョンが封鎖されるとは思わなかったな」

「ただのゴブリンにやられる様な職員達よ?」

「まぁ、普通のゴブリンよりは強いけどな」

 盗賊退治しなくてすむなら別にいいけど、いきなりAランクアップはきついな。

 何かさせようとしてるのが丸わかりだ。


 俺たちは俺たちにしかできないことをやろうか。

 「転移」

「もうだいぶ慣れたんじゃない?」

「はぁ、疲れるけどね」

「大丈夫ですか?」

「あんまり無理しちゃダメですよ?」

「倒れたら我が看病するのじゃ」

 それはごめん被りたいな。

「よし。ダンジョンに入ろうか」

「あ、イチヤさん達Aランクがきたぞ」

 ダンジョンを守っている衛兵が嬉しそうに出迎えてくれた。

「どうしたの?」

「怖いんですよ、ここは」

「二人でここの衛兵を任されてますがいつ暴走が起きるか考えると」

 そうか、それもあるんだな。

「まぁ、今から中に入ってみるから」

「よろしくお願いします」


 中に入るとゴブリン共を狩り、二階層へ、

 三階、四階層と歩みを進めて五階層へと足を踏み入れる。トロールが出てくる場所だ。

「気をつけろよ!」

「分かってるよ!」

「はい」

 腹のでたトロールは動きは緩慢だがパワーがあって浅いと傷も瞬時に治る。

 俺が首を斬ればすぐ済むが、アカネ達だけでも倒せるようにしておきたい。

「アイスニードル」

「シッ」

「どりゃぁなのじゃ」

「うおぉぉ!」

 四人のコンビネーションもあって来ており、トロールもだいぶ簡単に倒せる様になってきたな。

「よお!」

「お、宵闇も来たのか?」

「まぁ、念の為な。五階層のトロールは手こずったぜ」

「俺らも今倒したとこだよ」

「他のギルドからも応援が来るみたいだから、ここも人が多くなるぞ?」

「そうなのか?」

「そりゃ生きてるダンジョンなんて化石に近いぞ!そんなとこを探索できるなんて冒険者としては血が騒ぐだろ」

 と騒ぐ宵闇のリーダー。

「じゃあ、宝箱はあったか?」

「宝箱があんのか?」

「ここでは見てないが四階層まではあったぞ?」

「かー!早くそれを言えよ!探すぞオメェら」

「「「おう」」」

「じゃな!」

 宵闇は宝箱を探しに行ったみたいだ。

 俺らは六階層への道を探していた。


「トロール倒したのじゃ!」

「はぁ、はぁ、」

「だいぶ慣れたんじゃないか?」

「そうでもないよ?こいつらしぶといから」

「ですね、なかなか倒れないんですよ」

「関節狙えば良いよ」

「もう、後出しはやめてよね」

「早く知りたかったのじゃ」

 それからは関節を狙い動けなくなったトロールを倒している。

「断然楽!」

「攻略法がわかればイチコロですね」



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