第23話 日本


 部屋の掃除をしていつでも呼べる様にする。あ、あと金の買取も行って来た。現金でもらうので手が震えたな。

 宝石はまた今度にしよう。


 あとバイクの本も、タクヤのために買って来て、サクヤはわからなかったから花屋に聞きに行って鋏を買った。

 王様には酒かな?酒でいいだろ。団長には腕時計を買った。俺や女物も四つ買った。頑丈なやつだ。

 これでいいだろ?

「転移!」


「うわ!」

「なのじゃ」

「お、お帰りなさい」

「おかえりなさい」

「ただいま!やっと帰って来れたよ!」

「えっ!さっき行って来ますっていってたよ」

「え?」

 時間の感覚がズレてるんだな。

「みんなにお土産」

「なになに!」

「あっこれ可愛いのじゃ」

「あっ!こっちがいいです」

「あーもう!でもこれもいい」

 買って来た時計を各々が取ると、お菓子やジュースを出すと久しぶりと喜ぶアカネとチフユだった。

 

 ある程度楽しい時間が過ぎてから、アカネとチフユにコピーした紙を渡す。

「あっ、ああ!私そうだ!修学旅行中にバスが!」

 アカネは思い出した様だ。

「私も記憶と合ってますね」

「俺も一人キャンプしてたところでいなくなったみたいだ。会社もクビになってたよ」

 銀行に金はあるからアパートは無事だったけどな。

「日付まで一緒なんだ」

「あ、本当だ」

 これで二人とも帰ったら時の人だな。

「まぁ帰んないけどね」

「ん?どうして?」

「私思い出したの、私の家族のこと」

「それで?」

「離婚の調停でゴチャゴチャ、私なんかいなくても平気だったのよ」

「そんなことないだろ?いたほうが」

「いいの!こっちの方が楽しいし」

「私も帰らなくていいです」

「えぇ!チフユも?」

「私の親も虐めの話しても全然聞いてくれないし、二人とも無関心でしたから」

「そんなこと」

 そんなことあるのかよ!

「まぁ、まだ時間はたっぷりあるさ、俺が一緒に転移できるまでは行けないんだし」

「そうね」

「そうですね」


「これつけてくれなのじゃ!」

「はいよ」

 真っ白の腕時計をつけてあげる。

「可愛いのじゃ」

 ミルスは嬉しそうにお菓子を食べに行った。

「私のもつけてください」

 ピンクの腕時計をつけてあげる。

「えへへ」

 シータも嬉しそうだ。


「俺王城にいってくるけど、大丈夫?」

「「「「大丈夫」なのじゃ」」」

 土産を持って王城へ行く、先ずは団長から渡すと、

「いいのか?こんな精巧な時計を?」

「頑丈だからいつつけてても大丈夫ですよ?水に濡れても大丈夫ですしね」

「おお!ありがとう」

 団長は早速つけると自分の腕を眺めている。

「こんなものがもらえるとは思わなかったよ」

「団長にはお世話になってますし」

 泣きそうだったので早々と退散する。



 次はサクヤのとこへ、

「あら、イチヤじゃない!どうしたの?」

「お土産がよく分からなくてさ、花屋に聞いたらこれがいいっていわれて、花鋏とデザインバサミってやつを渡す。

「きゃー!欲しかったのよ!これ!ありがとうチュー」

「やめろー!」

「もう!でもありがとう!日本に帰れたんだね。で、花屋でちゃんと聞いて来てくれたんでしょ?」

「そうだね」

「それが嬉しいのよ!ありがと」

「いーえ、どういたしまして」

 これでサクヤもオッケー。


 タクヤは城の地下でバイクをいじってるだろう。案の定そうだった。

「タクヤ」

「あ、イチヤ?どうした?」

「これお土産」

「えっ!あ、バイクの本!欲しかったんだ!」

「だろうと思ってさ」

「え?日本に帰れたの?」

「おう!俺だけだけどな」

 それから少し話をして、

「今度は僕のことも調べてくれる?どうなってるのか知りたいから」

「あぁ、いいぞ、フルネームは?」

「小林拓也だよ」

 と紙に書いて渡される。

「頼んだよ」

「任せろ」



 んじゃ王様に献上するかな。


「ほう、これが日本という国の酒であるか?」

「はい、王様にはお世話になってますから」

 三十本ほど色んな酒を買って来た。

「ほう、宝石の様なものから素朴なものまであるな?」

「これはウイスキーでこれが日本酒ですね」

「ありがたい。礼に何か欲しいものはあるか?」

「いえ、今のところは十分生活できてますので!」

「そうか、また頼ってくれ」

「はい!」


 これで皆んなにお土産も渡せたし、日本にも帰れた。

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