第20話 レベリング


「チフユ!そっち!」

「はい!」

 チフユの矢が刺さり、ホーンラビットが倒れる。

「ナイス!」

「はい!」

 弓術を持ってるから弓にしたんだが、百発百中で当てるからたいしたもんだな。


 チフユは胸が大きいらしく、胸当てのある弓師用の防具を着ている。

 目元が隠れてるのによく見えるな?

 よし、そろそろレベリングを再開するか、オークの巣でレベリング出来なかったからな。

「よし。東の森に向かおう」

「「「はい」」」

「えー、オークはもういない?」

「倒しただろ?それにいたとしても俺らの敵じゃないじゃん」

「それもそっか」

 アカネも納得して五人パーティーで行動する。シータが斥候、俺がタンクで、あとは後衛だな。ミルスが育ったらどんな立ち位置になるかだな。

 

 東の森に入ると先ずはビックボアが出て来たのでミルスとチフユに攻撃させてから倒す。

「わー、レベルが上がりました!」

「我もじゃー!」

 まだまだ上げてもらうよ。


 どんどん倒して行きレベルが三十くらいになったらしいところで今日は帰る。

「こんなに外が楽しいなんて知りませんでした」

「じゃろ?我もじゃ」

 ミルスとチフユは気が合うみたい、二人とも引き篭もりだったしなぁ。


「ご飯は任せて下さい!」

「おう!手伝うよ」

「大丈夫ですよ、簡単なものなんで」

「おう!」

 チフユは料理スキルも持っていたし料理が得意なのかもな?


「うまっ!」

「美味しいです!」

「マジで美味いんだけど?」

 久しぶりのカレーはとても美味しく、懐かしい感じがした。

「これは美味いのじゃ!」

「ありがとうございます」

 ミルスのどこに入るのか分からないが、おかわりを四杯もしている。


 俺らはもうお腹いっぱいで動けなかったが、アカネが言い出す。

「私らどうなるのかな?」

「…さぁ?俺も思い出せないんだよ」

「私も、他の渡り人に聞いてみようかな?」

「そうしようか?さすがにチフユだけ覚えてるのはないだろう」

 サクヤとタクヤにも聞いてみよう。


「よぉ!タクヤ」

「ん?あぁイチヤか」

「どうだ?バイクは?」

「もう少しかかるけどだいぶ出来上がって来たよ」

「そうか。で今日は……」


「そう言うことか。僕もうっすらだけど覚えているよ?僕は大学の帰り道で急にあの空間に呼ばれたんだ」

「まじか?なら、あっちでは」

「行方不明じゃないかな?」

「そうかぁ。なら帰れたら帰るよな?」

「そりゃ、帰れたらね」

 バイクを見て寂しそうにしているが帰れたら帰るのが一番だもんな。


 サクヤにはアカネが聞きに行った。

「サクヤもお花屋さんで働いてる時に急にあの空間にいたらしいわよ」

 じゃあ。俺たち全員、行方不明になってるってことか。

「帰れるかなぁ?」

「それは分かんないな、渡り人が帰ったって話はないみたいだし」

「そうなんだ」

「分からないぞ?ポイントでどうにかなるかもしれないし」

「そ、そうよね!」

「二人は帰りたいんですか?」

 チフユが聞いてくる。

「分からないから帰りたいんじゃないかな?」

「分からないから?」

「俺は自分が何をしていたのかすら分からないから帰って確かめたいってのがあるな」

「あ、あたしも!ほんとに何も覚えてないんだよね!」

 そう覚えてないのが怖いんだ。


「分からないから……」

 分からないまんまじゃ俺が俺じゃ無くなる気がするんだ。

「だから日本に帰ってみたいんだ」

「私も」

「我はイチヤの住んでたところが見たいぞ?」

「私も見てみたいです」

「じ、じゃあ私はこのまま帰れるのかを確かめたい」

 よし、決まりだな。

「日本に帰る方法を探してみよう」

「「「はい」」」

「なのじゃ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 東 一彩ひがし いちや 20歳

 レベル71

 力 S

 体 S

 速 S

 知 A

 魔 S

 スキル 魔力操作LvMAX 体術LvMAX 火魔法Lv7 風魔法LvMAX 土魔法Lv7 水魔法Lv7 生活魔法Lv7 剣術LvMAX 身体強化Lv8

 ユニーク 取得経験値アップ

アイテムボックス

スキルポイントアップ

 残りP9300

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 もうすぐで一万ポイント、楽しみのようで怖いな。一万ポイント貯めても出なかったら何を探せばいいのかな?

「図書館に行くのじゃ!」

「いいですね」

「それがあったか、王様に聞いてもいいしな!」

「じゃあ俺が王様に会ってくるよ」

「じゃあ私達は手分けして図書館で色々探してみるよ」

 さあ、行こう。


「そうか、それじゃあ国の文献を見ることを許す」

「ありがとうございます」

 王様に許してもらい国の資料を読ませてもらうが、これと言って見つからない。量が多いので明日も来ることを約束して家に帰る。


 図書館組も全滅のようで、そもそも渡り人の文献が少ないらしい。

「じゃあ明日はこっちを手伝ってくれるか?」

「ラジャ」

「「「はい」」なのじゃ」


 王様に許可をもらい五人で探すがやはりそう言う文献は見当たらない。


「ないのう」

「こっちも違いますね」

「これも違うよ」

「これもだ」

「これ、地球から物を取り寄せるって書いてありますね」

「「「「えっ!」」」」

 そこには地球から物を取り寄せるスキルを持つ者がいたことがわかる。

「こう言うスキルあった?」

「さあ?多すぎて探しきれなかったもん」

「そうですね、最初の方で大概揃ってましたし」

「やっぱりスキルがあるのかもしれないな」

 異世界転移だから転移とか、

「俺がもうすぐ一万ポイントになるから探してみるよ」

「おぉ!凄えじゃん!」

「やっぱりイチヤは凄いですね」

「ポイントがわからん我らにはピンとこんのう」

「でも、一万ポイントって凄そうですよ?」

 コツコツ貯めたからな。

「じゃあレベル上げだな。どうせならレベリングしながらでいいか」

「賛成です!」

「ラジャ」

「はい」

「なのじゃ」


 王様にお礼を言って、東の森でレベリングを再開する。

「イチヤ!」

「ほい!」

“ドサッ”

 ビックボアはもう楽勝だな。オークジェネラルにもいまなら勝てそうだな。

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