第12話 豪邸
三人に会った俺らは王城に住まないかと言われたが断った。流石に渡り人が全員住んでるなんて何様だって感じだ。
「気にすることないのですよ」
「いや気になるでしょ!」
「何よりあの三人と一緒なのが嫌」
「サクヤさんと仲良かったじゃん」
「それとこれとは別!誰かに養われるなんて自由じゃないわ」
言ってることはわかる。
「さてと、宿探すか?」
「じゃあ家なんてどうでしょうか?」
「家?もらえるの?」
「王様には許可をいただきますが大丈夫だと思います」
「それなら、ねぇ」
家なんてもらっていいんですか?
「まぁ王様がノーって言うかもしれないし聞くだけ聞いてみてください」
「分かりました!」
そして、
「これ家?」
「豪邸ね」
「きゃー凄いですね」
家はもらえたがそれは豪邸であった。
中を見て見ると部屋が八部屋に書斎や主人が住む様の部屋。客間が二つに風呂にキッチン、リビング、ダイニング。その他もろもろ合わせて豪邸だ。
「これは流石にやり過ぎでしょう?」
「いえ。これ以下の家がありませんでしたので」
これ維持するだけで金かかるよ。
「これは貰えませんよ」
「いえ、維持費は入りませんし奴隷も付けますから」
「えっ!奴隷?」
いや奴隷なんかは要らないです。
「なおさら要らないですよ」
「ご心配ならご自分の奴隷を持ちますか?」
「いやそう言うのじゃなくて」
「では?」
「この家入りません!」
「「えぇー!!」」
「なんでなんで?」
アカネとシータが聞いてくるが、
「だって奴隷もついてくるって」
「えー、奴隷ならまだいいんじゃないですか?」
「ええ?」
シータが賛成している。
「借金奴隷ですよね?」
「もちろんそうです」
「借金奴隷は借金を返し終えたら普通の人になれるんですよ」
「まじで?」
「そうなの?」
「だから仕事ができる人が来ると思いますし、国が買い取ってるんですからお給金もそれなりにあると思いますよ」
なんだ奴隷って言うからもっと酷いもんだと思ってたよ。
「じゃあここでいいかな」
「私も賛成!」
「私はイチヤについていきます」
団長はようやくかと肩の荷が降りた様に、
「それではここでいいですね」
「「「はい」」」
家具なんかも備え付けられてるし、そのまま住めるな。
「イチヤと私がこの部屋で」
「いや、それはないでしょ?」
「えー!なんでなんでなんで?」
「あのなぁ、そう言うのは好き同士が」
「イチヤは私が嫌いなんですか?」
「いやそう言うわけじゃなくて」
「もう!ちゃんと言ってください」
「す、好きだけどだな」
「えへへ、今日はこれくらいにしといてあげましょう」
なんかいいように扱われてる気がするな。
「それでは。みぎからメリッサ、アーシャ、このふたりが炊事、洗濯など家事全般を行います。イドルがこの家の護衛になります」
メリッサはふんわりとした茶髪の女の子で爆乳だ。アーシャは金髪ストレートのちょっときつそうな女の子。イドルは初めて見た獣人の男で狼の様な顔をしている。
「わぁ、初めて獣人の人を見たわ!尻尾触っても」「ダメです」
「耳触って」「ダメです」
「もーどこなら」「ダメです」
イドルは触られるのが嫌いらしい。
「さぁ仕事をお願いしますよ」
「「「はい」」」
テキパキと動く二人に、警備室に入っていくイドル。
「凄いな」
「ね、あの尻尾絶対触ってみせる」
「やめとけよ」
「えー、絶対ふわふわなのに!」
「嫌がってんだからやめとけって」
「ぶー」
「それより部屋決めたか?」
アカネとシータに聞くと、
「イチヤがリーダーだからあのでかい部屋で、私達がその隣二つを使うわよ」
「……分かった」
決まったならいいや。文句言ってもしょうがない。
「んじゃギルドでもいってみますか?」
「ラジャ」「はい」
革鎧に剣を刺して準備万端。
大通りを歩いて行くと貴族街から出る。
そして大通りをそのままいくと右手に冒険者ギルドがあった。
「ここまで遠いな」
「そうね。でも来れない距離じゃないわね」
中に入ると昼なのに人がまだいるな。
Cランクの張り紙にはヴァンパイヤ擬きやミノタウロスの討伐などが貼り付けてあったがどれも古そうだ。
よく読むとヴァンパイヤ擬きはこの街の家に住み着いているらしく、報酬がその家になっている!
「これやらないか?」
「えー、家ならあるじゃん」
「なんか落ち着かないんだよな」
「あ、まぁ、分かりますね」
自分らの身の回りの世話とかされるのってちょっとね。
「私はあの家でも良いけど、イチヤがやりたいってんなら」
「アカネだけ住めば良いじゃないか?」
「それは嫌!」
受付に持っていくとドッグタグを見せて、
「この依頼なんだけど、本当に家がもらえるのか?」
「はい!塩漬けになっていた依頼ですね。受けるのですか?」
「あぁ、なにかあるのか?」
「ヴァンパイヤ擬きと言ってもヴァンパイヤとほとんど同じなので強いです。しかも擬きなので陽の光など弱点がないですね」
「そうか、なら強い人ってことか?」
「まぁ、そうなりますが、銀製のナイフなどで心臓を刺さないと死なないかもしれませんね」
「分かった。なら行こうか」
「「はい」」
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