第11話 王都と三人の同郷
「王都です。やっと着きました」
「おぉ!やったー!」
「お尻が限界」
「大丈夫ですか?」
王都はデカかった。
並んでる人を横目に門の横から入っていき、中に入る。
大通りに面した建物もでかいし、なによりメインストリートが広い。
「とりあえず宿に向かいます」
「あ、このまま王さまじゃないんだね」
「そりゃそうでしょ?そのまま会うなんて出来ないって」
「宿で疲れを癒しましょう」
豪華な宿に連れて行かれマッサージを受ける。
「あー、まじ気持ちいい」
「本当やばい」
「気持ちいいですね」
そして飯が豪華だった。
「俺太るかも?」
「私もやばいかも」
「私はぽっちゃりでも平気ですよ?」
風呂も豪華。
「あー、いい気分だぁ」
「あー、シータあっち行ってくれば?」
「いいですね」
「よくねぇよ!」
寝室も豪華。
「これ寝れるわ」
「夜這い?」
「はい!鍵が困難で失敗です」
防犯バッチリだ!
「どうです?王都一番豪華な宿は?」
「バッチリでした!」
「最高です」
「あの鍵が!」
シータはご機嫌斜めだ。
「それでは王様に会ってもらいます」
「この格好でいいの?」
「帯剣は外してもらいますが大丈夫です」
「冒険者の格好でいいのね」
「それは楽です」
王様に会うのにだいぶ時間がかかるんだなぁ。それにしても王都がでかい!
馬車移動なのでよく分からないがそれでも王城まで三十分はかかっている。
「私の後について来てくださいね」
「「「はい」」」
扉を開けると家臣が並んでいてその真ん中を歩き中央部で止まり片膝をつく。
「面をあげてくだされ」
「は!」
ふくよかな王さまに王妃さま。
「渡り人よ、よくわが国へ参られた。其方たちを歓迎しよう」
「「はい!」」
「必要な物はあるか?」
「特にないです」
「本当に?」
「本当です」
「なら欲しいものができた時ということでいいかな?」
「はい!」
特にこれと言って何もなく話はトントン拍子で進んでいく。
「同郷の者らと会っていくが良い」
「はい!」
謁見は終了し、今度は同郷の奴らと会うことに。
「ダイスケはこちらに住んでいます」
「げ!王城に?すげぇ根性だな」
「凄いですねー」
俺なら絶対やだな。
王城内を歩いていく。
「ここがダイスケの部屋です。入るぞ」
「ん?勝手に入ってくるんじゃないんだな」
「すげぇデブじゃん!」
「こらアカネ!」
そこにいたのは百五十キロはありそうな巨漢が座っていた。
「誰がデブなんだな!失礼なんだな!」
「凄いキャラだな。ここから出れるのか?」
「しつれいだな!出てるからトイレにもいけるんだな!」
トイレにいけなくなったらダメだろ?
「この人達はダイスケと一緒で渡り人です」
「そうなんだろうと思ったんだな」
「普通わかるわよね?でもこんなデブと同じにしないで」
「また言ったんだな!このブス!」
「あ?誰がブスだって?」
「止めろアカネ」
意外と口悪いな。
「はぁ、疲れたんだな」
「疲れんなよ!」
「カロリー摂取しないといけないんだな!」
「いや、痩せろよな!」
「うるさい!僕はもう戻れないなら好きな物を目一杯食べるんだな!」
いや、人それぞれだからいいけどさ。
「急に戻れるってなった時後悔しない様にな?」
「分かったんだな、君は普通なんだな」
「まぁな、で?どんなスキルを持ってるんだ?」
「それは言えないんだな」
「そうか分かった。もういいだろ?」
みんなに聞くと頷くので、
「またな!ダイスケ」
「こんどは一人で来るんだな」
「わかったよ」
ダイスケはそれで別れた。
「あのデブ、私にブスって言った!」
「アカネがデブデブいうからだろ?」
「だって、あんなデブとは思わないじゃん」
まぁ、太ってはいたな。
「しょうがないだろ?そういう人もいるさ」
ダイスケがこっちに来てから変わったのかわからないけどな。
「次はサクヤさんですね、たぶん薔薇園にいると思います」
また王城にいるの?このぶんだと三人目も、
「サクヤさんは薔薇園を所望したので今は薔薇園の管理をしていますね」
「ちゃんとしてるのか」
「あらこんにちわ」
「「こんにちわ」」
このひとがサクヤさんか?
可愛らしい桜色の髪のふんわりした人だな。
「あれ、サクヤさんは?」
「え?」
「はぁい!私ならここよ」
「ゲッ!」
ゴツい男の人がそこには立っていた。ツナギを着て土いじりをしてるおっさんだ。
「ゲッってなによ!あら?貴方達は渡り人なのね?こんにちわ、私が作弥よ!」
「こ、こんにちわ」
「なぁに?私はこんなでも心は乙女なんだから傷つくわよ?」
「すいません、イメージと随分違ったもので」
「いいわ、慣れてるから!それよりどう?この薔薇園?綺麗じゃない?」
「綺麗」
「そうですね」
「私が育ててるの!珍しい青い薔薇もあるのよ!」
「わー、見たいみたい!」
「きゃー、綺麗!」
女たちはすぐに慣れたらしい。
「綺麗なもんですね」
「あら、レディーがこれだけいて薔薇だけ褒めるの?」
ウザっ!だめだ!
「それは気が付きませんでしたよ」
「それは薔薇みたいに綺麗ってことかしら?きゃー」
「「おぅ!」」
お、女どもも引いてるじゃないか。
「着替えてこようかしら?」
「いや、顔合わせだけなんですぐ帰ります」
「あら。ならまた今度お茶でもしましょうね」
「はい、お願いします」
「じゃあねぇ!」
濃い人二連発だよ?
「団長?三人目は大丈夫?」
「はい!普通の人だと思いますよ」
「やっぱり普通の人じゃなかったんかい!」
「サクヤさんは特殊な人ですが優しい人ですよ?」
「まぁ、わかる気がするけどさ」
俺がゲッって言っても笑って許してくれたしね。
「タクヤは地下室にいますね」
「やっぱ変じゃないか!」
「そうですかね?」
「はぁ、さっさと終わらせて帰ろう」
地下室に行くとガチャガチャとうるさいな。
「タクヤ、同郷の人達がきたよ」
「ん?あぁ、ちょっと待ってくれ」
おっ、普通っぽいぞ!
「またせたね、僕がタクヤだ」
普通に髪は長めだがただそれだけで、ツナギをきて油でちょっと汚れている。
「俺がイチヤでこっちがアカネにシータだ」
「名前から言って二人は同郷だね。よろしく」
「あぁ、よろしくな」
「何作ってるの?」
「あぁ。僕は生産職だからいまバイクができないかと試行錯誤してるところだよ」
「へぇ。生産職か、そっち方面に千ポイントぶっ込んだんだ?」
「流石にそれはないけど、そういう事かな?」
「なら頑張ってくれよ?バイク楽しみにしてるよ」
「あぁ!イチヤ達も早く馴染んだほうがいいよ」
「分かった!んじゃ」
「あぁ、またな」
普通だった!良かった普通の人がいて!
「普通だったわね」
「変な人を期待してたんですけど」
「いいじゃん!普通が一番だって!」
こうして三人と会うことができた。
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