第10話 旅路
「おはようございます」
「おはよう御座います」
団長自ら迎えに来てくれた。
「荷物は?」
「アイテムボックスに入れてあります」
「おお!やはり渡り人!」
感動している様だ。
「他に渡り人は居ないんですか?」
「この王国には三人いるよ。三人とも大人しくてね」
三人か、大人しいなら安心だな。
「では行こうか!」
「「「はい」」」
シータの荷物は俺が持っている。どうしても俺に持って欲しかったらしい。
馬車に乗ると兵士長が出て来てぺこぺこと頭を下げている。
「あははは」
「へ?あ、あははは」
アカネも気がついた様だ。
シータだけ気づいてなかったので指差すと笑っている。
馬車の乗り心地は悪くなく、思っていたより随分と進歩していると言うか、何故馬車に拘るのかが分からない。
「これって馬車じゃなくてよくねぇ?」
「あー、たしかに、でも動力は?」
「あ、それがあるか」
魔法でなんとかならんのかね?
そんな話をしていると隣に乗っている団長が話しかけて来た。
「三人とも随分と仲が良さそうだが経緯を聞いてもいいかい?」
まずは俺から話してそれからアカネ、シータも話に加わると、泣き出した団長。
「くっ、もっと早くに気づいてやれてれば」
「もう済んだことですよ」
「そうそう!」
「ハンカチどうぞ」
ハンカチをシータが渡すとそれで涙を拭いてこっちを見る。
「二人とも強いんだなぁ」
「ハハッ、そうせざるしかなかっただけですよ」
そんな感じでワイワイ馬車の中は楽しく進んでいると、外から“コンコン”と叩く音が聞こえた。
「全体止まれ!」
騎士が寄って来て「キングブルです!どうしますか?」
「あ、俺行きたいです!」
「なら私も!」
「当然私もですね」
「え?」
団長が呆けている間に外に出ると、キングブルというだけあって大きな牛だ!
「アカネ」
「クイック、シャープネス」
「行くぞー!」
アカネがバフをかけてくれたので俺の速さが尋常じゃない!
「せい!」
眉間に縦に剣を突っ込むとキングブルは倒れて動かなくなってしまった。
「「イェーイ」」
「私の出番が」
アイテムボックスにいれて、馬車の中に戻る。
「え?キングブルでしたよね?」
「そうですね?」
「結構強いモンスターですよ?」
「そうなんですか?あ、レベルが上がってる」
「ずりぃ!私上がってない!」
「私もですよ」
「いや、一撃だと思わなくてさ」
あれだな、クリティカルヒットだな。
「それより倒しましたよ?通れるんじゃないですか?」
「は?!全体前進!」
団長は唖然としていた。
「あれくらいならアカネでも良かったかもね」
「なら次は私ね」
「あ、狡いですよ!ジャンケンしましょ!」
団長はようやく普通に戻った。
「いや、凄かったですね、私達でも数人がかりで怪我人が出るところでしたよ」
「そんなまさか!牛さんですよ?」
「闘牛くらいじゃない?牛さんは言い過ぎよ」
「あれはCランクでも倒せないですよ?」
「「またまたぁー」」
ワイワイと馬車の旅は続く。
さすが辺境だったのか、王都まで二週間はかかるらしい。
それまでに出て来た魔物は俺たちが倒すと言うことにしてある。団長が最初はダメと言っていたが、最後には折れてくれた。
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レベル62
力 S
体 A
速 S
知 A
魔 S
スキル 魔力操作LvMAX 体術LvMAX 火魔法Lv7 風魔法Lv9 土魔法Lv6 水魔法Lv6 生活魔法Lv6 剣術LvMAX 身体強化Lv6
ユニーク 取得経験値アップ
アイテムボックス
スキルポイントアップ
残りP7300
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これが今のステータス。
レベル99になったら限界突破でも取ろうかな?
ちなみにアカネがレベル45、シータがレベル60。
ようやくシータを追い抜かした。
これでさらに強くなりたいんだから戦闘狂なのかな?
「あー、暇ですね」
「しりとりでもする?」
「じゃぁ、さいしょは、『り』」
「りんご」
「ゴリラ」
「ランプリゲール」
「「なにそれ?」」
「そう言うお菓子ですよ」
「うわ、絶対買おう!」
「ルビー」
「いるか」
「カランビラル」
「「なにそれ?」」
「そう言う武具があります」
「うぉ。やめようか、しりとり」
「そだね」
しりとりもだめならどうしようもなく、アイテムボックスからお菓子を出して食べている。
「ランプリゲールより美味しいですね」
「いや、そのランプリゲールが気になるからその話題やめよ」
「渡り人の話聞いていいですか?」
「はい。いいですよ」
アカネが王都にいる渡り人の話を聞く。
「一人はダイスケ、あまり喋りませんがよく食べますね。ふくよかな方です」
「次!」
「二人目はサクヤさん、優しい方でお花が好きですね」
「次!」
「三人目はタクヤ、長い髪をしていて、なにかを作っておられました」
「デブに女にロン毛かぁ、イチヤはどう思う?」
「デブは流石に言い過ぎだろ?長い髪は俺も今長いし、女の子は花が好きなんて女の子らしいんじゃないか?」
「イチヤの髪は切ってないだけでしょ?ふくよかなはいい風に捉えすぎよ、女の子が花が好きとは限りません!」
「まぁ、会ってみないとわかんないよな」
「だね、会えるんですよね?」
「はい!会っていただきます」
「うー、楽しみかな??」
「そこは楽しみにしとけよ」
「そろそろ今日の宿がある町ですね」
「おぉ!街に泊まるんですか?」
野宿だと思ってた。
「はい、その様に町を配置してますので」
すげー!そんなふうに町作ってるんだ!
「見て回っていいですか?」
「もちろんです。私がついていきます」
「おぉ。団長自らとは」
「カードゲームなんかあったら買おうか!」
「いいね!」
宿場町ではトランプを買い、色々見て回ったがこれと言って見る場所がなかった。
宿の飯は美味かったが、アカネが飲み過ぎて、からみ酒しだして大変だった。
そんなこんなで一週間が経ち、二週間目には疲れがピークに入っていた。
「王都はもうすぐです」
「やった、この地獄から抜け出せる!」
「一日中座ってるのも苦痛よね」
「そうですか?普通旅はこんなもんですよ?」
シータは大丈夫な様だが俺らは苦痛でしょうがなかった。
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