第8話 羊狩り


「ゴズ!もらいに来ました」

「おう。兵士長呼んでくるから待ってろ」

 兵士長か、苦手だな。

「おう、ご苦労様。今回は特別報酬も追加で二百万ゼルだ」

「おぉ!」

「無駄遣いするなよ?」

「はい!」

「今回はご苦労だったな!」

 肩を叩かれ労われる。

「はい!」

「ではな!」

「ありがとうございました」

 兵士長が去っていく。


「やったじゃん!大金持ちじゃん」

「へへっ!いいだろー!」

「オークの巣ならもうちょっと出てもいいはずですが?」

「な?まぁいいか、ちょろまかされても大金だしな」

 アイテムボックスにしまって、北の山に向かって歩く。

「ねぇ?普通ならオークの巣ならどれくらいなの?」

「三百万から五百万ってとこじゃないですか?」

「ボッタクリ!ねぇ!いいの?」

「んー、まぁいいよ、あんまし兵士長気に入らなかったし」

 合わない気がするんだよな。

「まぁ、あんたがいいならいいけどさ」

「私もイチヤ様がいいならいいですね」

「シータもイチヤでいいよ、様付けはどうもむず痒くてさ」

「はい、イチヤ」

「おう!」


 北の山に着いたのでゆっくり探索する。

 ビックボアが出て来たのでアカネに攻撃させてから倒すと。

「わ、レベルが一気に上がった!」

「レベリングだな。この調子でいくけど、ポイント何に使うんだ?」

「もち、スキルポイントアップ!」

「なら二千ポイントになったら取っとけよ?」

「ラジャ!」


 それからはビックボアばかりが出て来る。オークは一掃したからかな?

「よし!スキルポイントアップとったどー!」

「ならもう一丁頑張るか!」

「おう!」

「はい!」


「行ったぞー!ウインドカッター!」

“ドサッ”

「うん、ここも一人で平気になったみたいだな」

「余裕っすよ!」

 一人で狩れる方がレベル上げにはいいからな。

 にしてもビックボアを二十頭狩ってるけど大丈夫なのか?

「また来た!ウインドカッター」

「避けろ!ビックボアじゃない!」

 アカネは飛び退くとビックボアよりも一回りでかい。

「ビックホーンボアですね」

「ふーん。アカネいける?」

「うーん。ウインドカッターが効かなかったからなぁ」

「そう言う時はウインドカッター」

 首にウインドカッターを当てると首が取れた。

「弱そうな所を狙うのさ」

「そうか、って倒してんじゃん」

 アイテムボックスにいれて北の山から出る。

 ちょうどバッタリたまたま会ったのか?待ち伏せされてたのか分からないが、シータの元パーティーメンバーがいた。

「けっ!どうせろくなの取れなかったんだろ?俺らのとこに戻ってこいよ」

「あら?どこの方かしら?」

「あれよ、オークにビビって逃げ出したって噂の」

 煽るねぇ。

「テメェ!クソがやるぞ!」

「えぇー!もういいじゃん」

 魔法使いはやる気なし。

「俺ももういいや」

 タンクって感じの人もやる気なし。

「俺もやる気ないけど」

「テメェが全部持って行ったんだろうが!」

上段からくる剣を軽くいなして剣を突きつける。両手を上げて剣を放す。

「まだやる?」

「い、いや、もういい」

 剣を落とした剣士ほど弱いものはないってね?


「もうやめてね?迷惑だから」

「はーい」

「悪いな」

 魔法使いとタンクは軽く返事をしてくれた。



「ねぇ、いつになったらやめるの?」

「何がですか?」

「俺のベッドに入って来ること」

「えぇー、だって、こんなになってますよ!」

「握るなよ!雰囲気ってものもあるし、もうちょい落ち着こうな?」

「こんなになってるのにぃー!」

 それは生理現象です。


 朝からシータのほっぺにキスで解放される日々、これってやった方がいいのかな?いや流されるわけにはいかない!


「おはよう!今日も童貞かい?」

「うるせぇ!」

 アカネはどう思ってるのだろうか?

「それより今日はどうする?」

「あー、アカネは図書館行ってこいよ?」

「あ、忘れてたわ!」

「俺は午前中にギルドに卸しに行って来るわ」

「あぁ、オークね」

 そうオークをそろそろ出しておきたい金には困ってないが、オーク需要もそろそろ復活してるだろ?ついでにビックボアも。


「シータは?」

「もちろんイチヤについていきます」

「だよな」

 隙あらばトイレまでついてこようとするからな。


「んじゃ、午前中はアカネは図書館、俺らはギルドな」

「ラジャ」

「はい」


 ギルドに行くと人が多くてビックリした!

 何故にこんなことに?まぁ俺は解体場だけどさ。

「おっちゃん、今日は人が多いな」

「あぁ、今来たのか、そろそろ羊狩りの季節だからな」

「羊狩り?羊毛でも狩るのか?」

「違うわ!ビッグホーンシープって羊が大量にこっちに来るから羊狩りする奴らが今か今かと待ってるんだよ」

「あぁ、そんな季節ですか」

 シータはしっているようだった。

「それよりおっちゃん、オークはどうする?」

「おお。そういえばここんとこないから出してくれるか?」

 残りの三十体とチーフ一体を渡すと、サッサと片付けていく。チーフ合わせて二十万ゼルだった。さすがチーフ、強かっただけあるわ。


 受付に行って金をもらい羊狩りについて聞くと、大量に羊がとおるから平原が荒野になる前に羊を狩っていく必要があるとのことだ。

「そんなにでるなら行かないではないよな?」

「そうですね、今回はイチヤもいますし」

 俺のアイテムボックス当てにされてますね。


“ドドドドドドドドドドドド”

「来たぞ!」

  「いくぞ!みんな!」

   「早くいけぇ!」

 お、俺らも乗り遅れない様に飛び出していく。

「で、でけえなぁ」

 五メートルほどの羊が一面を白くしている。

「狩りますよ!」

「おおう!」

 羊は弱くて狩りやすいが、羊毛が邪魔で何処が急所かわからないから首を狙うが羊の角が邪魔をする。

「イチヤ」

 ポーンと羊が飛んでくるのでアイテムボックスに入れる。俺も負けじと倒していく。


 あらかた終わったのは夕方になった頃だった。

「今回は少なくないか?」

「そうでもないぞ?」

「いつもより少なく感じるが」

 それは俺のアイテムボックスに入ってるからさ。


「ふぅ、疲れたなぁ」

「そうですね」

 宿に向かうと忘れていたことに気がつく。

「やばいな」

「ヤバいですね」

「おい!私を置いて何してた?」

「「ひいぃ!」」

「待ってたんだぞ!帰って来るのを!」

「待った!これには訳がある!」


「おう!聞かせてもらおうじゃないか!」

 半べそのアカネは怖かった。

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