第2話:裏切りと陰謀の舞踏会
「では、この場に証人と罪人を引き出そうではないか。
そうすれば、皆もルイーザ嬢のおぞましい不貞を信じてくれるだろう。
証人と罪人を連れてこい」
王太子の命令で、貴族家のお仕着せを着た馬丁と庭師が入ってきました。
この者達が王太子に偽証を命じられた奉公人なのでしょうか?
ですが、奉公人の証言程度でわたくしを裁くことなどできません。
少なくても直臣士族以上の証言でなければ、公爵令嬢であるわたくしの証言を否定する事は不可能です。
「さて、最初に言っておく、今連れてきたのはルイーザ嬢の乱交相手ではない。
乱交があった事を証明してくれる善良な奉公人だ。
実際に乱交に加わっていた下劣な輩は、逮捕に抵抗したので仕方なく斬り殺した。
おい!」
「は!」
「「「「「キャァァァァアァ!」」」」」
先ほどまで、ニタニタと嫌らしい笑いを浮かべていた貴族令嬢が、余りにも衝撃的なモノを見せられて、バタバタと倒れます。
貴族家の当主や令息も、嘔吐をこらえようと口をハンカチでおさえています。
わたくしも少しでも緊張感を緩めたら、この場で気絶してしまう事でしょう。
ですがそうなったら、自害も出来ず、王太子の思うままになってしまします。
気を引き締めて、気絶するくらいなら、守り刀で自害しなければ!
それにしても、まさかここまでやるとは、王太子のやることは酷すぎます!
わたくしに濡れ衣を着せるために、罪のない民を殺していたのです。
わたくしに乱交の汚名を着せるためだけに、十数人の民を殺したのです。
王太子の命令で運ばれてきたのは、無念の表情を浮かべた生首でした!
「なんという事でしょう、悪逆非道にも程があります!
私を陥れるためだけのために、罪のない民を殺すなんて!
これではとても国を統べる王になる資格などありません!
恥を知って下さい、王太子殿下!」
「ふん、恥知らずはお前の方だ、ルイーザ。
どれほど言い逃れをしようと、逃れられない証人がいるのだ」
「どうせロビンソン辺境伯でも証人に立てたのでしょう。
わたくしの後に、愛人のディアンナ嬢を正妃に立てる事を条件に、奉公人を殺す事を認めたのでしょう。
どれほど恥知らずな貴族でも、長年忠誠を尽してくれた奉公人を無実の罪で殺すのは心を痛めます。
そんな外道な真似ができるのは、ロビンソン辺境伯くらいです。
さあ、早く偽りの証人、ロビンソン辺境伯に登場して頂きましょう」
王太子が視線を逸らしました、予想通りだったようです。
私に濡れ衣を着せ、嘲笑う場にロビンソン辺境伯がいないのでおかしいと思っていたのです。
さて、わたくしに言い負かされて、次にどのような手を打つのですか?
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