第71話 ギルドマスター・ソルデ
『蜜月』の人気ワンツートップの2人を侍らせてのハーレムプレイは見事に俺たちの3か月間の精神的疲労を癒してくれた。
後から聞いた話。あの店本番行為は出来ないが、容姿が整っておりスタイルの良い女の子が揃っているらしい。確かにアパットとティティの二人はグラドルみたいに可愛くてスタイルが良かった。彼女たちを予約指名してくれたカンザさんには感謝しかない。
ただひとつ勿体ないと思ったのは、ご奉仕プレイが出来なかったこと。流石に好き放題身体を触られるのはまずい。ないとは思うが、偽装の魔法を気づかれるのも怖いしな。
それ故に今回、リアはずっと攻めに回っていた。俺はリアが必死に彼女たちの乳にアタックする感覚を追うのであった。
時間ギリギリまで楽しんだ後、リアはこっそり偽装を解いて自分の瞳を確かめてみる。
瞳は今まで見た事がないほど透き通った紫色になっていた。強力な魔力を秘めた色だ。
魔力も沢山補充できて心のデトックス作用も見込める。趣味と実益を兼ねていると言える。
(これは定期的に行くしかないね。うん)
カンザさんの言うところの「自分を可愛がる」最良の方法が見つかったのであった。
そして、夢から覚めた翌日。
「おはようございます。師匠!」
「お、おう……」
「皆も、おはようございます」
待ち合わせ場所のギルド内には【暁の御者】の面々が揃っていた。
リアは真っ先にカンザさんへ向かって頭を下げた。
「師匠……?」
リアの言葉に何かを察知したのか、ラーヤさんは胡乱な物を見る目をカンザさんに向ける。
「そ、そうだよ。先日のお守りからそう呼ばれてんだ」
言いながらカンザさんは「昨日の事は絶対に言うな」と目で訴えてくる。
(流石に『昨日はエッチなお店に連れて行ってくれてありがとう』なんて言わないよ!)
リアは内心でそう反論したが、いきなりガンザさんを「師匠」なんて呼んだら、そりゃあ怪しまれるだろう。
「ラーヤねーちゃん。私は純粋にカンザ師匠を魔法士として尊敬してるから『師匠』って呼んでるだけだよ」
「ふーん」
「ま、まあいいじゃねぇか。それより、受付に行こうぜ! ランクアップにギルドマスターとの面談に、やることは一杯あるぜ」
依然怪しそうにカンザさんにジットリとした視線を送るラーヤさんではあったが、実際スケジュールは詰まっていたのでそれ以上の詮索は無かった。というわけでリアは受付へ向かう。
受付では、初めてこの街へ来た時に対応してもらった藍色の髪のお姉さんがニコニコしながらリアを待っていた。
あの時はいきなりギルドマスターに会わせろと言って困らせたっけ。
そんな思い出に浸りながら。冒険者証と冒険者タグを手渡す。
「お預かりしますね」
お姉さんは提出した冒険者証を裏へ回し、代わりに新しい冒険者タグを渡してきた。
タグの色は『藍』──つまり『灰』からまさかの3段階のランクアップだ。
「え、こんなにあがるの?」
「ええ。魔物の討伐実績やこなした依頼の難度などを考慮した結果ですね」
なんて、説明を受けるが、結局細かい内訳については教えてもらえなかった。
受けた依頼の難度に関しては、結構バラつきがある。恐らくだが、その中でも手伝い程度とはいえ治療院での仕事を受けたのが大きかったとは思う。
「こほん……一応忠告をしておきますが、実直に活動していれば『藍』ランクまではすぐに到達できます。本当に大変なのはここからですよ」
飛び級したからって調子に乗るなよ、ということか。
そういえば、以前カイドさんと受けた依頼で出会った『藍』ランクのおっさん。初心者向けの依頼の中でまるでボス猿のように振る舞っていた彼は、万年『藍』ランク止まりとカイドさんに煽られていたっけ。
『藍』以上にランクへ到達するには、何かこうギルドの依頼を受ける中で自分の殻を破るような経験をする必要があるのだろう。
さて、タグの交換や説明などを受けている内に冒険者証の更新が終わったらしい。
裏から別の職員が出てきて、リアの手元に冒険者証が返却される。
「これでランクアップの手続きは完了です。それで、この後なのですが、ギルドマスターソルデとの面会を希望とカイドさんから話を伺っています。時間はよろしいでしょうか」
その問いかけにリアは勿論首を縦に振る。
そのつもりで俺たちはこの3か月やって来たのだ。
ギルドマスターのソルデ、本名をルーナという。里長リットの知人であり、純人中心のこの街において亜人としてのリアをサポートしてくれる人だと聞かされている。だが、彼の人の話を聞けば聞くほど、よくわからない人物でもあった。
名前を使い分けているのはともかく、色んな姿を持っているとか。
後、ギルドの職員曰く腐っているらしい。
そんな評判からマイナスイメージはあるものの、この街でランクを上げることをリアに勧めたりと、ちゃんとした人物だという印象もある。
今持っている情報だけでは、まったく人物像がつかめない。
「部屋を用意しております。こちらへどうぞ」
お姉さんに連れられ、【暁の御者】の一行と共に建物2階の応接室まで向かう。
応接室の扉はこれでもかというくらい分厚く、まるで内緒話をするために作られたかのような外観だ。
コンコンとノックをして、お姉さんが「マスター、お連れいたしました」と声を掛ける。
「どうぞ」
返ってきたのは野太い男の声だった。
(えー男かぁ……)
(露骨にガッカリすな)
と、リアを諫める俺だったが、扉が開かれ実際にソルデを目にすると内心リア同じような印象を抱いてしまう。
「よう、はじめましてだな。俺がソルデだ」
ニタニタと嫌らしい顔でリアに近づいてくる男。
「お前がミナトか、聞いていた通り可愛らしい娘じゃないか」
歳は50近くだろうか、正直いいとは言えない容姿に、ポッコリと出たお腹。この人がソルデ──ルーナさんか。
「マスター、素直に顔がキモいです」
横でギルドのお姉さんが当然のように暴言を吐いている。
腐っているっていうのは容姿のことなのか。もしそうならちょっと酷い。
「どうも……ミナトです」
リアとしては容姿がどうこうよりも、彼のイヤらしい視線が気に入らないようだ。
だた、ここは「近寄るな」と叫びたい気持ちを懸命に抑えて挨拶を返した。
偉いぞ、リア。人は容姿ではない。こう見えてメチャクチャ紳士でいい人ってことがあるかもしれない。
「ふむ、可愛らしい……が、育ちが悪いか? どれ、確かめて──」
そんな俺の希望はすぐに打ち砕かれる。
なんとソルデはリアの胸辺りに手を伸ばしてきた。
彼がリアの身体に触れようとした瞬間、ふたりの間にバチッと光が走る。
「あ゛っ!」
ソルデは驚いて、勢いよく仰け反った。
発動したのはリアの魔法だった。
これは寝ている間に襲われても大丈夫なようにと開発した、一定距離まで近づくと自動で発動する電気ショック。カイドさんとの依頼で必要性に駆られて開発した魔法だが、まさか初めての発動がギルドマスター相手とは。
「やっぱコイツ、カスじゃん!」
叫ぶリア。
すまん。印象通りの人だったわ。
「いったあぁぁい!」
ソルデは両の膝がしらをくっつけ、内またポーズで尻もちをついていた。
なんだそのポーズとセリフは。
「はぁ……しょうもないことしてないで、早く元の姿に戻ってください。マスター」
お姉さんが呆れた声で言った。
元の姿?
「もうっ! 酷くなあい!? ちょっとした冗談だったのにっ!」
中年男性の口からはおよそ聞きたくないセリフを吐きながら、ソルデの身体は光り出した。
「えっ!?」
その光によって作られた彼のシルエットは見ている間にもどんどんと収縮し、あっという間に小柄な女性の者へと変貌する。
そして、光が収まった後に現れたのは、丸い耳に大きな尻尾をぶら下げた金髪の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます