第202話 バンパイヤーの呪いの紋章

怖い、やっぱりルックスは怖い。出来れば1人で来たくない。何で俺の弱い部分を知ってる。やっぱり油断出来ない。


ラビット商会から戻りギルドの食堂でルックスからもらった資料を見ているとアイリが来た。


「ねえ、ちょっと時間もらっていい?」


アイリが珍しく自分から話しかけて来た。


「どうした?」資料に目を通しながら話を聞く。


「また、あの商店から配達依頼があった。何かあったらと思って、私達が依頼を受けたけどアールも一緒に行かないかなと思ってさ」


「助かるよ、どうやってあの商店に入ろうか考えていた所だ。

俺は離れた所で見ている。心配しなくても何か有れば直ぐに駆けつける。なので表向き3人で行動してほしい」


アイリが少し嫌そうな顔をするが直ぐにやると返事をくれた。

「じゃ、よろしくな。俺は見えないように付いていくから」

そう言って外に出ると、ギルドの横の路地に入り隠匿魔法をかける。


アイリ達が出てくるのを見て直ぐ後ろにつく。

「ちょっとアイリ、大丈夫だよね。あいつ見てるって言ってたけど大丈夫だよね」

ヨットが不安そうにうろうろと回りを見る。


「心配無いよ。アールがこのギルドに来てから、新人狩りも居なくなったし。私が聞いた中じゃ、アルッシュより良いギルドだよ」

アイリが気持ちを震わせるように言う。


配達の依頼をした店の前に来るとアイリ達が止まる。店の前にフードを被りいかにもいかがわしい男がいる。


男がアイリ達を見ると慌てて出てに行く。


男が居なくなり店に入るとアイリ達が固まる。中には店主とおぼしき夫婦が床に倒れていた。

仕方なく隠匿魔法を解除すると、アイリがお化けを見たかのように悲鳴を上げる。


「キャァーーーーー!!」

その声に俺も驚く。


「エッ」


お互いに見合い文句が出る。


「アール脅かすな!!」アイリが涙目になって文句を言う。


「そっちこそ、声がでかい。お前達の声に驚いた」

等文句を言い合う中、お互いに落ち着いてきた。


お店を出てギルドの入り口にいるロイヤルナイトに声をかける。

ロイヤルナイトが店主の夫婦を運び出す。その後医師が確認、大事無くなんとか収まった。


こうなると、黒いフード男が気になる。

と言うかそいつが犯人だろう。確実にそう思ってしまう。

他に犯人だと想える者がいないのが現状だ。


けどサッチバス達が言う、丁稚の男の子がいない事が気にかかる。もしさっき出ていった黒フードの男が丁稚の男の子だとしたら少し厄介だ。


サッチバス達が言うように年端も行かない子供なら、首謀者が別にいて彼は使われただけ、そうなると被害者になる。どちらにしろ丁稚の男の子を探す必要がある。


「おい、あいつ追わなくて良いのか?」

不意にライト レイに声をかけられた。良く見るとフードを被った小柄な奴がギルドの脇にたたずんでいる。


「アイリ、ギルドに戻ってカミュに報告。後は俺がやる」

アイリ達がギルドに戻って行った。


そのアイリ達の動きに合わせてフードを被った男だと思う奴が移動し始める。少し離れて付いていく。


すると魔法書店に入る。少し時間を空けて魔法書店に入るとフードを被った男が完全に消えた。気配もなく索敵から、フッと姿を消してしまった。


書店の中を見ながら再度慎重に索敵を行う。やはり先程までいたフードはどこにもいない。

まさかとは思ったが完全にやられた。ここまで隠密行動に長けてるとは思わなかった。その後何人か書店に出入りしたがそれらしい者もいなく書店を出る。


ギルドの向かいの商店に戻って来た。丁稚の男の子が1人店の掃除をしていた。


「1人かい?」丁稚の男の子に声をかける。


「いらっしゃいませ。すみません今日は店主が体調不良で休みになります」

男の子が丁寧に教えてくれる。


「ここは普段何を売ってるんだい?」


「はい、ヒールポーションや薬草、縄やバック等ですね、見ての通りにギルドが目の前なので冒険者の方ように品物を揃えています」


「ありがとう、店主が不在じゃ買い物出来ないね。また来るよ」


「ありがとうございます」

男の子が頭を下げると首の後ろに呪いの魔方陣がある。


あの子はおかしい気がする。本当に見た目通りの子供なのだろうか?

さして確証は無いが、ただの感だが話し方や仕草を見るとはっきり言ってかなりのお年寄りだ。

確実に俺よりも年は上だ。


呪いの魔方陣が何か影響してるのかも知れない。


そう思いながらギルドに入る。食堂にナーバルとガリアが揃っていた。今日は仕事は終わりのようで2人で話し込んでいた。


「ガリア、ナーバルお疲れ様」


2人が俺を見る「おっつー」「お疲れ」


ガリアさん? 上司におっつーはなくね!本当にしつけがなってないよな。って俺が許してるからか。自業自得だな。


ナーバルが俺を見て言う。

「昨日、マリアンノ様から話しを聞いた。何か手伝える事はあるか?」


「助かる。この呪いの紋章がどういう物かわかるか?」

そう言って呪い紋章の資料の中から男の子についていた紋章をナーバルに見せる。


「これ、バンパイヤーの魔方陣だね。確か人を使役する時に使うものだ。

でもこれは資料でしか見たことが無い。実際にこの紋章を使って人を使役したって言う証拠が無いものだ。これがどうしたの?」


「今問題になっていてね。

所でナーバルの神聖魔法はどの距離で解除出来る?」


「呪いの種類は全て問題無い。このバンパイヤー呪いの紋章なら20m位離れた場所からでも取れる。対象を認識しないと駄目だけど」


「了解。悪いが明日朝から付き合ってくれ。結構な面倒事だ」


「わかったわ」


ガリアが俺を物欲しそうに見る。

「ガリアも頼む。俺では逃げられたこうなるとお前が頼りだ」


ガリアの短いシッポが音をたてるくらいにブンブンと動く。


「あの、あたしらも明日また来るよ。ここまで来たら最後までやりきる」

アイリ、ヨット、ルイが並んでいた。


「助かる。じゃ明日また頼む。それとアイリ達は今日と明日は俺からの指名依頼という扱いにする。金入ったからって使い過ぎるなよ」


そう言って受付に行くと、受付で手伝きをする。

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