第201話
アイリ達がゴブリン6体を狩って戻って来た。
「魔石は取ったか?」
「うん、任せて解体したよ」アイリがガッツポーズを取る。
「所で3人共、体の調子はどうだ?」
「「「モーマンタイ!!!!」」」
「どこの言葉よそれ」
「知らないみたい」「やだね、都会っ子ぶって」
「私らを田舎者だと思ってやがるんだ」
「おい、悪口は聞こえないように言うもんだぞ」
「「「は~い」」」
こいつら絶対に俺を馬鹿にしてるだらろう。なんかむかつく!
夕方になりギルドに戻る。帰りの冒険者達のラッシュが始まっていた。
3人と別れ食堂で休むとレノン伯爵が来た。
「アール、相変わらずだな。お前さんそのうち刺されるぞ」
レノン伯爵がそう言って笑う。
「レノン、ちょっと聞いても良いか?このところ商会や軍に奇妙な魔方陣を使う奴の噂は入っていないか?」
「奇妙な魔方陣? もしかしてあの娘達、なにかやられたのか?」
「ああ、危険な状態になる前に気付けて助かった」
「分かった調べておく、必要ならルックスの姉貴に話をとおしておく俺よりも姉貴の方が耳がいい」
「助かる、まだよちよち歩きだ、また狙われたらアウトだろう。
今回はカミュが気付いてくれた。下手したらもっと広がっているかも知れないねからな、気を付けないと」
アイリ達が来た。お金を持って俺の前でもじもじとする。
「お金は3人で分けな。それでお前達、飯食ったか?」
「まだ、これだけだと宿代だし」
「なら食ってけ。俺のおごりだ」
「「「ほんと」」」
3人が勢い良く食べ物を頼んで忙しなく食べ始める。
「レノン、そう言えばナーバルの時はすまなかったな、1ヶ月も面倒見てもらって」
「気にするな、ナーバルも時々、うちの部隊に来て怪我人を見てくれる。俺はそっちの方が助かるよ。
ナーバルも、もうすぐここを卒業か。なんか寂しくなるな」
「心配ない、代わりがいる」
そう言うと2人で飯にがっつく3人を見て苦笑いする。
「お、アールにレノンじゃない。珍しい組み合わせだね」
そう言って声をかけてきたのは女豹のリーダー。サッチバスだ。
「所でアール。珍しい魔方陣を体に付けている子を見たんだけどなにか知ってるか?」
サッチバスを見る。
「どこで見た?」
「向かいの商店の丁稚の子だよ。男の子だけど素直で可愛い子でね。背中の首の下になんかついててさ、気になったんだけどね。
って、どうしたそんな怖い顔して」
「サッチバス。情報ありがとう。俺も近いうちにその彼にあってみるよ」
翌日、ラビット商会に来てルックスを呼ぶ。
「ちょっと!! あい変わらず突然来るわね。何のよう?」
ルックスが少し怒り気味に聞いてきた。
「レノン伯爵と少し話したんだが聞きたい事が出来た。体に変な魔方陣を付けた者を探している。
目撃情報だと商店の丁稚だと言う。
商人の事ならルックスに聞くのが早いと思ってきた。迷惑だったか?」
「いや、迷惑じゃないけど。これでも世界最大の商会の会長だぞ。少しは気を使え」
「悪かった。
所でさ、何でレノン伯爵がルックスの事を姉貴って呼んでるの?」
「そんなことか、私が閃光の王にいた頃あいつの親に厄介になっててな。
レノンをあそこまで鍛えたのは私だ。
だからあいつは何時までも私の舎弟のつもりでいる。この間も私が引退したら自分が面倒見るって騒いでいたよ」
「そっか。でもレノンってずっと独身貫いているのって、ルックスの為?」
「うるさい! 協力してやらないぞ」
真っ赤な顔でルックスが怒った。でも半分照れ隠しだろうな。ガリアとの旅行もレノン伯爵領にあるルックスの別荘だったしな。
「これ、持っていけ。
最近、紋章を付けないかとあちこちの商会に声をかけている奴の情報だ。
私らは能力を引き出すと聞いていたが何か問題でもあったか?」
「うちのギルドの新人が気付かないうちに付けられた。お陰でその子達は死ぬ一歩手前だったよ。
能力を封じて様々な箇所に呪いを埋め込む。遅かれ早かれ駄目になる」
「ほぉ、珍しく怒ってるな」
「そりゃあな、なりたての新人を狙われたら腹も立つさ。
成人して間もない子達だ」
「アール、あんた本当にワイパと同じ年かい?アールをみてるとロシナンテのような、おじさんと話してるようだぞ。
どうだ、何なら私と既成事実を作って年齢をもっと年上に変更しないか?」
「断る、俺はワイパの親になるつもりは無い」
「あい変わらずケチ臭い男だね」
いやいや、おかしく無いか? 何で俺がルックスと既成事実を作る必要があるの?
確かにルックスは見た目以上に若くみえるし綺麗だけどそれは無いよな。
もしそんなことになったらワイパに会わせる顔がないよ。
「そうだ、ワイパ。卒業したら西の辺境伯領に行くんだって。
昨日ワイパに聞いたよ」
「そうよ、婚約者の事が有るからね。今のところ一番安全そうだしね。
何てたってアーマイル辺境伯は自分からアールの弟子だって言ってるしね。
ベルート共和国の話しもみんな聞いているし、そこに喧嘩を売る奴もそうはいないだろうからね。
それに辺境伯領の売り上げも元に戻りつつある。何か有ればアルッシュの死神が守ってくれるでしょ」
「確かに、ワイパは大切な仲間だ。
何か有れば駆けつけるさ。でもラビット商会の護衛みたいに言われるのは、いい気持ちがしないね」
ルックスがこっちを見る。
「だから、既成事実を作ろうって誘ってるんでしょ。
大丈夫。メルシーは心の広い女だよ。私と何かあっても許してくれるよ」
何故かそう言って妖艶に迫ってくる。
ルックスさんや、わしゃそんなつもりは全くありません。メルシーさんはたしかに許してくれるかもしれません。でも、その前にとてつもなく怒られるでしょ。俺が死んだ後で許してもらっても嫌なのでお断りします。
って、ルックスさん、聞いてます、俺の心の声は届いています。お願いだから俺に抱きつくの止めて。
ル、ルックスさん、お胸様を押し付けるのは反則ですよ。ちょっと気持ちよすぎますよ。
ベシッ 思わずルックスの頭にチョップをいれる。
「ルックス、冗談は程々にしてくれ」
「く、あい変わらず手強いね。でも必ずガリアより先に落として見せるからね」
ルックスが不適な笑みを見せる。
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