第199話 俺も忙しい
翌日、王宮から覚えの無い馬車が屋敷に来た。
メルシーとマリアンノも首をかしげていた。
対応したメイドが来る。
「ご主人様、王宮の方がおみえです。ご準備が出来たらおいで下さいとの事です」
「は~い、2人ともお父様に言ってらっしゃいしましょう」
ガウディとライダーが俺にバイバイと手を降る。メルシーが来てにこやかに言う。
「多分、昨日の事ですね。やはり耳が早い」
だよね、その責任を俺1人でおうのね。
馬車に乗ると外交担当のマトリクス宰相がいた。
「すみません。お待たせしました」
「いいえ、朝早くよってこちらもすみませんでした。
なぜ呼ばれたかは判りますね」
マトリクス宰相の視線が凄く痛い。
「アール、勝手な事をされると困る。今回は上手く行ったので良かったが、今後は注意をして下さい。
わかっていないようですね。
ガミガミ…ガミガミ。ルール元王子のことだって…ガミガミ、くどくど。
アール、話を聞いていますか?」
「は、はい。反省しております」項垂れながら返事をする。
「わかればよろしいです。王宮に付きました、謁見場所は受付のロイヤルナイトに確認して下さい」
そう言われ馬車から追い出される。
ロイヤルナイトに連れられ会議室に通された。この部屋は重要な決定も行うこともあり、防音にも優れた部屋だ。
部屋に入るとロシナンテ国王とアチチ宰相がいる。
「遅くなりました。どのようなご用でしょうか?」
「まあ、そんな警戒するな、今、ピーチも来る。
それにしても昨日は派手にやってくれたな。ベルート共和国から昨日のうちに和睦の申し出が届いた。
ベルート共和国の空軍の1/3を潰したようだな。完全にベルート共和国が困り切っていたぞ」
「そうですか、他にも国王の寝所や特殊部隊の建物、そこにいた軍関係者も全て潰しておきました。
我々 筆頭公爵家に喧嘩を売ってただですむと思われては困る、が。ご迷惑があれば謝罪いたします」
「かまわない。詳しい話はピーチが来てから話そう」
少ししてピーチ王妃が来た。何時もの和やかな雰囲気とは違い、ピーチ王妃が来るとアチチ宰相や文官達がやけに緊張し始める。
「おはよう。アール、朝一で悪かったわね」
「おはようございます、ピーチ王妃。
ルーズベルト様とカスミ様はお元気ですか?
また、子供達と遊んで頂いたと伺っています。いつもありがとうございます」
「ふふ、また遊びに連れてきてね」
そんな挨拶が終わるとさらに怖い雰囲気になる。
「アチチ宰相。今回の失態はどうなさいますか?
1人はけじめをつけて来たみたいですが、貴方はどうけじめをつけるおつもりですか?」
アチチ宰相がやけに大人しくなっている。普段は人を見下すしか能が無いのかって位にふんぞり帰っているのに。
「ルール元王子を支援していたのは、承知しています。そして、ガンメルンを行軍に参加させようとしていた事も存じております。
それで起こったのが今回の襲撃です。貴方はどう責任を取るおつもりですか?」
「ハイ、弁明の余地もありません。彼らが何を考えていたのかまで見抜けなかった私の落ち度でございます」
その後、色々なご指摘と苦言を2時間程受け、帰って来た。アチチ宰相は責任を取り貴族学校の担当を外れピーチ王妃が担当となり、俺は貴族学校に寄付金を納める事で話がまとまった。
朝の騒動がおさまった頃にギルドにくる。朝のご飯を食堂で食べていると受付でもめ事を始めるパーティーがいた。
「アール、助けてくれ、私はもう無理」
カミュが珍しく根をあげて助けをもとめて来た。
「なんだ、飯くらいゆっくり食わせてよ」
俺とカミュが話していると女の子だけのパーティーが来た。さっき受付でもめていた子達だ。
「カミュさん、おねがいだから見捨てないでぇ」
「カミュ、この子たち何をしたの?」
女の子達が俺を睨む。
「何? この男?
あんた、カミュさんの何? 何なの?」
こ、これは面倒だ。カミュがおれの腕の服を掴み真剣な表情をする。
「俺も面倒…」バッ カミュが俺の口を塞ぐ。
ジトっとカミュを見る。
「取りあえず飯くったら行く。会議室に通しておいて」
「ハイ」カミュさんがやけに明るく返事をするよ。
「カミュさん、こいつ何者? 何でこんな偉そうなの? こいつ気に入らないだけど」
等と俺の文句ばかり激しいんだけど。
本当に俺の扱いみんなひどいよね。そんな事を考え事ながら会議室に入る。
「カミュ、説明してもらえる」
どっかりと椅子に座ると横に要るカミュに説明を求める。
「ハイ、この子達は、本年冒険者登録したばかりのパーティーです。
パーティー名は女神の雫。
リーダーは、アイリ。このボーイッシュな子です。魔法使いのルイ。戦士のヨットの3人組です。
かれこれ4回程依頼を失敗しています。冒険者登録を取り消されてもおかしく無い状態です」
アイリ達は不審な者を見るように俺を見て睨んでくる。
「それで、この子達の言い訳は?」
「ハイ、他の冒険者による妨害が2件、ミスによる失敗が1件。本日は辿り付けなかったと言う言い訳が出ました」
「「「言い訳じゃない」」」アイリ達3人の声が合わさる。
「黙りなさい!!!!
そもそも、冒険者が依頼をこなせない段階で失格です。それをここまで我慢してるんです。少しは感謝しなさい。
私がここまで我慢したのは上の指示です」
3人が落ち込んでしまう。
「失敗した依頼内容を見せて」
そう言ってカミュから、書類をもらう。それは失敗事案として俺に回ってきた案件ばかりだ。
シスターからの依頼で教会のネズミ捕り、治安の悪い地域に行く配達。初心者講習で使うゴブリンの魔石の確保。薬草の採取。後は今日の依頼分だ。
どれもFランクで十分な依頼ばかりだ。
「聞いてもいいかな? 君達はどんな妨害を受けたのかな」
「は? 何であんたに言わなきゃいけないの?
あたしらはカミュさんに相談してるの。勝手にこんなところに連れてきて、偉そうにアンタ何者なの?
あたしら新人だと思って馬鹿にするのも大概にしろよ」
「馬鹿はお前達だ!」
ビクッ!! カミュの真剣な表情にアイリ達が驚いて固まってしまった。
「この人はこのギルドのトップだ。
それに冒険者学校で歴代最強と言われる、総合筆頭のアールだ。
本来なら、お前達見たいな田舎者の新人が気やすくしゃべれる人じゃないだよ!!
いいか? この会議室だって、私達ですらほとんどの入れない。受付の私に軽口きく位なんだからそれで察しろ!!
この人が駄目だと言えばお前達は駄目なんだよ。もっと真剣になれよ。
あん達はそこまで追い込まれているんだ」
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