第198話 決着

闘技場から出ると広い範囲で建物が何も無くなっていた。

中央保養地と呼ばれ、広大な土地に様々な建物があり、保養地と言うよりは完全な都市だった場所が廃墟と化していた。


そして沢山の警備兵だろう鳥族が地面に落ちている。そこに1ヵ所だけ壊されること無く立つ家があった。


「遅いぞ、余り遅いから俺達で潰してしまうか相談していた所だ」

フェルリンが不満そうに言う。


「遅いは無いだろう。ここに来てたった1時間しかたってないぞ」


そう言うとバトルアックスをとりだし家を斬る。


ザッ ザザザッ ドン!!


家の1/4が落ちて崩れる。そこには鳥族の男がいた、デクスのしたに頭をいれ、けつをこっちに向け震えていた。


「お前が最高司令官の鷹族 メッチャ イヤーだな。今回はよくもこけにしてくれたな。借りっぱなしじゃしゃくでな。早速で悪いが返しに来た」


メッチャ イヤーがおずおずと立ち上がる。


「貴様らただですむとは思うなよ。俺達は何時でもモルモット共和国に入る事が出来る。貴様なぞ何時でも殺す事が出来る。


覚えて置け、総合筆頭!!」


「流石だな、俺はまだ自己紹介すらしてないのに。よく判るな」


バトルアックスをしまい氷帝を出すとメッチャ イヤーの両足を膝上位で切り落とす。


突然自分で立つ事が出来ずに倒れる。倒れた所で右腕を肩の付け根から切り落とす。


「なかなか便利だろう。この剣で斬られると斬られた所が完全に凍結してしまい血もでない。


仲間が直ぐに来てくれると言いな。何とか助かるぞ」


ガリアとマリーの奥を見て言う。

「そろそろ行こうか。後始末はあんたが着けるんだろう?」


奥を見てると黒のフードを被った男が出てきた。


「今日は引いてやる。今回は我々の方がぶが悪い」

そう言うとメッチャ イヤーの横に来る。


その動きにガリアとマリーが緊張し始める。


「今日? いつもの間違いじゃ無いのか?

奴隷商会さん。


俺に何か有るなら奴隷じゃなくて自分でこい。次と言う言葉はお前らには無い。これでも今日は機嫌もいいこれで帰ってやる。

ああ、つながれていた奴隷はほとんど逃げたぞ。向かってきた奴は容赦しないが逃げたい奴は全て逃がした。


まあ、あんた1人で全てみつけれると良いな。

今回はこれで勘弁してやる。次ぎに俺に喧嘩を売りたいなら国をあげてこい。


この惨状を見てもまだ戦いたいならな」


黒のフードの男が何も言えなくなり、黙ってしまう。ガリアとマリーをつれてローランドのところに来ると、ローランドの転移魔法を使い、モルモット共和国のエルフの屋敷に戻る。


「やっぱり、2人を連れていって良かった。あのままだとずっと戦い続けてベルート共和国自体潰すつもりだったろう。


取りあえずあそこは軍事施設だ。奴隷と軍人しかいなくてまあ良かったが」

ローランドがそう言ってずっと文句を言っていた。


「所で最後に出てきたあの黒いフードの男っていう誰なの?

ローランドは知ってる」

ガリアがローランドに聞く。


「わしも知らないんじゃよ。

10年位前に突然と出てきた男でな。戦えば強い、なのに自分からでて戦おうとはしない。奴隷を捕まえて来たり、護衛したりといった事はするが自分から前に出ては来ない。


うがった見かたをする奴は、ベルート共和国の国王だろうと言ってる奴もいる。


だが誰1人知らない」


「あれは、ドレスト ハートだ」

俺が答える。


「今日、立ち会ってわかった。あの強さはそれ以外に考えられない」


ローランドが俺を見る。

「本当か、なぜそれがわかった」


「ローランド。深入りは禁物だ」


マリーが震えだす。

「そんな、あれがレモンドのお父さん。有り得ない。お父さんから沢山話を聞いたけど、勇者の称号を持つ人があんなまがまがしい魔力何て信じられない。


アール、その情報は誰から仕入れたの?」


マリーが納得行かないといった顔で俺を睨む。


「マリー、わしよりも弱いのにお前が知ってもしかたあるまい。


アールとの約束は忘れた分けではあるまい」

ローランドがマリーをなだめる。


ガリアが突如、立ち上がり宣言した。

「私はどっちでも関係無い。まだまだあんな化け物がいる何て知らなかった。


私も鍛えなおす。このまま争いになったら誰も私はたすける事が出来ない。


もし、あのフード男がレモンドのお父さんなら私も負けてられない」


マリーが不思議そうな顔をしてガリアを見る。

「あ、だから、そのマリーが戦う時がきた時いまのままの実力じゃ私達2人とも負けるでしょ。

マリーは私の親友だよ。絶対に死なせる分けには行かない」


ちょっとドキっとした。ガリアだめじゃん。レモンドは秘密なのよ。勘弁して。


マリーはなんか納得したような顔をしていた。ガリアって時々変な言回しする癖があるからな。


「しかし、アールってやっぱり規格がおかしいよね。たった1時間で1つの都市を壊滅させて無傷で帰って来るんだもの。あんたやっぱり化け物だ」

マリーが俺の文句を言い始める。


「確かに、アールも変だけど、最上級精霊が強すぎ、おかしく無い?」

ガリアもマリーの意見に乗っかる。


「それはそうだろう。あの天空竜 デリデット ナイツと大差無い位に強い。

我々がどう足掻こうが勝ち目は無いよ」


「なんかわかった気がする。アールって、自分をたいして強く無いっていつも言うけど、比べてるのが最上級精霊や天空竜なんじゃ無いの?」


ガリアの言葉にマリーが頷く。


「私も思った。だってあの都市を破壊したのって基本的にあの最上級精霊でしょう。

あんなの基本的に無理だよ。アール、少しは他の人と比べない。じゃないとおかしくなるよ」


ほっとけ!! 理由は言えないの。


俺の元々の称号は凡人だし、女神アテロスから加護をもらってここまで来たの。だからその恩に酬いる必要がある。


それが俺に出来る恩返しだ。俺はいつも女神 アテロスの笑顔が見ていたい、それだけだ。

だけどそれにはまだまだ足りない、そう感じているだけだ。

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