第197話 やられたらやり返す2

ガリアの食事が終るのを待っているとカミュがガリアに唐突に言う。

「ガリア、余り好きな人を困らせていると本当に捨てられるよ。わがままを言うのも良いけど、ホドホドにしないとね。嫌われちゃうぞ」


その言葉にガリアが固まる。


何を言ってんだカミュの奴は。そう思っているとアーマイルもその話に乗っかる。


「そうですよ先生。優しいから何でも許しているわけじゃなくて、結構、我慢してるだけって言うこともあります。

そこの見極めは女には大切なんですよ」


さらにガリアが固まる。


「いいから、食べろ。行くところがあるの」

そうガリアに説明すると、一気にかっこんでご飯を食べた。


ガリアを連れてギルドを出る。


「アール、何処に行くの?」ガリアが心配したのか聞いてきた。ガリアにしては珍しい、普段は何処だろう関係なく付いて来るのに。


「エルフの屋敷だ。人を待たせている」


エルフの屋敷に来てマリーに会いに来たと伝えるとメイドご案内してくれる。


応接間に通され、お茶を出してもらいのんびりとくつろぐ。

「アール、人の家で何くつろいでいるの?」

ガリアが呆れた顔をさせる。


「いいのいいの。この屋敷の主人は俺だから」


「へぇ~ッ ブッ」

ガリアが思わずお茶を吹き出す。メイドがよってきて掃除をして来れ新しいお茶をガリアに出す。


「本当ですよ、当家の主人です」

静かにそう話すメイドを見て口をパクパクとさせ、さらにガリアが驚いていた。


そこにローランドとマリーがやってきた。


マリーがガリアを見て少し固まる。ガリアもマリーを見て固まってしまう。


その後マリーにガリアが抱きつく。

「リアル? リアルだぁ。わあ~」


久しぶりにリアルに会えた喜びでガリアが泣き出す。落ち着きを取り戻すガリアだかマリーの腕に絡み付いて離れる様子がない。マリーがそんなガリアの頭を撫でて慰めていた。


「ローランド、話を進めよう。

先程、報告があった。奴隷として来た連中はみんな、中央保養地の所属と確認された。


その部隊を国に入れた奴隷商達はすでにベルート共和国に戻っている。

奴隷商達が司令官だと思われる。奴隷商達は正規のルートを通ることが無い、どれだけの数が入っているかは不明だ。まして兵士達ちは捕まったと言う情報はその内伝わるだろう。

そうなると、報復を恐れて警戒度は最高潮だろう」


「流石にベルートにまで来ないと思っているんじゃ無いか?」


「嫌、特殊部隊 中央保養地の最高司令官は、鷹族 メッチャ イヤーだ。物凄い臆病者で有名だ。


こっちの情報は早晩伝わる。自室にこもって数日は出てこないだろうさ。


そしてメッチャ イヤーこそがベルート共和国の奴隷商会の会長だ。そこだけは確実に押さえないとな


「だとするとかなり厄介だ。あいつの周りは皆Aランクの力を持つ者達だ」


「問題無い、メッチャ イヤーを捕る訳じゃない。誰かが敗けを認め軍を一旦引かせないといつまでもいさかいが絶えない。

だからメッチャ イヤーに死ぬ程後悔してもらうだけだ」


「そうか、メッチャ イヤーの側近は人族のかなりのやり手だと聞いた。注意が必要だ」


「なんとなくだか心当たりはある。気にするな、失敗はしない」


その日、ガリアはマリーから離れる事が出来ず、エルフの屋敷に泊まる。


そして3日後、ローランドの転移魔法を使いベルート共和国、通称中央保養地に来る。


中央保養地に来ると、ローランドは隠匿魔法を使い身を隠す。


それと同時にフェルリンとライト レイが姿を表す。「今日は暴れて良いんでしょう?」


ライト レイが聞いてくる。


「ああ、存分に暴れてくれ」


ライト レイが満面の笑みを浮かべる。実際、ライト レイの方がフェルリンよりも性格が恐ろしい。


ライト レイが姿を消すと同時に建物があちこちで爆発し始める。

それを合図に戦闘が始まる。フェルリンが上空に向かい息を吹き掛けると、鳥族の集団が凍った状態で雨のように落ちてくる。


そんな中をメッチャ イヤーを探す為に歩いている俺の後ろをマリーとガリアが付いてきた。


「ねえガリア、私ら必要無くない」

「だよね、私もそう思うけど、何でもワタシ達がいるとアールがやり過ぎないからってローランドが条件を付け足しらしいよ」


そんな話を小声でしながら、マリーとガリア就いて来る。


中央保養地の真ん中位に来ると一際でかい建物がありその建物をライト レイが嬉しそうにライトボムを当て破壊していた。


その横に小さな建物があり、異様な魔力を察知した。

「マリー、ガリア。こっちの建物に入る」

そう言って中に入ると地下に通じていた。


どうやら闘技場になっているみたいでひとりの男が立っていた。


「ベルート共和国に喧嘩を売る奴も珍しい。

俺が相手をしてやるよ」

そう声をかけて来たのは虎族の戦士だ。その男をみた時、ガリアが止まる。


「アールそいつはベルート共和国で最強と言われる戦士だ。名前はルビー。過去10年、敗け無しだよ」

流石はガリア。情報が早い


バトルアックスを出して左手にもつ。ルビーが大太刀を抜くとゆっくりと構える。


ルビーの額に汗がにじんでいる。


手に力が入るのか、硬くなってる気がする。

「準備出来たか。そろそろ行くぞ」


俺がそう声をかけ、瞬足スキルと剛腕スキルをかけルビーに向かい飛び出しバトルアックスを振り下ろす。

ルビーの体が真っぷたつに斬れて後に倒れる。後ろを向いて1m位歩いた辺りでバトルアックスを地面振り下ろす。アックスの刃が完全に地面に刺さる。


地面からアックスを抜くと血が吹き出し中から、左腕を尾とされたルビーが這い出て来た。


俺を睨み大太刀を右手に持ち威嚇してくる。その男を横なぎに斬り倒す。


「多分、こいつはルビーと呼ばれる男じゃ無いな」

ボソっと言うとガリアが同調する。


「ごめん、私が間違ったみたい。こんなに弱いからルビーじゃ無いと思う」


「そうかなら全部倒してから行くか」

俺の声に地面に潜っていた虎族の兵士が出てくる。


「お前達、兄ちゃんの敵だ」そう言うと土人形が3体出る。


地面に向かい魔法弾を打つ。隠れている地面に当たり地面がえぐれ中から虎族が3人出てくる。


それと同時に土人形が崩れる。地面に出ていた奴を殴り付け倒す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る