第196話 やられたらやり返す

その後辺りを見ると倒れている者達を発見。おそらくフェルリンとライト レイの強烈な魔力で気を失ったのだろう。そう思い近付くと何故か倒れている全員が自害していた。

数にして38名。男も女もみんないかつい顔と体をしている。どうやったかは知らないが完全にやられたな。


「師匠、大丈夫でしたか?」

アーマイルがでかい声を出し橋を渡って来ていた。


「アーマイル? 何でダリアンに来たの?」


「何を言ってるのですか? 師匠に怪我でもあったらどうするのですか?

私が奥様方に顔向けが出来ません」


アーマイルが胸を張ってそう言いはなつ。


「アーマイル、ありがとう。


この亡くなった者達の事をくまなくしらべてくれ。中に、手引きしたものがいる」


「お任せください。それよりダリアンをどのようになさいますか?」


「捨てる。王都より20km手前まで下げて待機する」


その後アーマイルの指示で王都から20kmの付近に軍を滞在させる。


敵がいないにも関わらず軍を滞在させる事の意味が誰にもわからなかったと思う。

だが、俺の言うことだ。そういってみんな協力してくれる。


誰も乗らないと考えていたこの誘いに、まさかルール第一王子とベルート共和国の兵士達が乗った。


彼らが欲しがった物は転移魔石だ。どこかで情報を得たのだろう。そして一番狙いやすいと思ったのがこのダリアンだ。

この転移魔石は基本的にラビット商会以外の場所では手に入らない。なら奪ってしまえと言うのが今回のトラブルの原因だ。


俺達がダリアンから引いたと言う連絡はずくにルール第一王子とベルート共和国に伝わる。


ベルート共和国は慎重に行動する決断をする、一回の攻撃であっさり引いたのだ罠の可能性を疑った。


だが、ルール第一王子と国内にいるベルート共和国の兵士達はチャンスと捕えた。ここで俺を退かせればルールの価値が上がる。国王もルールを無視できなくなる。

と、真剣に考えていた。


そして、王都から20kmの地点に張りぼての兵士と住居スペースを整える。


そこから森に入り約30人のグループに別れそれぞれに陣を取る。


そして一番遠くに陣取るグループが狼煙を上げた。

色は赤。ルール第一王子とベルート共和国の兵士が通った事を示していた。


ある程度の距離を進んだ所でルール第一王子達が罠であることに気付き始める。

だが、時はすでに遅く王都から20km付近に誘き寄せられ、完全に包囲される。


囲まれた事にいち早く気付いたのがベルート共和国の兵士だった。

「おい、止まれ。囲まれたぞ」


ベルート共和国の兵士がルールを止める。


だか遅い。俺の合図に合わせアーマイルの兵士が弓矢を放つ。誘導されるように開けた街道に追い出された。


虎族の男が剣を持ってやってきた飛んで来る矢を落とし始める。


1度普通の矢を放つのを止めて、魔法弓 光の女神を構え、魔力を貯めて放つ。


ビュッ!!  ドン!!


虎族の男に当たると矢が爆発してあたりに隙間ができる。そこにさらに矢を放つ。ルールと同行してきた獣人族の兵士達があらかた倒された。


そこに、俺が前に出る。


「貴」ルールが絞り出すように声を上げた。


ルールと息子のガンメンルが剣を抜き迫って来た。そこにアーマイルが飛び出し練習用の太い木剣でルールとガンメンルを打ち抜いて倒す。


その後、アーマイルがルールを始め、倒したもの達全てを捕え王都に連れていく。


俺は1人ベルクドダンジョンギルドに戻る。夕方の食堂にいると隻腕の男、ローランドが来た。

「珍しいの、わざわざ呼び出しとは?」


「悪いな、ちょっと野暮用でね。ベルート共和国に行きたい」


「ベルートの何処に?」

ローランドが少し呆れたように話を聞いてきた。


「中央保養地、国王の寝床と軍特殊部隊の本拠地だ」


「お主、本気で言ってんのか」ローランドがさらに呆れる。


「そんな怖い顔をするな。別に死に行く訳じゃない」


「なら、何しに行く?」


「野暮用だ」


俺とローランドがにらみ合うが、ついにローランドが折れた。

「わかった但しお前さん1人は駄目だ」


「誰を連れていく?」


「ガリアとマリーの2人だ。この2人がいるとお前さんは無理はしないだろう」


ガリアとマリーは久しくあってはいない。ましてマリーは神樹国の人間になっている。巻き込んで良いのか。


「私は問題無いわよ」

後ろからマリーが声をかけてきた。


絶対にローランドをつけて来ただろうこいつ。本当抜け目ねぇー。

「先に屋敷行ってくれ、間も無くガリアが定時連絡で戻る。後で連れていく」


ローランドとマリーがギルドを出る。2人を見送りテイブルに座るとカミュが来た。


「どうした?」


「おばちゃん、私にエール」


エールをのみながらカミュが話す。

「いつ行くの?」


「ガリアの戻り次第」


「なんか、遠足みたいね。

それが終わったら1つ頼みたいんだけど、いいか?」


「内容による」


カミュから受けた相談は新人冒険者のグループだ。成人したばかりの女の子3人組だ。


すでに依頼を3つも失敗しておりこのまま行くと冒険者の登録を剥奪されると言う。


特に嫌がらせを受けている様子もなく何かに悩んでいる様子も無いらしい。普段なら、仕方ないで済ませるがカミュは何か引っ掛かるらしい。


「アール、私腹へった」

突然そういって俺の隣にガリアが座る。そんなガリアをカミュが優しくいたわる。


「おばちゃん、軽くガリアに餌やってくれ」

なんか面倒臭くなり、適当に言うとガリアが怒った。


「ちょっと、私はあんたのペットじゃないのよ」


「じゃ、おごってもらわず、自分で払え。それで、軽く食べたら移動するぞ」


「へ、何処に? なに。ま、まさか。デートのお誘い?」


カミュがガリアをみて腹を抱えて笑い出す。

「本当になついたわね。最初なんか緊張しまくりでしおらしかったのに。

今じゃ、デートの誘いを待ってるの? ガリア可愛い」


ガリアとカミュが盛り上がっていた。毎度の状態に呆れているとアーマイルが来た。


「アーマイル」そういって手を降る。


アーマイルがルール達の処理を終えギルドに顔を出すとは思わなかった。


「どうだった?」


「ばっちりでした。ですが残念な報せもあります。彼らは全員、中央保養地と呼ばれる所の出身です」


「わかった。ありがとう、転移石使うなら何時でも使って良いぞ」


「本当ですか。どうやって屋敷に戻るが考えていたんです」

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