第195話 狙われたダリアン

そこから馬に乗りダリアンを目指す。流石に歩いている時とは速度が違う、昼前にはダリアンの近くに来る事が出来た。

そこで休憩をしているトッシュを見つける。


「トッシュ、早いな。ここまで来てたのか?」


「あ、アール。ずるいぞ馬に乗ってるなんて。


って? なんかあったのか?」


軍を連れだって来たのにトッシュが驚いている。


「誰か、トッシュを乗せてやってくれ。トッシュは信頼のおける冒険者で俺の部下だ」


「では、私が」ロキと呼ばれた兵士がトッシュを乗せてくれる。


「ダリアンは湿地帯に橋をかけた村だ、無防備な状態で橋をつっきる。何かあった時の防御は俺がする。橋をわたりきるまで気を抜くな」


「「「はい」」」


馬に乗り一気に橋をわたりきる。最後の兵士がわたりきったあたりで矢が何本か飛んできた。


そこからギルドに向かい全員をギルドに入いる。

「アール様、ご無事で何よりです」

リンナが声をかけてきた。リンナと一緒に元アンドウ騎士団の副騎士長アルカも一緒いた。


「アルカもいたのか、悪いな迷惑をかけて」


「何をおっしゃいます。久しく落ち着いておりました。多少刺激が欲しかった所です」


「リンナ、手紙ありがとう。こっちは軍の小隊長ロキとその小隊。


そして貴族学校の生徒が3人だ」


リンナとロキが軽く挨拶をした。


「状況を説明してもらえるか?」リンナに説明を求める。


「はい、アール様が屋敷を出られて間もなく、何者かのたれ込みが有りました。

屋敷に手紙が投げ込まれ、その真偽の精査に時間がかかりました。

ですがその時ガシン様が屋敷を訪れました。訪れた要件は手紙と同じ内容です。

その後、マリアンノ殿下が直接手紙を持ってこられ屋敷は心配無いと伝えて欲しいと仰せ使っております」


「しかし本当なのだろうか?」


「私は何とも」リンナが押し黙る。


「ロキ、軍はここまで来る予定は有るか?」


「私は聞いておりません」


「わかった。悪いが命を預かる」


「問題ありません。私としてはアルッシュの死神とご一緒してる事に興奮を覚えています」


「リンナ、住人の避難は?」


「問題ありません。マルタに一任しております」


「わかった。リンナ、悪いなやな思いさせて」


「何をおっしゃいますか。これでも伯爵家の娘です。若い者には負けません」


「よし、作戦を伝える。

ロキ達小隊はギルドの回り中心に守ってくれ、俺は単騎で敵を向かう。


リンナとアルカ。悪いがここが最後の砦だ。貴族学校の生徒3人と頑張ってくれ。


トッシュ、いつでも動けるように待機。必要に応じて首都ギルドに応援を頼む」


「え、走ったって丸1日かかるよ」トッシュが呆然として言ってくる。


「心配無い。

それに最終的にどうにもならない時は俺が住民を含め全員たすける」


「リンナ、アルカ。敵は後ろの森には現在誰もいない。それと貴族学校の生徒は実戦がこれが初めてだ。悪いが面倒を見てくれ」


「ロキ、橋からギルドを中心に管理を頼む。一応索敵に引っ掛からないが注意は怠らないように」


そういってギルドを出る。


1人で橋に来る。回りはおよそ30人位だろうか、かなりこなれた感じを受ける。


しかし、第1王子のルールがベルート共和国と手を組んだと言うのは本当だろうか?

確かにベルート共和国から獣人のドレイを購入しているのは耳に入ってはいた。それも戦闘力の高い軍人上がりや冒険者上がりばかりを集めていると聞いている。


考え事をしていると後ろにマルタが来た。

「アールすまない、そのまま聞いてくれ。獣帝と名乗る女に教会を追い出された。


教会の地下に住人30人がいる。それとこの手紙をアールに渡すように指示を受けた」


後ろから渡された手紙を見る。


「マルタ、落ち着いて行動して欲しい。住人をトッシュと一緒にギルドに移動させる。


トッシュと貴族学校の生徒達を使い移動させろ。獣帝には俺に言われたと伝えればいい」


「良いのか?」マルタが震えながら悔しがる。


「それで良いな? 何人でやって来た、メフィス」


マルタの横で隠匿魔法をといてメフィスが顔をだす。その状況にマルタが腰を抜かしてしまった。


「ちょっとお母さん位言えないの? 本当に失礼しちゃうわ」メフィスが緊張感もなくプリプリと怒る。


「悪いがマルタを抱えてやってくれ、腰を抜かしたみたいだ」


メフィスが手を上げると狼族の男が近付いて来た。

「みんなをギルドに避難させるよ、後、貴方は彼を連れてきてちょうだい、腰を抜かした見たい」


メフィスと一緒にキルドに戻る。

「ロキ、悪いが作戦を変更する。ダリアンは捨てる。

この獣人族の男達と一緒に住人を全員ギルドに移動してくれ。

メフィス、20分でいい。守ってくれ」


「貴方は?」


「助っ人を呼んでくる」


そういってギルドの奥に入り転移魔石に乗る。アルッシュに行って、ハッシュベルクに声をかける。その後一緒にベルクドダンジョンギルドに移動。メルシーとマリアンノに声をかけみんなでダリアンのギルドに入る。


ギルドに集まった住人を手分けして、転移魔石を使いベルクドダンジョンギルドに移動させる。おおむね20分程で全員を移動。最後にリンナとアルカをメルシーとマリアンノが連れて行き、残ったのは俺と獣帝の強者だけになった。


転移魔石を亜空間の腕輪にしまうとギルドを出て敵を牽制する。


「さて、息子君。どうするつもり?」

メフィスが少し楽しそうに聞いてくる。


「あんた達は逃げな。俺が時間を稼ぐ」


「この場所を私達に譲る気持ちは無い?」

メフィスが本来の目的を口にし始める。


「悪いがそれは出来ない。別に獣人族か住むのはかまわない、だがこの場所を求めるなら話は別だ。

目の前にいるベルート共和国の兵士共々、仲良く葬ってやるよ」


「ずいぶんと自信があるのね」メフィスの目付きが変わる。


それと同時にフェルリンとライト レイが姿を表す。流石に最上級精霊2人が放つ強烈な魔力にメフィス以外の獣人族と外にいる兵士達が倒れてしまう。


「さて、どうする。メフィス相手に手加減なんてものは最初から無い。

住人を避難させたのも俺が戦うと被害が出る。その為だ。今は何一つ遠慮はしないぞ」


メフィスと少しの間にらみ合いが続く。

「やめ、どう頑張っても私達の方が分が悪いわね。困ったものね、息子1人抑えれないなんて。


でも、住むだけなら問題はないのね?」


「住むなら税金は取るぞ。そこは譲れない」


「ケチ!!」メフィスがまた俺を睨む。


「お前達、いつまでねてんの? 子供達が待ってる、帰るよ」

メフィスが仲間の獣人達を無理やり起こすと静かにギルドを出て帰って行った。

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