第11話 凡人と言う名の称号

リアルが落ち着きを取り戻してからテイブルにある飯を食べる。毎日、わざわざ新しいご飯を持って部屋に来てくれていたようだ。


飯を食べながらリアルと色々な話しをした。何故か、子供の頃の話しで盛り上った。


流石に3日も食べていなかったのだろう。食べたいがお腹がご飯を受け入れない。少ない量のご飯だったが残してしまった。


「レモンド、良く食べれたね。下に行こう」リアルが気を使ってくれて食堂に降りる。


モルジップさんとカトレーゼさんがいた。

「レモンド起きたか、飯は食えたか?」カトレーゼが少し怖い顔で聞いてきた。


「起きました。飯はすいません。少ししか食べれませんでした」


「レモンド、リアル。私達の前に座りなさい」

モルジップさんが落ち着いた声で言う。俺とリアルはモルジップさんとカトレーゼさんに向かい合うように座った。


「ごめんなさい。みなさん心配おかけしました」先ず謝った。だってこんなに心配させたし。


「謝る事じゃ無い。魔力欠乏症は初めのうちは知らずに起こす事もまれじゃ無い。ただお前はステイタスを見れない事が問題なだけだ」

カトレーゼが真剣に話すが、顔がにやけている。


絶対に俺を馬鹿にしている。そう確信した。


「レモンド、ステイタスの見かたを教える。頭に魔力を感じてステイタスと唱える。やってみろ」


頭に魔力を集める。「ステイタス」


何かが目の前にに出る。


レモンド 男 16才

職業 平民

称号 凡人


レベル 12


最大HP125

最大MP66

俊敏12

胆力9

筋力18

幸運6


剣術 格闘術


無属性魔法 索敵 身体強化


「初めて見た。おおー、HP高!やったねぇ。

あれ、称号がついてる」


「レモンド本当?」リアルが驚いて聞いてきた。


「レモンドについてる称号だからどうせたいしたこと無いだろう」カトレーゼが馬鹿にして来る。


「モルジップさん、称号について教えてもらえますか?」


「先天的な才能の事だよ。リアルは魔法上昇の称号がある。レモンドはどんな称号だ」


いや、そう言われると恥ずかしい称号だろう。何だ凡人って、意味があるのか?


って、言うか生まれ持った才能が凡人ってなによ。これって差別だよね。


ねぇ!神様聞いてもらっていますか?神様って、いらっしゃるですよね……。


何でこんな差別をするのでしょう。俺はいつまでもピエロなのでしょうか。


ふと頭の中に声が聞こえる。

『ピエロは才能豊かな者に与えられる称号。お前にはもったいない。二度とピエロなとど蔑んだ言葉を使うな、おこがましい』



え、俺………!神様にも嫌われいるの??????


も~嫌ぁ~~~~!



「レモンド、どんな称号?」リアルが真っ直ぐな目で見てる。


「ボ、凡人だった」

思わず声が低くなる。


俺の返答に3人が固まる。そらそうだよね。凡人って称号、普通無いよね。


3人が顔を見合せ、黙りこくる。


そっかぁ~。ピエロにすら劣る称号だ。泣けてきた。


『馬鹿者、ピエロに失礼だ。大体、ピエロにすら、とはなんだ…』


また、頭に直接声が届くが…それも聞こえなくなった。フラフラと立ち上がり部屋に戻る。


このままふて寝してやる。ベッドに潜り頭から枕をかぶり寝てしまうが、夕方になり腹が減って目が覚めた。


宿で飯を食う気になれずギルドに来た。依頼帰りの冒険者達でごった返していたが気にせず、食堂のカウンターに座りエールを頼んで飲み始める。


何で、俺の父さんと母さんは、勇者と大賢者なのにその息子は、凡人なの? 普通、親の七光りって言わない? 息子が多少駄目でも、親のすねかじって上手くやれるじゃん! 何で俺には無いの?


心折れそう。


いや、考え方変えたら、最初から何も無いのは、良かったかも。スタートダッシュ最高、そんでみんなに抜かれる奴の身のもなれよ。そっちの方が絶対に辛いぞ。


全てを受け入れよう。俺は元からたいした事が無いんだから。俺の現状を全て受け入れよう。


いいんだよ、マイナスからのスタートで。そこから這い上がるから格好いいんだ。なぜなら俺。最強の冒険者になるんだから。


フ、なんだか俺格好いい。カウンターに座りながらまた、ボディービルダーのようなガッツポーズをとる。

「やっぱり、レモンドが壊れたって噂本当みたいだな」「おい、ほっといてやれよ」「そうだよ、1人で夜のギルドで飯食ってる段階でおかしんだから」


どこからとも無く聞こえる声。またやってしまった。

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