第9話 「今日はこの辺で勘弁してやる」
身体強化は何とか使えるようになったみたいだ。
後は慣れる事が必要だ。
ボス部屋に行くか考えたが、流石にあのゴブリンジェネラルといきなり対戦する勇気は無い。でも試したい気持ちはある。
そこで作戦を考えた、ボス部屋でボスだけ残し他を全て倒す。
その後にボスにどれだけ対応出来るか知ることが大切だろう。
もしボスを普通に倒せるなら、ボスを先に、残りのその他は後で倒そう。
全部一度に対戦して倒せるようになったら俺は、最強の冒険者にまた1歩近づく事ができた証になる。
ボス部屋に来た。今日は冒険者がいない。何も考えずに部屋に入る。ゴブリンジェネラルとゴブリンアーチャーの2体がいた。
不味い。「身体強化」 ブン、体が軽くなる。
ふと目の前に何かが出た。驚き後ろに跳ぶと、ゴブリンジェネラルの剣だ。
どうやら対応出来てる見たいだ。バトルアックスをだす前にゴブリンアーチャーを左のストレートで殴る。ゴブリンアーチャーがふき飛び壁に当たり、前のめりに倒れる。
ゴブリンジェネラルがゴブリンアーチャーに何か話しかけていた。その隙にバトルアックスを取り出して右手に持つ。
よそ見をしているゴブリンジェネラルに向かいバトルアックスをふりおろす。
「おい、どこ見てる。お前の敵はおれだぞ」
ゴブリンジェネラルが振り向き怒りをあらわにして剣を振って来た。
身体強化された俺は速かった。ゴブリンジェネラルの剣がまだ俺のだいぶ手前に有るのに俺のバトルアックスはゴブリンジェネラルの体を真っ二つしている。
ガキン。ゴブリンジェネラルの振った剣が俺の左手の盾に当たった。1度部屋を出てリポップしたら今度は全部と対戦だ。そう思って外に出る
ボス部屋に戻って来た。やっぱりあのゴブリンジェネラルのあの目付きが俺に刺さる。
あいつはいつでも俺を見ている。そうだ!!
見てるんだ。アイツは捕食される側ではない事を知っている。自分が捕食する側だと明らかに主張してくる。その目に恐怖する。
部屋に戻り自分の出番を待つ。俺の順番になった。気持ち緊張しつつ部屋に入る。
誰もいない。リポップするまでの待つ。
5分後にリポップした。ゴブリンジェネラル。とゴブリンが3体。
動き出すまで待つ。
「ブブッパァー」ゴブリンジェネラルが雄叫びをあげる。ゴブリン達が緊張し始める。
「おい、お前ら俺はここだぞ」バトルアックス
持ちゴブリンに向かう。
ゴブリンジェネラルがこっちを見る。その目付きだ。震えて体がこわばる。
ゴブリンジェネラルが前に出て雄叫びをあげる。
モゴォォォォォ!!
俺は恐怖の余り動けなくなった。ゴブリンのひげた笑いがむかつく。
おい、レモンド。お前はこんな所で負けるのか?
いや、俺は最強の冒険者になる。
ゴブリンジェネラル程度が捕食対象として見てる奴に、最強の冒険者になれるのか?
俺は絶対、最強の冒険者になる。
「最強の冒険者になる」「オオオオオオ!!!!!!」
俺の気合いにゴブリン達がおののく。特にゴブリンジェネラルが怯えている。
一気に行くぞ。身体強化をかける。ゴブリンをただ殴り、蹴り跳ばし、投げて倒す。
ゴブリンジェネラルと対峙する。バトルアックスを出し手に取るとゴブリンジェネラルが泣いていた。
泣いて・・・・? 何故?
ジリジリとゴブリンジェネラルに近付く。ゴブリンジェネラルが俺に何かを訴えている。正直に言葉がわからない。ゴボゴボゴボと言っているようにしか聞こえない。
身振り手振りで訴えてくる。オレ流に訳す。そう、あくまで俺流だ。
「旦那、俺、こんな小さい子供と妊娠中の妻がいるんでさぁ。旦那ぁ今日は勘弁してくださいよぉ」
「へへ、旦那! 良い女いますよ。もお~そんな野暮な事は言わない。今日 くらぃ~羽目はずさんと、そんしまっせぇ! だ・ん・な!!」
オレ流に訳した。訳したけど………!
何かむかつく。俺何でこんな奴の心配しないといけない。30分もすると復活しやがるくせに!!!!
「お前だけは許せない。死んで俺に詫びろ」
バトルアックスでゴブリンジェネラルの頭を2に割る。
「ふん、今日はこの辺で勘弁してやる」何か意味ない事を格好よく言ってしまった。やっぱり恥ずかしくなり回りをら見渡す。
そして恥ずかしさを隠すように、ソッと部屋を出る。
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